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要介護状態の進行|知っておき変化のサインや要介護認定の仕組みとは

 公開日:2026/01/26
要介護状態の進行|知っておき変化のサインや要介護認定の仕組みとは

要介護状態とは、加齢や病気によって日常生活に継続的な介助が必要になった状態を指します。そして要介護状態には進行度があり、軽度から重度まで区分されています。本記事では要介護状態の進行度区分ごとの身体機能の変化、要介護度が変わる主な要因、進行のサイン、進行を防ぐために家族ができること、進行度に合わせた対策について詳しく解説します。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

要介護状態の進行度を示す区分と身体機能の変化

要介護状態は、介護保険制度の認定により要支援1~2要介護1~5の7段階に区分されています。この数字が大きくなるほど、日常生活全般に必要な介護の度合いが高いことを示します。例えば、要支援は部分的な支援が必要な軽い状態、要介護5は寝たきりに近く全介助が必要な重い状態です

要支援1〜2

要支援1〜2の段階では、基本的な生活動作はほぼ自立していますが、一部の家事や外出支援が必要な状態です。買い物や掃除などのうち、複雑な動作において補助が必要になりやすく、徐々に日常生活に支障を感じ始めます。

身体的な面では、歩行速度が遅くなったり、段差でつまずきやすくなったりします。体力や筋力の低下から疲れやすくなり、外出や運動機会が減少することで、さらに筋力が落ちるという悪循環を招きやすくなります。この段階では、できる限りの運動習慣を維持し、生活環境を整えることが重要です。

要介護1〜2

要介護1〜2では、入浴や排泄、食事などの基本的な生活動作で部分的な介助が必要になることが多くなります。立ち上がりや歩行時のふらつきが目立ち、一人での外出は難しくなります。また、服薬管理や金銭管理といった複雑な判断が必要な動作にも支援が必要になり、認知機能の低下が徐々に現れる段階です。転倒リスクが高まるため、家庭内の安全確保や介護サービスの適切な導入が重要になります。

要介護3〜5

要介護3〜5は重度の介護が必要となる段階です。身体機能が著しく低下し、寝たきり状態や全介助を要する場合が多くなります。自力での移動や食事摂取が困難で、誤嚥や床ずれのリスクが大変高くなります。また、認知症を併発している場合、徘徊や暴言、不安などの行動心理症状が出現し、介護者への負担が大きくなります。専門的な医療介入や介護サービスの全面的な利用が必要です。

要介護状態の進行度が変わる要因

要介護度が変わる、すなわち軽度から重度へ状態が進行してしまう背景には、複数の要因が関与します。主な要因として、加齢に伴う機能低下、入院関連機能障害、認知症の進行、そしてそのほかの特定疾患の進行が挙げられます。これらの要因が重なり合うことで生活機能の低下が進み、介護の必要量が増大します。以下で各要因について詳しく解説します。

加齢に伴う機能低下

加齢に伴う身体機能の低下は避けられません。筋力や持久力の低下、骨密度や平衡感覚の衰えなどが要介護状態を進行させます。特にフレイルという状態は、心身の虚弱を意味し、放置すると要介護状態への移行を早めるため、早期の介入と予防が大切になります。

入院関連機能障害

高齢の方の入院は機能低下を招く大きな要因です。安静期間中に筋力や認知機能が著しく低下することで、退院後に自立度が下がり、介護が必要になるケースが多くみられます。入院中からのリハビリ介入や活動量の維持が予防につながります。

認知症の進行

認知症は記憶障害や判断力の低下だけでなく、行動心理症状の出現によって介護の負担が急激に増えることがあります。症状の早期発見と専門的な対応が介護状態の悪化を防ぐために不可欠です。

そのほかの特定疾患の進行

脳血管疾患や骨折、パーキンソン病などの特定疾患は、進行に伴い生活動作が困難になりやすく、介護度が急激に進むことがあります。早期発見と治療の継続、リハビリの実施が重要です。

要介護状態の進行で知っておきたいサイン

要介護状態が進行しつつあるとき、ご本人の様子にはいくつか兆候(サイン)が現れます。それを早めにキャッチすることで、適切な対策や医療介入につなげることが可能です。ここでは、介護が必要な度合いが高くなっていることを示す主なサインを解説します。

歩行能力や体力の低下

歩行速度が落ち、段差につまずきやすくなったり、外出頻度が減ったりする場合、進行のサインです。日常的な運動やリハビリを通じて筋力維持に努め、転倒予防対策を徹底することが大切です。

食事量と体重の変化

食欲が減退し、体重が減少する場合、栄養状態の悪化から要介護状態が進行するおそれがあります。栄養バランスを整え、口腔ケアを徹底し、食事の環境や嚥下機能を改善する支援が必要です。

転倒回数の増加

転倒回数が増えることは、骨折のリスクを高め、機能低下を早めます。家庭内のバリアフリー化や歩行補助具の導入を早期に検討し、住環境の整備を進めます。

認知症による行動と心理症状の変化

徘徊や妄想、不安、介護への抵抗などの症状が強まる場合、専門的なケアが必要です。早めに医師に相談し、症状管理や薬物療法を含めた適切な対応を進めます。

家事能力の低下

家事ミスが増え、安全面のリスクが高まる場合は、家事援助サービスの利用を検討します。安全な環境整備や専門家のサポートを導入し、事故防止に努めます。

睡眠リズムの乱れ

睡眠の乱れは認知症症状の悪化や転倒リスクを高めます。規則正しい生活リズムを整えるとともに、環境調整や必要な薬物療法を行います。

要介護状態の進行を防ぐために家族ができること

要介護状態のご家族を支えるにあたり、家族の役割は大切です。適切な関わりや環境づくりによって、介護状態の進行を緩やかにし、できる限り長く自立度を保つことも可能になります。ここでは家族が今日から実践できる介護予防策を解説します。

運動習慣づくりとリハビリ継続

家族が運動習慣をサポートすることは、要介護状態の進行予防に効果的です。毎日の軽い散歩や体操など、本人が継続可能な範囲で身体活動を促します。定期的にリハビリ専門家の指導を受け、適切な運動プログラムを家庭内でも実践することで、筋力維持や転倒予防につながります。

家族としては、一緒に散歩に出かけたり体操を促したりするとよいでしょう。例えば毎朝近所を15分歩く習慣をつける、椅子に座ったままできる足の屈伸運動やストレッチを日課に取り入れるといった取り組みも効果的です。

デイサービスなどでリハビリを受けている場合は、習ったトレーニングを家庭でも続けられるよう励ますことも大切です。

ポイントは「少しでも長く、自分の足で立って歩ける時間を作る」ことです。たとえ車椅子利用になっても、立位訓練や歩行練習を継続することで拘縮や筋萎縮を予防できます。

誤嚥を防ぐ食事支援と栄養管理

誤嚥性肺炎の予防には、食事の姿勢や飲み込みやすい食形態の工夫が必要です。

食事の際は、ゆっくりと食べさせ、むせ込みが起きないよう注意します。また、口腔ケアを徹底して口内の清潔を保つことが重要です。栄養面ではバランスのよい食事を提供し、特にたんぱく質やビタミン、ミネラルを十分に摂取できるように心がけます。

転倒予防の住環境整備

自宅内での転倒を予防するために、環境整備は必須です。廊下やトイレ、浴室などの滑りやすい場所に手すりを設置し、段差の解消や足元の明るさを確保します。床には滑りにくい素材を使用し、家具の配置を調整して移動しやすい動線を作ります。

敷居や玄関などの小さな段差はスロープ等で解消し、転倒の原因になる緩い敷物やマットは撤去します。部屋の照明も明るめにし、夜間は足元を照らす照明を設置すると安心です。必要に応じて歩行補助具(杖や歩行器)を使うのも有効です。なお、介護保険では住宅改修費の支給制度があり、手すりの取り付けや床段差の解消などに補助が受けられます。ケアマネジャーに相談し、利用できる制度も活用しましょう。

家族のコミュニケーションと社会参加の維持

高齢の方は社会的孤立感を覚えやすく、精神的な健康維持のために家族との日常的なコミュニケーションが重要です。一緒に趣味や活動を楽しむ時間を持ち、地域のサークルやデイサービスなど社会参加の機会を提供します。これにより、心の健康を保ち、要介護状態の進行を遅らせる効果が期待できます。

家族との会話や笑いは認知症の進行を緩やかにする効果も期待できます。また、介護する側も一人で抱え込まず、地域の介護者交流会に参加することで精神的な余裕が生まれます。

要介護状態の進行度に合わせた対策

要介護度が上がってしまった場合でも、その進行度に応じた適切な対策を講じることで、生活の質を維持し二次的な悪化を防ぐことが可能です。ここでは現在の要介護度に合わせて考えるべき対策をまとめます。

介護サービスの拡充

要介護度が進行すると、介護者の負担が増大します。介護サービスを適切に活用することで、介護者の負担軽減を図ります。訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスを要介護度に応じて段階的に増やし、本人に合ったケアプランをケアマネジャーと協力して作成します。

例えば要介護1から2に上がった場合、これまで週1回だったデイサービスを週2回に増やす、入浴介助のヘルパー派遣を追加することも選択肢です。ショートステイ(短期入所)を定期的に利用して家族の負担軽減を図ることも検討します。サービス利用には自己負担も伴いますが、公的サービスをうまく使うことで在宅介護を長く続けられる可能性が高まります。

福祉用具の拡充

福祉用具を効果的に活用することで、介護の負担が軽減され、本人の自立支援にもつながります。要介護度が進行するにつれて、歩行補助具や車椅子、介護用ベッドなどを適切に選択し、状況に応じて見直しを行います。

介護保険では要介護2以上になると、車椅子・特殊寝台(電動ベッド)・床ずれ防止用具などをレンタルで利用可能です。状態に合わせてこれらを導入することで、移動や起き上がりが格段に安全かつ楽になります。

例えば、立ち上がれなくなってきたらリクライニング車椅子をレンタルし移動時に活用する、寝返りが自分で打てない場合はエアマットを導入する、といった対応です。

介護度の進行を見据えたケアプランの策定

将来的な介護状態の変化を予測し、あらかじめ対応策を盛り込んだケアプランを作成します。急な状態の悪化にも迅速に対応できるよう、医療・介護関係者と連携を取りながら、継続的な評価とプランの見直しを行います。

ケアマネジャーにはご家族の希望や不安を率直に伝えましょう。「できれば最後まで自宅で看たい」「病状が悪化したら専門施設にお願いしたい」などの希望に沿って、利用すべきサービスやタイミングをアドバイスしてくれます。また、半年から1年先を見据えた長期目標をケアプランに盛り込むことで、サービス提供者全員が共通認識を持って支援に当たれます。

例えば認知症が徐々に進行している場合、今のうちにグループホームの空き状況を調べたり、要介護度がさらに上がった際に訪問看護を導入する段取りを検討しておく、といった具体策が考えられます。先を見据えた準備によって、いざというときに慌てず納得できるケアが選択できるでしょう。

必要に応じて要介護認定区分の変更申請を検討

身体や認知機能の大きな変化があった場合は、要介護認定区分の変更申請を速やかに行うことが重要です。区分が適切に見直されることで、利用可能な介護サービスの範囲が広がり、より適切な介護支援が提供されます。

まとめ


要介護状態の進行は、早期の発見と適切な対応により遅らせることが可能です。介護者が日常的に注意を払い、兆候を早めにとらえ、医療や介護サービスを積極的に活用することが重要です。家族や地域の支援体制を整え、本人の生活の質と介護者の負担軽減を目指した総合的なケアを推進しましょう。

参考文献

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