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家族ができる介護と最期の過ごし方|自宅と施設、それぞれの看取り方

 公開日:2026/01/25
家族ができる介護と最期の過ごし方|自宅と施設、それぞれの看取り方

人生の最期の時期をどこで、どのように過ごすかは、ご本人だけでなく家族にとっても大きなテーマです。医療や介護が進歩した現在では、病院だけでなく、介護施設や自宅など、選択できる場が広がっています。一方で、看取りの時期にどのような介護やケアが行われるのか、身体や心にどのような変化が見られるのかを具体的に知る機会は多くありません。事前に知識を持つことで、慌てずに向き合いやすくなり、ご本人の思いを尊重した過ごし方につなげやすくなります。

この記事では、最期の介護と看取りの考え方、過ごす場所の選択、家族ができる関わりについて解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

最期のときに行う介護と看取りケアの意義

人生の最期の時期に行われる介護や看取りケアは、病気を治すことを目的とするものではなく、その方らしい時間を支えるための関わりです。身体のつらさを和らげることに加え、不安や孤独感に寄り添い、落ち着いて過ごせる環境を整えることが大きな役割です。症状だけに目を向けるのではなく、これまでの生活や大切にしてきた価値観を踏まえた関わりが求められます。

看取りケアは、痛みや息苦しさなどの症状を和らげる医療的対応と、食事や清潔保持、休息を支える介護が連携して行われます。無理のない生活リズムを保ち、その日の体調に合わせて過ごし方を調整することも欠かせません。また、ご本人の希望や思いを尊重し、可能な範囲で選択を支えることが、心の安定につながります。家族にとっては、最期の時間をどのように過ごしたいかを共有し、納得のいく見送りにつなげる意味合いも持ちます。介護と看取りケアは、ご本人と家族の双方を支えるために大切です。

最期をどこで過ごすか|病院・介護施設・自宅

最期を過ごす場所は、医療や介護の体制だけでなく、ご本人や家族の思いによって選ばれます。それぞれの場には特徴があり、得られる支援や過ごし方が異なります。違いを知ることで、希望に沿った選択を考えやすくなります。

病院

病院は、医師や看護師が常に近くにおり、症状の変化に対して速やかな医療対応が行われます。痛みや呼吸の苦しさ、急な体調変化が起こった場合でも、医療機器や薬を用いた対応が整っている点が特徴です。点滴や酸素投与、症状緩和を目的とした治療が受けやすく、家族にとっても医療面での不安が少なく感じられることがあります。

一方で、治療や全身管理が中心となるため、生活の自由度は限られやすく、日常生活のペースを保つことが難しい場合があります。面会時間や病室環境の制約により、家族と落ち着いて過ごす時間が十分に取れないと感じる方もいます。

介護施設

介護施設は、食事や排せつ、入浴などの日常生活の支援を受けながら過ごすことができます。介護職員が常駐しており、生活全般を見守ってもらえる点が安心感につながります。看取りに対応している施設は、協力医療機関と連携しながら、体調変化に応じた対応や最期までの生活支援が行われます。

自宅とは環境が異なるものの、一定の生活リズムを保ちやすく、家族の介護負担が軽くなる点が特徴です。家族は、介護をすべて担うのではなく、面会や声かけを通じて関わる形を選びやすくなります。

自宅

自宅は、慣れ親しんだ環境のなかで、これまでに近い形の生活を続けやすくなります。訪問診療や訪問看護、訪問介護などを組み合わせることで、医療と介護の支援を受けながら過ごすことができます。家族や大切な方と過ごす時間を大切にしやすく、生活の細かな希望を反映しやすい点が特徴です。

一方で、家族の関わりが増えるため、無理のない役割分担や支援体制を整えることが重要です。外部サービスを上手に活用することで、負担を抑えながら自宅での生活を支えられます。

最期を過ごす場所は本人の意思決定が基本

最期をどこで過ごすかを考える際には、ご本人の意思を中心に据えることが基本です。病気の種類や年齢に関わらず、どのような環境で過ごしたいか、誰とどのような時間を持ちたいかは一人ひとり異なります。静かな場所で家族と過ごしたい方もいれば、医療体制が整った環境に安心感を覚える方もいます。早い段階から希望を言葉にしておくことで、体調や状況が変化したときにも、周囲が判断しやすくなります。

一方で、体調の変化や介護状況によって、当初の希望どおりの選択が難しくなることもあります。そのため、家族や医師、看護師、介護職などの関係者と話し合いを重ね、いくつかの選択肢を想定しておくことが大切です。意思を尊重しながら、現実的な支援体制や家族の負担も確認しておくことで、納得感のある過ごし方につながります。ご本人の思いをあらかじめ共有しておくことは、家族が迷ったときの心の支えにもなります。

最期の時期に行われる介護・ケアの種類

最期の時期には、治療を中心とした医療から、生活や気持ちを支える介護・ケアへと関わりの重心が移っていきます。ご本人の苦痛を和らげ、穏やかな時間を保つために、目的や役割の異なるケアが組み合わされます。それぞれの特徴を知ることで、状況に合った支援を選びやすくなります。

看取り介護

看取り介護は、最期の時期を特別な時間として切り離すのではなく、これまでの生活の延長として支える介護です。食事や排せつ、清潔保持といった日常生活の支援を通して、ご本人ができるだけ落ち着いて過ごせる環境を整えていきます。体力が低下している時期には、起き上がりや体位を工夫し、呼吸や休息の妨げにならない姿勢を保つ配慮が求められます。

また、必要以上に刺激を与えず、その日の体調や反応に合わせて関わることも看取り介護の特徴です。表情の変化や声の調子を感じ取りながら、穏やかな声かけや触れる関わりを行うことで、不安の軽減につながります。家族だけで抱え込まず、介護職や看護師と役割を分担し、無理のないペースで生活を支えることが、ご本人にとっても家族にとっても重要な視点です。

ターミナルケア

ターミナルケアは、最期の時期に現れやすい身体や心のつらさを和らげることを目的とした医療的ケアです。痛みや息苦しさ、倦怠感、吐き気などの症状に対して、医師や看護師が薬や処置を用いて対応し、苦痛をできるだけ抑えることを目指します。症状の程度や変化に応じて対応を調整し、その方に合った方法が選ばれます。

同時に、精神的な負担への配慮もターミナルケアの重要な役割です。不安や恐怖感、孤独感に寄り添い、ご本人の思いや価値観を尊重した関わりが行われます。治療を続けることよりも、生活の質を保つ視点を重視し、安心して過ごせる時間を支える姿勢が基本です。看取り介護と組み合わせて行うことで、医療と生活の両面から支えられ、より穏やかな時間につながります。

最期が近づいたときに見られやすいサイン

最期の時期が近づくと、身体や生活の様子に少しずつ変化が現れます。これらのサインは、急激に現れる場合もあれば、時間をかけて進む場合もあります。あらかじめ知っておくことで、戸惑いを減らし、その方の状態に合わせた関わりを選びやすくなります。

食事量や水分摂取量の変化

最期の時期が近づくと、食欲が低下し、食事や水分を取る量が少しずつ減っていくことがあります。これは消化や吸収に関わる身体の働きが緩やかに変化しているために起こる自然な経過です。無理に食べさせたり、水分を多く取らせたりすることは、ご本人にとって負担になる場合があります。お口の乾燥が気になる場合には、お口を潤す、氷を少量なめる、好みの味を少し楽しむなど、負担の少ない関わりを選びます。摂取量が減ること自体を異常ととらえすぎず、苦痛を与えないことを優先した対応が大切です。

睡眠時間の変化

眠って過ごす時間が長くなり、目を覚ましている時間が短くなることがあります。声をかけても反応が乏しく、会話が難しく感じられる場面も増えてきます。ただし、起きている様子が少なくなっても、聴覚は保たれることがあります。そのため、そばで穏やかに声をかけたり、手を握ったりする関わりは、安心感につながります。無理に起こして生活リズムを整えようとするのではなく、休息を尊重し、静かな環境を整える姿勢が重要です。

呼吸の変化

呼吸の速さや深さ、リズムに変化がみられることがあります。浅い呼吸が続いたり、一定の間隔で呼吸が止まったり再開したりするように感じられる場合もあります。痰が絡んだ音が聞こえることもありますが、音の大きさとご本人の苦しさは必ずしも一致しません。身体を少し起こす、横向きにするなど姿勢を整えることで、呼吸が楽になることがあります。変化が気になる場合は、早めに医療職や看護師へ相談しましょう。

そのほかのサイン

このほかにも、手足が冷たく感じられる、皮膚の色が青白くなる、呼びかけへの反応が弱くなるなどの変化がみられることがあります。これらは身体全体の働きが静かに変化しているサインと受け止められます。環境を整え、強い刺激を避けながら、穏やかに過ごせるように関わることが大切です。

最期のときに家族ができる介護と心の準備

最期の時期には、医療や介護の支援を受けながら、家族の関わりが大きな意味を持ちます。特別なことを行うよりも、その方の状態に合わせた自然な関わりが、穏やかな時間につながります。同時に、介護する側の心身を守る視点も欠かせません。

身体的ケア

身体的ケアは、できるだけ苦痛を減らし、楽に過ごせる状態を保つことを意識します。呼吸がしやすいように上半身の角度を調整したり、長時間同じ姿勢が続かないよう体位を整えたりする配慮が基本です。また、皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐことは、かゆみや不快感を和らげることにつながります。

食事や水分が進まない場合には、量にこだわらず、お口を湿らせる、唇やお口のなかを保湿するなど、負担の少ない方法を選びます。無理に取らせることは、ご本人のつらさにつながることがあるため、状態に合わせた対応が大切です。こうしたケアは、医療職や介護職と相談しながら進めることで、不安を減らしやすくなります。

精神的ケア

精神的ケアは、特別な言葉をかけることよりも、そばにいること自体が大きな支えとなります。会話が難しくなっても、穏やかな声で名前を呼んだり、手を握ったりする関わりは、安心感につながります。反応が少なく感じられる場合でも、聞いている可能性を大切にしながら接する姿勢が重要です。

これまでの思い出を語ったり、感謝の気持ちを伝えたりする時間は、ご本人だけでなく家族にとっても意味があります。周囲の音や照明を調整し、静かで落ち着いた環境を整えることも、心の安らぎを支える一助となります。その方らしさを尊重し、無理のない関わりを続けることが大切です。

介護者自身・家族へのケア

介護を担う家族は、身体的な疲れだけでなく、気持ちの揺れや不安を感じやすい時期でもあります。無理を重ねず、意識的に休息を取ることが大切です。訪問看護や訪問介護などのサービスを活用し、一人で抱え込まない体制を整えることで、心身の負担を軽くしやすくなります。

また、気持ちを言葉にできる場を持つことは、心の整理につながります。医療職や介護職に思いを伝えることで、支えをえられる場合もあります。家族自身をいたわる視点を持つことは、最期まで穏やかに寄り添うための大切な土台となります。

まとめ

最期の時期の介護や看取りは、特別な医療行為だけで成り立つものではなく、ご本人の思いや生活を尊重する関わりの積み重ねです。日々の声かけや触れ合い、過ごしやすい環境づくりなど、ささやかな配慮が穏やかな時間につながっていきます。病院、介護施設、自宅にはそれぞれ特徴があり、どの場所を選ぶかはご本人の意思を軸に、家族や医療・介護の支援者と話し合いながら決めていくことが求められます。

最期が近づくと、身体や生活の様子にさまざまな変化が現れますが、その経過をあらかじめ知っておくことで、不安や戸惑いを抱えにくくなります。家族にできることは、そばに寄り添い、その時々の状態に合わせて無理のない介護を続けることです。また、介護する側の心身を守る視点を持ち、周囲の支援を受けながら関わることが、穏やかな時間を保つことにつながります。

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