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介護タクシーとは?サービス内容や利用条件、料金の目安と注意点を解説します

 公開日:2026/01/25
介護タクシーとは?サービス内容や利用条件、料金の目安と注意点を解説します

高齢になったり病気を患ったりすると、自力での移動が難しくなり、通院や退院時の移動手段の確保に悩むこともあるでしょう。そういったときに役立つのが車椅子やストレッチャーのまま乗れる介護タクシーです。しかし、介護保険が適用される場合とそうでない場合があります。

この記事では、介護タクシーとはどのようなサービスなのか、具体的な内容や利用条件、料金の目安を解説します。また、混同されやすい福祉タクシーとの違いや、トラブルを防ぐためのポイントもあわせて確認しておきましょう。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護タクシーのサービス内容と役立つシーン

足腰が弱くなると外出が困難になりがちですが、そんなときに頼りになるのが介護タクシーです。
この記事では、介護保険を利用した通院等乗降介助を介護タクシーとして解説を進めます。
まずは、専門的なサポート内容を確認しましょう。

介護タクシーの基礎知識

正確には介護タクシーという制度は存在しません。介護保険制度を利用した移動支援の仕組みは、通院等乗降介助と呼ばれ、訪問介護サービスの一つです。

大きな特徴は、ドライバーが介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以上の資格を持つ介護のプロである点です。運転業務にとどまらず、利用者の状況に合わせた身体介護を提供できる強みがあります。

例えば、乗車中の顔色の変化に気付いて声をかけたり、麻痺のある方に負担のかからない姿勢を調整したりといった、医療・介護の視点を持った配慮が受けられるのは、一般のタクシーにはないメリットです。

介護サービスの一環であるため、利用には要介護認定(要介護1以上)を受け、ケアプランに通院等乗降介助(介護タクシー)が組み込まれている必要があります。

介護タクシーのサービス内容

介護タクシーの魅力は、玄関から玄関まで、場合によっては“ベッド・ツー・ベッド”と呼ばれる一貫した介助を受けられることです。

具体的なサービス内容は、以下のとおりです。

  • 外出準備:着替え、ベッドから車椅子への移乗
  • 乗車、降車の介助:リフト操作、車内での固定
  • 病院内でのサポート:病院内での移動、受付や会計のサポート
  • 帰宅後のサポート:室内移動、着替え、ベッドへの移乗

特に独居の方の場合、出発前の戸締まりや火の元の確認、帰宅後の水分摂取介助などの、移動前後の細やかな生活支援まで含めてケアプランに組み込むことも可能です。

このように、出発前の準備から帰宅後のケアまでをトータルで任せられるため、家族の付き添いが難しい場合でも、安心感をもって外出できるでしょう。

介護タクシーが役立つシーン

介護タクシーは、独居の方や、日中家族が不在の世帯にとって重要なサービスです。ただし、介護保険を使うサービスであるため、利用目的は日常生活や社会生活に必要な行為に限られます。

具体的には、以下のようなシーンで活用できます。

  • 定期的な通院、人工透析への通院
  • 入退院や転院時の移動
  • 役所での申請手続きや選挙の投票
  • 生活費を下ろすための銀行利用

多くみられるのは通院での利用ですが、ストレッチャーが必要な退院時や、本人が行く必要のある公的手続きなどでも対応可能です。

なお、趣味の習い事や冠婚葬祭などは、生活維持に必須ではないため、介護保険の対象外です。そういった場合は、福祉タクシーの利用を検討するとよいでしょう。

介護タクシーとほかのタクシーとの違い

介護タクシーは、一般のタクシーや、よく似た名称の福祉タクシーとは、仕組みが大きく異なります。
違いを正しく理解していないと、いざというときに利用できない可能性があります。まずは以下の比較表で、それぞれの違いを整理しましょう。

【タクシーサービスの違い比較表】

項目 介護タクシー(保険適用) 福祉タクシー(全額自費) 一般タクシー(セダンなど)
車両 福祉車両(車椅子・寝台) 福祉車両(車椅子・寝台) 一般乗用車(座席のみ)
主な対象 要介護1以上 高齢の方、障害のある方 どなたでも
利用目的 通院などに限定 制限なし 制限なし
家族同乗 原則不可 基本的に可能 可能
予約 原則予約制 原則予約制 予約、流し
介助 あり(有資格者) 事業所によって対応が異なる 原則なし
費用 運賃+1~3割負担 運賃+全額自費 運賃のみ

介護タクシーと通常のタクシーの違い

通常のタクシーとの決定的な違いは、車両設備とドライバーの専門性です。通常のタクシーはセダン型が主流で、座席に座って移動します。

対して介護タクシーは、リフトやスロープを備えた福祉車両を使用するため、車椅子やストレッチャー(寝台)のまま乗車可能です。また、ドライバーは介助のプロで、ベッドからの移乗なども行えます。ただし、介護タクシーはケアプランに組み込まれた予約制のため、急な呼び出しには対応できません。

介護タクシーと福祉タクシーの違い

一般的には、福祉タクシーもまとめて介護タクシーと呼ばれることがよくあります。しかし、制度上は別のものであり、目的の自由度と費用が大きく異なります。
介護タクシーは保険適用で安価ですが、通院などに限られ、原則として家族は同乗できません。

一方、福祉タクシーは全額自己負担で割高ですが、旅行や冠婚葬祭など自由に利用でき、家族も同乗可能です。

状況に合わせて使い分けることが重要です。例えば、「通院は介護タクシー」、「家族との外出は福祉タクシー」など、目的に応じて選択しましょう。

介護タクシーの利用条件と利用方法

介護タクシー(通院等乗降介助)は公的な介護保険サービスであるため、誰でも自由に利用できるわけではありません。利用には一定の条件を満たし、正式な手続きを踏む必要があります。
この章では、具体的な条件や手続きの流れ、スムーズな予約方法を解説します。

介護タクシーの利用条件

介護保険で介護タクシーを利用するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 要介護1以上の認定を受けていること
  • 自力でのバス・電車などの利用が困難であること
  • ケアプランに『通院等乗降介助』が組み込まれていること

対象は要介護1~5の方であり、要支援の方は原則対象外です。また、あくまで一人での移動が難しいことが前提となるため、家族の介助があれば通院できる場合は認められないこともあります。
利用目的も、前述したとおり日常生活上または社会生活上必要な行為に限られる点を理解しておきましょう。

介護タクシーの利用手続き

介護タクシーを利用する際、まずケアマネジャーへ相談します。自己判断で事業者に直接連絡しても、保険適用では利用できません。
利用開始までの一般的な流れは、以下のとおりです。

  • ケアマネジャーに相談
  • ケアプランの作成・変更
  • 事業所の選定と契約

ケアマネジャーが利用者の状況を確認し、必要性を判断してケアプランに組み込みます。その後、対応可能な事業者と契約を結ぶ流れです。
手続きには数日から数週間かかる場合があるため、通院予定が決まり次第、早めに動くことが大切です。

介護タクシーの手配・予約方法

契約完了後は、原則として利用者や家族が直接事業所へ予約を入れます。
スムーズな手配のために、以下の情報を正確に伝えましょう。

  • 利用日時と目的地
  • 必要な機材(車椅子、ストレッチャーなど)
  • 酸素利用などの特記事項
  • 付き添いの有無

特に重要なのが機材の指定です。「寝たまま移動したい」「家の前の階段介助が必要」など、具体的な状況を伝えることで、適切な車両とスタッフが配車されます。

なお、介護タクシーは台数が限られており、特に午前中は混み合います。希望の日時を確保するためにも、日程が決まり次第すぐに予約するよう心がけましょう。

また、診察終了時間が読めない帰りの便については、終わったら電話連絡をする運用が一般的です。ただし、電話をしてから迎えに来るまでに待ち時間が発生することがあるため、病院の待合室で待機が可能かどうかも含めて検討しておくとよいでしょう。

介護タクシーの料金目安

介護保険を利用した介護タクシー(通院等乗降介助)の料金は、以下の3つの要素の合計で算出されます。
仕組みが複雑なため、どこに保険が適用されるかを整理しましょう。

【料金の内訳表】

項目 費用の目安 保険適用
運賃 通常のタクシーと同等(メーターまたは時間制) 適用外(全額自費)
介助料 1回 100~300円程度 適用あり(※1)
機器代 事業者ごとに異なる(車椅子、寝台など) 適用外(全額自費)

※1 参照:『訪問介護』(厚生労働省)

このように、保険で安くなるのは介助料のみです。
移動にかかる運賃や、ストレッチャーなどの機器代は全額自己負担です。
機器代は事業者が独自に設定しており、料金体系が異なります。事前に事業者に確認しましょう。

なお、お住まいの自治体によっては、高齢の方や障害のある方向けの福祉タクシー券(助成券)を発行しており、これを支払いに充てられるケースもあります。利用契約を結ぶ際に、助成券が使用できるかどうか、事業者に確認してみましょう。

介護タクシーを使用する際の注意点

介護タクシー(通院等乗降介助)は公的な制度であるため、一般的なタクシーとは異なるルールがあります。
知らずに利用すると、当日乗車できなかったり、思わぬ高額請求につながったりすることもあります。ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントを解説します。

移動するだけでは介護保険は利用できない

移動(運送)そのものには介護保険が適用されません。
介護保険が適用されるのは、ドライバーが行う乗降介助に関わるケア行為に対してのみです。

そのため、目的地へ移動するためのタクシー運賃は全額自己負担となり、保険の対象外です。また、ケアプラン(居宅サービス計画書)に基づかない私的な外出や、単なる移動手段としての利用も認められません。「通院等のための介助」と目的が明確でなければならない点に留意してください。

予約制の事業者が多く、希望の時間に手配できない場合がある

介護タクシーは、街なかのタクシーのように電話一本ですぐに来てくれるサービスではありません。

基本的に予約制であり、事前のスケジュール調整が必須です。
予約が取りにくい主な理由は、以下のとおりです。

  • 対応できる福祉車両やドライバーの数が限られている
  • 病院の受付時間に合わせた平日午前中に利用が集中する

特に、週明けの午前中は予約が集中しやすく、数週間先まで埋まっていることもあります。「明日病院に行きたい」などの急な依頼には対応できないケースが多いため、通院日程が決まり次第、速やかに予約を入れることが大切です。

なお当日は、前の利用者の診察が長引いてお迎えが遅れるなど、介護タクシー特有の事情で時間が前後することもあります。時間には余裕を持って行動しましょう。

家族はタクシーに同乗できない場合がある

原則として、保険適用の介護タクシーには、家族は同乗できません。
同乗が制限される理由は、以下のとおりです。

  • 制度の目的が、独居などで一人での通院が困難な方を支援するものだから
  • 「家族が同乗できる=家族が介助できる」とみなされ、ヘルパーによる有料の介助は不要(保険適用外)と判断されるため

ただし、利用者が認知症で見守りが必要な場合や、医師の指示がある場合など、同乗が認められるケースもあります。自治体によって運用の判断が異なるため、同乗が必要な事情がある場合は、事前にケアマネジャーへ確認しましょう。

まとめ

介護タクシー(通院等乗降介助)は、有資格者による手厚い介助を受けられる公的なサービスであり、単なる移動手段とは異なります。利用にあたっては、介護保険制度のルールを正しく理解し、自費の福祉タクシーと目的に応じて使い分けることが大切です。

特に、保険適用にはケアプランへの記載が必須条件です。費用面でも、運賃は全額自己負担となる点や、家族同乗の制限など、事前に把握しておくべき点があります。

適切な移動手段を選ぶことは、利用するご本人の外出意欲を高め、介護するご家族の負担軽減にもつながります。まずは担当のケアマネジャーに相談し、ご自身の状況に合った利用計画を立ててみてください。

この記事の監修社会福祉士