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要支援と認定されたらどうする?要介護との違いや家族ができること、受けられる支援を解説

 更新日:2026/01/06
要支援と認定されたらどうする?要介護との違いや家族ができること、受けられる支援を解説

高齢の家族が要支援と認定された場合、要介護と何が違うのか、これから何をすればよいのか戸惑う方も多いでしょう。要支援とは公的介護保険の認定区分の一つで、軽度な支援が必要な状態を指します。本記事では、要支援の概要や要介護との違い、認定後に利用できるサービス、家族がサポートする際のポイント、さらに要支援の方向けの便利な介護アイテムや入所可能な施設について解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

要支援とは?要介護認定の流れと区分

要支援とは?要介護認定の流れと区分

要支援とは、日常生活はほぼ自立して行えるものの、一部に見守りや手助けが必要な状態を指し、介護保険の要介護認定区分のなかで軽度の段階です。要介護度が重い要介護1~5に対し、要支援は要支援1と要支援2の2段階のみで、より重度の要介護状態への進行を予防することが目的です。まずは、要支援認定を受けるまでの流れと認定区分について確認しましょう。

要介護認定の申請から認定までの流れ

介護サービスを利用するには、市区町村で要介護認定の申請が必要です。申請先はお住まいの自治体の高齢者福祉窓口や地域包括支援センターで、本人が難しい場合は家族が代理申請することもできます。申請後、以下の手順で認定が進みます。

  • 調査員による訪問調査
  • 主治医の意見書の作成
  • コンピューターによる一次判定後、介護認定審査会での審査判定(二次判定)
  • 結果の通知

これらの手順を経て、要介護度が決定されます。認定結果に不服がある場合は、地域包括支援センターや市町村窓口に相談し、不服申立て(再審査請求)を行うこともできます。

要介護認定の区分

介護保険では要介護度が非該当(自立)から要支援・要介護まで7段階に分類されます。要支援と要介護の違いは、自力で生活できるかどうか、あるいは常時介護が必要かといった介護の必要度合いです。認定区分は以下のとおりです。

区分 状態の概要 備考
非該当(自立) 介護サービスの必要なしと判断された状態。 基本的に日常生活を問題なく送ることができる。
要支援1 一部の生活動作に見守りや軽い支援が必要。 悪化予防・自立支援を目的としたサポートが中心。
要支援2 要支援1よりも支援が必要な場面が多い状態。 生活全般で継続的な支援が求められる。
要介護1 日常生活の一部に介助が必要。 ほぼ自立に近いが部分的に介護を要する。
要介護2 身体介助や生活支援の頻度が増加。 家庭内外での介護が日常的に必要。
要介護3 食事・排泄・移動など複数の動作に介助が必要。 認知症の症状が見られることもある。
要介護4 日常生活の大部分において介護が必要。 常に介護が求められる。
要介護5 生活全般に全面的な介護が必要。 寝たきりや高度の認知症など、介助なしでの生活が困難。

各区分は、介護に要する時間の目安によっても定義されています。例えば、要支援は25分以上32分未満の介護量に相当する状態です。一方、要介護はそれよりも長い時間の介護量が必要です。

参照:『介護保険制度における要介護認定の仕組』(厚生労働省)

要支援の状態

要支援と判定された方は、基本的な日常動作は自分でできるものの一部に支援が必要な状態です。要支援状態の特徴と、要支援1要支援2の違いをみてみましょう。

要支援1

要支援1は要介護認定区分のなかで最も軽度で、日常生活のほとんどを自力で行える状態です。食事、排せつ、着替えなど基本的なADL(生活動作)は問題ありませんが、立ち座りや歩行時にふらつきがある、掃除やゴミ出しなどの家事の一部で見守りや手助けが必要といった状況がみられます。

要支援2

要支援2は、要支援1よりも支援が必要な場面が増えた状態です。基本的な動作は自分でできますが、要支援1より体の衰えが進み、支えが必要な場面が多いことが特徴です。例えば、立ち上がりや歩行でふらつきが顕著にみられる、入浴時に背中を洗うのが困難、身だしなみを自分だけで整えるのが難しいなど、部分的な介助を要します。

要支援と認定された場合に利用できる介護サービスや制度

要支援と認定された場合に利用できる介護サービスや制度

要支援に認定されたら、公的介護保険を利用して介護予防サービスを受けることができます。これらは要支援1・2の方を対象に、重度化を防ぐための支援を提供するサービスです。また、介護保険の仕組みや自己負担についても知っておくとよいでしょう。この章では、要支援者が利用できる主なサービスと介護保険制度上のポイントを解説します。

要支援で利用できる介護予防・日常生活支援サービス

介護予防サービスとは、将来的な要介護化を防ぐことを目的に提供される公的サービスです。要支援1・2に認定されると、自宅にいながらさまざまな支援を受けることができます。主なサービスは下記のとおりです。

サービス区分 内容
訪問型サービス(介護予防訪問介護など) ホームヘルパーが自宅を訪問し、生活援助や身体介護を行います。
通所型サービス(介護予防通所介護〈デイサービス〉 など) 日帰りで施設に通い、介護や訓練を受けます。
短期宿泊サービス(介護予防短期入所〈ショートステイ〉) 数日間施設に宿泊して介護を受けます。
福祉用具の利用 自立支援を目的に、福祉用具の貸与・購入補助を受けます。
地域密着型サービス 地域の特性に合わせた介護予防サービスを行います。

以上のような介護予防サービスは、多くが各市町村の介護予防・日常生活支援総合事業として実施されています。市区町村が主体となり、ボランティアによる支援や独自メニューを提供している場合もあります。利用できるサービスの内容や回数に制限があるため、担当者と相談し、適切なサービスを選択しましょう。

要支援と認定された場合の介護保険

要支援認定を受けると公的介護保険の給付対象者になります。要介護認定と同様に、サービス利用時の費用は1割(一定以上所得がある場合は2~3割)の自己負担で済み、残りは介護保険から給付されます。要支援の方が介護保険を利用する際に押さえておきたいポイントをまとめます。

項目 内容
支給限度額 要支援1は月額約50,320円、要支援2は月額約105,310円が保険給付の上限です。限度額内なら自己負担は1~3割で超過分は全額自己負担します。
ケアプランの作成 介護予防サービス利用には、介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成が必要です。
利用の手続き 認定通知後、地域包括支援センターへ連絡し相談します。その後、ケアプランに基づいてサービス事業所と契約します。
介護保険証の交付 認定結果と同時に、介護保険被保険者証が交付されます。

なお、要支援非該当(自立)と判定された場合でも、市区町村の判断で介護予防・生活支援サービス事業の一部(掃除や配食サービスなど)を利用できるケースがあります。非該当となった方には基本チェックリストによる事業対象者判定など別途案内があることもありますので、地域包括支援センターに相談してみてください。

要支援と認定された方をサポートするポイント

要支援と認定された方をサポートするポイント

家族が要支援者を支える際には、本人の自立を尊重しつつ無理のない支援を行うことが大切です。要支援1と要支援2では必要な手助けの程度が異なるため、それぞれの状態に応じたサポートのポイントを押さえましょう。

要支援1の場合

要支援1の方は基本的に自立して生活できますが、過信は禁物です。症状が軽いからといって本人に無理をさせず、周囲も油断しないようにしましょう。以下に主なサポートのポイントを示します。

  • 必要な部分だけ手助けする
  • 手すりや段差の解消など住環境を整える
  • 健康診断などで健康管理を行う
  • 適度な運動とバランスのよい食事、口腔ケアを継続する

要支援1の方は元気に見えるため周囲も油断しがちですが、現状を維持あるいは改善する予防ケアが肝心です。家族としては無理のない範囲で見守りつつ、必要なサービスを上手に活用して介護負担の軽減と本人の自立支援に努めましょう。

要支援2の場合

要支援2の方は要支援1より支援することが増加します。身体機能の低下が進んでいるため、要支援1のポイントに加えて以下の点に注意してください。

  • できない動作に適切な介助を行う
  • 福祉用具やリハビリを積極的に活用する
  • 転倒などより綿密な見守りをする
  • 今後要介護状態になる可能性も念頭に置いた準備をする

要支援2の段階では、家族の支援と介護予防サービスの両輪でサポートすることがポイントです。支援が手厚くなりがちな分、家族自身の負担も増えやすいので、抱え込まずに地域の介護サービスや行政の相談窓口を積極的に活用してください。必要に応じて短期入所サービスで休息を取るなど、介護する側のケアも忘れないようにしましょう。

要支援の方の介護に役立つアイテム

要支援の方の介護に役立つアイテム

要支援の高齢の方が安全・快適に生活するためには、福祉用具や便利グッズの活用も効果的です。公的レンタルや購入補助の対象となるものから、市販の工夫アイテムまで、介護をサポートする代表的な用品は下記のとおりです。

区分 主な内容・用途 具体例
手すり類 屋内での移動・起き上がりを支援し、転倒を予防します。 ・廊下・階段・トイレ・浴室の固定式手すり
・ベッド脇の手すり
歩行補助具 屋外や屋内での歩行をサポートします。転倒予防や疲労軽減に役立ちます。 ・杖(4点杖など)
・シルバーカー(座面付き)
・屋内用歩行器
入浴・トイレ用品 入浴や排泄時の動作を支援し、安全性と自立性を高めます。 ・浴槽用いす
・浴槽手すり
・補高便座
・ポータブルトイレ
見守り・緊急通報装置 安否確認や緊急時対応をサポートします。 ・ペンダント型通報ボタン
・センサー式見守り装置
・GPS付き徘徊検知機器
生活サポート便利グッズ 日常生活の不便を解消し、動作を助けます。 ・長い靴べら
・ボタンエイド
・ペットボトルオープナー
・滑り止めシート
・曲がりスプーン

要支援の段階で積極的に福祉用具を利用することは、転倒事故の防止や介護負担の軽減につながります。自治体の福祉用具相談会や展示会に参加したり、地域包括支援センターで用具の情報提供を受けたりするのもよいでしょう。使い勝手に不安がある場合はレンタルで試してみることもできます。適切な道具を上手に使って、自立した生活を長く維持できるよう支援しましょう。

要支援の方が入所できる施設

要支援の方が入所できる施設

「まだ要支援だけど、施設に入れるのだろうか?」と心配する声もあります。要支援1・2の方でも、条件に合えば利用できる高齢の方向け住宅・施設はいくつも存在します。介護度が軽いうちから住み替えを検討しておくと、将来的な不安を減らし無理なく新環境に慣れることができます。ここでは、要支援の方が入所可能な主な施設について解説します。

区分 主な対象者 特徴・サービス内容
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 自立~要支援・要介護軽度 ・バリアフリー賃貸住宅
・安否確認・生活相談などの基本サービス付き
・日中スタッフ常駐、緊急対応・食事・家事代行などオプション利用可
有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型) 自立~要介護 介護付き住宅型健康型など、利用者の状態に合わせて選択する
軽費老人ホーム(ケアハウス) 60歳以上で身寄り・経済面に不安のある方(要支援含む) ・自立~軽度支援者向け
・食事提供・見守りなどの生活支援あり
・外部介護サービス利用可
養護老人ホーム 65歳以上で自立可能・経済的困窮や家庭事情により在宅困難な方(要支援含む) ・食事・入浴提供
・日常生活支援
・見守り
・レクリエーション
グループホーム(認知症対応型共同生活介護) 要支援2以上かつ認知症の診断を受けた方 ・少人数(9名程度)での共同生活
・家庭的な環境でケアを提供

以上のように、要支援段階でも入居可能な施設はいくつかあります。民間施設は費用が高めですがサービスが充実し、公的施設は安価な一方入居条件や待機の問題があります。施設選びの際は費用提供サービスの内容(介護体制や生活支援の範囲)、そして退居条件などを確認することが重要です。特に介護付きホーム以外では、重度化すると退去が必要なケースもありますので、長期的な視点で適した住まいを選びましょう。迷ったときは地域包括支援センターや民間の紹介事業者に相談し、専門家の意見を聞きながら検討するとよいでしょう。

まとめ

まとめ

要支援に認定されたということは、現在は軽い支援で自立した生活が可能であり、これから先の介護状態への進行を予防する段階です。要支援と要介護の違いを正しく理解し、使えるサービスは積極的に活用していくことが大切です。その際は家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーなど専門職のアドバイスを受けながら進めるとよいでしょう。

介護サービス以外にも、福祉用具や見守り機器、配食サービスなど、高齢の方を支えるツールや制度は多様です。自治体の高齢者支援策も活用し、在宅生活をサポートしていきましょう。適切な支援と予防策を講じることで、支援が必要な状態を長く保ち、できる限り介護度を上げずに暮らすことも十分可能です。地域の介護専門職や医療者と連携しながら、不安の少ない介護生活を送れるようにしましょう。

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