介護等級(要介護度)とは?等級が上がるメリットとデメリットについて解説します

介護保険制度は、介護がどの程度必要かを示す指標として介護等級(要介護度)が設けられています。これは、介護サービスをどのくらい利用できるかを決める大切な基準です。
本記事では介護等級(要介護度)について以下の点を中心に紹介します。
- 介護等級とは何なのか
- 要介護認定はどのように進められるのか
- 介護等級別に利用できるサービス内容
介護等級(要介護度)について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
介護等級(要介護度)の概要

介護等級とは何ですか?
この区分によって、利用できる介護サービスの内容や介護保険の支給限度額が決まるため、介護等級は介護保険を利用するうえで重要な基準といえます。認定を受けることで、介護サービスを自己負担1〜3割の範囲で利用できるようになります。
要介護認定の基準と状態の目安はどのくらいですか?
この判定は要介護認定等基準時間と呼ばれる指標が用いられ、食事や排泄、入浴、移動など、介護に要する時間を推計して区分を定めます。例えば、自立(非該当)は25分未満、要支援1は25〜32分、要介護5は110分以上が目安とされています。
要支援と要介護には、どのような違いがありますか?
要支援は、基本的な生活動作は自身で行えるものの、一部の動きに見守りや手助けが求められる状態です。例えば、掃除や入浴時の段差が難しいなど、日常生活の一部にサポートが必要なケースが該当します。この段階は、将来的に介護が必要な状態へ進行しないよう、筋力維持や生活能力の改善を目的とした介護予防サービスが中心です。
一方、要介護は、日常生活のさまざまな場面で介護が欠かせない状態です。食事や排せつ、移動などの基本動作に介護が必要で、認知機能の低下が認められることもあります。要介護の方には、生活を維持するための介護サービスが利用でき、より幅広く手厚い支援を受けられます。
つまり、要支援は自立に近く、予防的な支援が必要な段階、要介護は生活を営むために継続的な介護が必要な段階といえます。
要介護認定の流れと等級が上がる影響

要介護認定はどのように進められますか?
申請後は、市区町村の職員や委託された認定調査員が自宅や入院先を訪問し、身体機能や認知機能、生活動作などを調査します。この訪問調査の内容と、主治医が作成する主治医意見書をもとに、コンピューターによる一次判定が行われます。
その後、保健や医療、福祉の専門の方々で構成される介護認定審査会によって二次判定が実施され、最終的な要介護度が決定されます。結果は、申請から30日以内に通知され、有効期間は原則6ヶ月(更新時は12ヶ月)です。もし判定内容に納得できない場合は、再審請求を行うこともできます。
介護等級が上がるメリットを教えてください
1. 介護サービスの上限額が増える
介護保険は、要介護度に応じて1ヶ月あたりに利用できるサービスの上限(支給限度額)が定められています。等級が上がるほど上限が高くなり、よりさまざまな介護サービスを利用できます。自己負担は所得に応じて1〜3割で、超過分のみ全額負担となります。
2. 利用できるサービスの種類が増える
要介護度が上がると、軽度者では利用できなかったサービスが利用できます。例えば、夜間対応型訪問介護や看護小規模多機能型居宅介護、福祉用具(介護ベッドや車いすなど)の貸与などが挙げられます。身体状況に応じたさまざまな支援を受けられる点がメリットです。
3. 介護施設の入所条件を満たせる
介護施設によっては、一定の要介護度が入所条件となっています。特別養護老人ホームでは原則として要介護3以上が対象であるため、等級が上がることで入所可能な施設が増えます。早期に安定した介護環境を整えたい方にとって重要なポイントです。
介護等級が上がるデメリットを教えてください
1. 介護サービスの費用負担が増える可能性がある
要介護度が高くなるほど、利用できるサービスの内容や時間が増える一方で、サービスによっては料金が上がる場合があります。
特にデイサービス(通所介護)やショートステイなどでは、要介護度に応じて単位数が増えるため、同じ利用回数でも費用が高くなる傾向があります。月ごとの利用限度額を超えなければ保険給付の対象ですが、限度額の範囲内で利用していても自己負担額が増えるケースもあります。
もし費用が家計を圧迫する場合は、自治体の高額介護サービス費制度を利用することで、一定の自己負担上限額を超えた分が払い戻される場合があります。
2. 現在の介護施設を退去しなければならない場合がある
介護度の上昇によって、今入居している施設の入所条件を満たせなくなることがあります。
例えば、サービス付き高齢の方向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームでは、自立または軽度の介護が必要な方を対象としている場合が少なくないため、介護度が上がると退去を求められることがあります。
こうした事態を避けるためには、入居時に介護度が上がった場合の対応方針や外部介護サービスの利用可否を確認しておくことが大切です。
介護等級(要介護度)別に受けられる介護サービス

介護等級別に利用できるサービス内容を教えてください
介護等級(要介護度)によって、受けられる支援やサービスは以下のとおりです。
【要支援1・2:介護予防サービス】
要支援の方は、できるだけ自立した生活を続けるための予防的な支援が中心です。掃除や買い物を手伝う訪問介護(生活援助)や、デイケアでのリハビリ、運動指導などが受けられます。
【要介護1〜5:介護サービス】
要介護に認定されると、身体介護や生活支援を含む幅広いサービスが利用できます。訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームなど、在宅と施設の両方に対応しています。
介護等級別の支給限度基準額はいくらですか?
要支援1:50,320円
要支援2:105,310円
要介護1:167,650円
要介護2:197,050円
要介護3:270,480円
要介護4:309,380円
要介護5:362,170円
上記は、1単位=約10円で算出していますが、単位あたりの金額は地域によって異なり、都市部では単価がやや高めに設定されています。支給限度基準額はあくまでサービス利用料の上限であり、現金で支給されるものではありません。
福祉用具のレンタルや購入は等級で違いがありますか?
一方、再利用できない腰掛便座や入浴補助用具などは購入対象で、年間10万円までが購入の上限(自己負担1〜3割)です。
編集部まとめ

ここまで介護等級(要介護度)についてお伝えしてきました。介護等級(要介護度)についての要点をまとめると以下のとおりです。
- 介護等級(要介護度)とは、介護保険制度において“どの程度の介護が必要か”を示す指標のことで、認定区分は非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の8段階に分かれている
- 要介護認定の手続きは、市区町村が実施する一連の審査を経て進められる
- 要支援の方はできるだけ自立した生活を続けるための予防的な支援、介護予防サービスが受けられる。要介護の方は身体介護や生活支援を含む幅広いサービス、介護サービスが対象となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献

