介護職員初任者研修の取り方とは?資格の概要や介護サービスとの関係をわかりやすく解説

介護職員初任者研修という資格を耳にしたことはあるでしょうか。介護の仕事に興味がある方はもちろん、家族の介護施設選びを検討している方にとっても、知っておきたい資格のひとつです。
本記事では介護職員初任者研修について、以下の点を中心に紹介します。
- 介護職員初任者研修の概要と取り方
- 修了後にできる介護業務と活躍できる現場
- 介護サービスを利用する側が知っておきたいポイント
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
目次 -INDEX-
介護職員初任者研修の概要と資格の取り方

介護職員初任者研修とはどのような資格ですか?
介護の仕事には、大きく分けて以下の2種類があります。
・生活援助:調理、掃除、買い物など、日々の暮らしをサポートする業務
・身体介護:入浴、食事、排せつの介助など、身体に直接触れるサポートを行う業務
このうち身体介護を行うには、要介護者のさまざまな状態に応じた専門知識と技術が必要です。介護職員初任者研修は、そうした専門性を身につけていることの証となる資格です。
介護職を目指す方だけでなく、家族の介護をする方にも役立つ内容が含まれており、全国の介護施設や事業所でニーズが高まっています。地域を問わず就職、転職活動に活かせる点も特徴のひとつです。介護職員初任者研修ではどのような内容を学びますか?
主な科目と時間数は以下のとおりです。
・職務の理解(6時間)
・介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
・介護の基本(6時間)
・介護・福祉サービスの理解と医療との連携(9時間)
・介護におけるコミュニケーション技術(6時間)
・老化の理解(6時間)
・認知症の理解(6時間)
・障害の理解(3時間)
・こころとからだのしくみと生活支援技術(75時間)
・振り返り(4時間)
なかでも”こころとからだのしくみと生活支援技術”は75時間と比重が大きく、体位交換や食事介助、排泄介助、移乗介助など、現場で必要な身体介護の技術を実技演習形式で学びます。
講義では介護保険制度の仕組みや認知症、障害の基礎知識、コミュニケーション技術など、幅広い専門知識を習得します。全科目を修了した後には修了試験が行われ、合格することで資格が取得できます。
ホームヘルパー2級との違いはありますか?
主な変更点は以下のとおりです。
・修了試験の追加
・30時間の現場実習の廃止
・”認知症の理解”の科目追加
・訪問介護以外への対応範囲の拡大
・キャリアパスの明確化
ヘルパー2級はカリキュラムを修了すれば資格を取得できましたが、初任者研修では筆記試験への合格が必要です。また、現場実習が廃止された分、スクーリングによる演習時間が増加しています。
学習内容も拡充され、認知症ケアへの対応ニーズの高まりを受けて”認知症の理解”が新設されました。さらに、ヘルパー2級では訪問介護が中心でしたが、初任者研修は特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、幅広い介護サービスに対応できる内容です。介護職員初任者研修を修了するとどのような介護業務ができますか?
・入浴介助
・食事介助
・排せつ介助
・体位変換、移乗介助
介護職員初任者研修の取り方を教えてください
取得方法は以下の2種類があります。
・通信+スクーリング
・スクーリングのみ
実技演習が必須のカリキュラムに含まれているため、独学や通信のみでの取得はできない点に注意が必要です。通信+スクーリングの場合、自宅学習は40.5時間まで認められており、残りの89.5時間はスクーリングで学びます。
仕事や家事で忙しい方でも取得しやすいよう、スクールによっては平日週1回クラス、土曜日のみクラス、夜間クラスなど、さまざまな受講スタイルが用意されています。
介護サービスを利用する側が知っておきたいポイント

介護職員初任者研修を修了した職員はどのような介護サービスに関わりますか?
・特別養護老人ホーム
・介護付き有料老人ホーム
・グループホーム
・通所介護(デイサービス)
・訪問介護
・病院(看護助手)
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所型施設では、食事や入浴、排せつなどの身体介助を継続的に担い、利用者の日常生活全般をサポートします。グループホームは少人数制で家庭的な雰囲気が特徴で、認知症の方一人ひとりに寄り添ったケアが行われます。
デイサービスでは日中のみ通所する利用者の食事や入浴、レクリエーションのサポートが中心です。訪問介護では、初任者研修を修了した職員が利用者の自宅を訪問し、身体介護と生活援助を行います。
家族が利用する施設やサービスに初任者研修を修了した職員が配置されているかどうかは、安心して介護を任せられるかを判断するひとつの目安となります。介護施設選びで初任者研修を持つ職員が多い施設を選ぶべきですか?
ただし、資格保有者の数だけでサービス内容を判断するのは適切ではありません。施設の質を見極めるには、以下のような点も併せて確認することが重要です。
・職員が研修を受けられる環境や制度があるか
・職員1人あたりの入居者数は適切か
・離職率が平均と比べて低いか
・第三者評価を受けているか
資格の保有状況はあくまでも判断材料のひとつとしてとらえ、職員の対応や施設の運営体制など、複数の視点から総合的に評価することが、よりよい施設選びにつながります。
介護職員の資格は介護サービスの質に関係しますか?
例えば、認知症ケアの専門知識を持つ職員は、BPSD(ビーピーエスディー:認知症の方に見られる行動や心理症状)にも対応できます。また、医療的ケアを学んだ職員が増えることで、利用者の急変時にも迅速な初期対応が期待されます。
資格の学習を通じて身につく専門性には、知識や技術だけでなく以下のような要素も含まれます。
・倫理観:利用者の尊厳を守り、意向に寄り添う姿勢
・傾聴力:利用者の気持ちを否定せず受け止めるコミュニケーション技術
・観察力:日常のなかで利用者の変化に気付く力
介護施設を選ぶときに職員の資格を確認することはできますか?
・介護サービス情報公表システムを活用する
・重要事項説明書を確認する
・見学時に直接質問する
介護サービス情報公表システムは、全国の介護サービス事業所の情報をインターネットで検索、閲覧できる公的なシステムです。また、2025年度からはすべての介護サービス事業者に重要事項などのWebサイトへの掲載と公表が義務付けられたため、以前よりも手軽に情報を確認できる環境が整っています。
重要事項説明書には、職員の人員配置体制や有資格者の割合が記載されており、入居を検討している施設から取り寄せて確認できます。
見学時には、資格保有状況に加えて、資格取得支援制度の有無や研修、教育プログラムの内容も質問してみましょう。こうした教育体制への取り組みを確認することで、職員の専門性がどのように育まれているかを見極められます。
編集部まとめ

ここまで介護職員初任者研修の取り方と介護サービスとの関係についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下のとおりです。
- 介護職員初任者研修は、介護職のキャリアのスタートとなる資格で、全10科目、130時間のカリキュラムを修了し、試験に合格することで取得できる
- 修了後は身体介護が行えるようになり、訪問介護、特別養護老人ホーム、グループホームなど幅広い現場で活躍できる
- 職員の資格保有状況は介護サービスの質に関係しており、施設選びの際は重要事項説明書や介護サービス情報公表システムを活用して確認できる
本記事の情報が、皆さまの介護に関する理解を深めるためのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




