要介護5でも自宅介護はできる?自宅介護のポイントや利用できるサービスを詳しく解説します

要介護5と認定された方を介護する際、「自宅での介護は現実的に可能なのだろうか?」と、不安を抱える家族も少なくありません。
要介護5の自宅介護は課題もありますが、介護サービスなどのサポート体制を活用することで、住み慣れた自宅で介護が続けられる可能性があります。
本記事では要介護5の自宅介護について以下の点を中心に紹介します。
- 要介護5とは?
- 要介護5を自宅介護する場合
- 要介護5が受けられる介護サービス
要介護5の自宅介護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
要介護5とは

要介護5の認定基準を教えてください
在宅での介護を続けるには負担が伴いやすく、介護者が心身ともに疲弊して共倒れになるリスクもあります。
以上のように、要介護5の方をサポートするには、本人の安全と家族の健康を守るためにも、無理のない支援態勢を整えることが求められます。
要介護5は具体的にどのような状態ですか?
身体的には、立ち上がる、歩く、姿勢を保つなどの基本動作が難しく、食事や排泄、着替えなど生活全般に介助を要します。身だしなみや掃除といった家事も行えず、ほとんどが寝たきりの状態だといわれています。
また、認知機能の低下がみられる傾向があり、認知症によって意思の伝達が難しくなる場合もあります。なかでもアルツハイマー型認知症が進行したケースでは、末期症状として寝たきりの状態になることも少なくありません。
意思疎通が困難である一方、自力で動きにくいため、徘徊などの周辺症状はあまり見られないとされています。しかし、要介護5の方は24時間の介護や見守りが必要な状態であり、在宅介護では介護者への負担が大きくなる傾向があります。
要介護4との違いを教えてください
要介護4は、要介護認定等基準時間が90分以上110分未満とされており、立ち上がりや歩行、立位保持といった動作が難しくなります。トイレや入浴、着替えなどさまざまな場面で介助を必要としますが、介護や見守りがあれば自力で行える動作も一部残っているのが特徴です。
また、理解力や判断力が低下し、意思疎通に時間がかかることもあります。
一方、要介護5は要介護認定等基準時間110分以上とされています。立ち上がることや歩くことがほぼできず、寝たきり状態となり、食事や排泄、着替えなど日常生活のほぼすべてで他者の介助を必要とします。
認知機能の低下もより顕著で、意思疎通が難しくなるケースも見られます。
なお、要介護認定等基準時間とは、介護に必要な推定時間を示す数値です。高齢の方の能力や介助方法、障がいの有無などの情報をもとに統計的に算出され、結果をもとに要介護度が判定されます。
つまり、要介護4は一部介助で可能な動作が、要介護5は全面的に介助が必要な状態に変わることが大きな違いです。
要介護5の自宅介護

要介護5でも自宅介護できますか?
また、経管栄養や酸素療法などの医療的ケアを要するケースもあり、昼夜を問わず見守りが必要となる場合もあります。
しかし、要介護5でも在宅で介護が続けられるケースもあります。公的および民間の介護サービスなどを活用すれば、自宅での生活を維持できるケースもあります。
無理のない範囲での在宅介護を心がけ、家族の負担軽減を図りつつ、必要な支援を受けることが重要です。
要介護5の方を自宅で介護し続けるためのポイントを教えてください
まず大切なのは、一人で抱え込まないことです。担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、在宅介護に必要な支援を受けましょう。
介護保険サービスは、訪問介護や訪問入浴、デイサービス、ショートステイなどがあり、これらを組み合わせることで、介護者の負担軽減につながります。
また、介護保険では対応できない家事代行や外出支援などを希望する場合は、介護保険外サービスを活用するのも一つの方法です。さらに、働きながら介護を続ける方は、介護休暇制度や短時間勤務制度など職場のサポート体制を確認しておくとよいでしょう。
在宅介護を長く続けるためには、介護する家族自身の心身の健康を保つことが重要です。無理のない範囲で支援を受けながら、必要に応じて施設入所の検討も進めていきましょう。
要介護5で受けられる介護サービスと支援制度

要介護5で利用できる介護保険サービスを教えてください
訪問型サービスは、介護士が自宅を訪問して生活援助や身体介護を行う訪問介護や、看護師が健康管理や医療的処置を行う訪問看護、寝たきりの方にも対応できる訪問入浴介護などがあります。
また、理学療法士などによる訪問リハビリテーションや、医療スタッフによる居宅療養管理指導も利用できます。
通所型サービスには、入浴や食事、機能訓練を行う通所介護(デイサービス)や、医療的なリハビリテーションが受けられる通所リハビリテーション(デイケア)があります。地域密着型や認知症対応型の施設もあり、利用者の状態や希望に合わせて選択しましょう。
短期宿泊型サービスは、短期入所生活介護(ショートステイ)や短期入所療養介護(医療型ショートステイ)があり、介護者の休養や体調不良時にも役立ちます。
そのほか、介護用ベッドや車いすなどをレンタルできる福祉用具貸与、ポータブルトイレなどを購入できる福祉用具購入、住宅のバリアフリー化を支援する住宅改修も介護保険の対象です。
要介護5の介護費用はどのくらいですか?
参照:『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査』(公益財団法人 生命保険文化センター)
介護施設を利用する場合は、特定施設入居者生活介護という制度が適用される場合があります。特定施設入居者生活介護は、入浴や排泄、食事介助、機能訓練などのサービスが定額で受けられる制度です。
所得によって異なりますが、基本的に要介護5は1日あたり約800円、30日で約24,000円が自己負担の上限額です。ただし、入居にかかる費用のほか、日常生活で必要となるおむつ代などの実費は、別途負担する必要があります。
要介護5で受け取れる給付金はありますか?
1.特定入所者介護サービス費
介護施設に入所する際の食費や居住費の一部を介護保険から給付する制度です。所得や資産状況に応じて3段階の区分があり、上限を超える分が補助されます。利用には市区町村での負担限度額認定が必要です。
2.高額介護サービス費
介護サービスの1ヶ月あたりの自己負担額が所得区分ごとの上限を超えた場合、その超過分が払い戻されます。
3.高額医療、高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の自己負担を合算し、限度額を超えた分を支給する制度です。
4.障害者控除、医療費控除
要介護5の方が寝たきりなど重度障害に該当する場合、所得税から400,000万円の控除を受けられる場合があります。医療費や介護サービス自己負担も控除対象です。
5.自治体独自の助成制度
おむつ代助成や介護用品購入費補助などが設けられている地域もあります。詳細は市区町村の介護保険窓口に確認しましょう。
編集部まとめ

ここまで要介護5の自宅介護についてお伝えしてきました。要介護5の自宅介護の要点をまとめると以下のとおりです。
- 要介護5は、介護度のなかで重度の状態であり、自力での立ち上がりや歩行が難しく、食事や排泄、着替えなど生活のほぼすべてで介助が必要なほか、認知症の進行により意思疎通が困難な場合もある
- 要介護5の方を自宅介護する際は、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを組み合わせ、無理のない支援を整えることが重要
- 要介護5の方は、訪問介護や訪問入浴、通所介護、ショートステイなど、ほぼすべての介護保険サービスが利用でき、福祉用具の貸与や住宅改修も支援対象である
要介護5の介護は家族だけで抱え込まず、行政や専門の支援を積極的に活用することが大切です。介護する側とされる側の双方が、安心して過ごせる環境づくりを意識しましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献



