認知症の初期症状は?早期発見の方法やチェック方法、介護方法も解説
公開日:2026/04/20

認知症は高齢化社会において、多くの人が関心を持つ疾患の一つです。誰にとっても他人事ではない身近な問題です。初期の段階では日常の物忘れと区別がつきにくく、変化に気付きにくい場合があります。
加齢に伴う単なる物忘れだと思い込み、対応が遅れてしまうケースは少なくありません。しかし認知症は早期に発見し、正しい知識で向き合うことで、その後の生活の質を大きく左右する病気です。
本記事では、認知症の初期症状の特徴や早期発見の方法、自宅でできるチェック方法、家族が知っておきたい接し方や介護のポイントを解説します。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
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【経歴】
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
目次 -INDEX-
認知症の初期症状の特徴

認知症とはどのような病気ですか?
認知症とは、脳の神経細胞が何らかの原因で破壊されたり働きが悪くなったりすることで、認知機能が低下し日常生活に支障をきたす状態を指します。単一の病名を指すのではなく、記憶力や判断力、理解力などの脳の機能が損なわれる状態の総称です。かつては痴呆と呼ばれていましたが、現在は本人の尊厳を守り、正しく理解するために認知症という言葉が定着しました。この病気の特徴は本人の意思に関わらず、これまで当たり前にできていた家事や仕事、対人関係の構築が困難になることです。
認知症の種類について教えてください。
認知症は、原因となる脳の変化によっていくつかの種類に分かれます。なかでも全体の約7割を占めるのがアルツハイマー型認知症です。脳に特殊なたんぱく質が蓄積し、萎縮が進むことで起こると考えられています。次に多いのが脳血管性認知症です。脳梗塞や脳出血などによって脳の血管がダメージを受け、一部の神経細胞が死滅し発症します。また、実際には存在しないものが見える幻視や手足の震えが特徴のレビー小体型認知症、性格の変化や言葉の詰まりが目立つ前頭側頭型認知症などもあります。それぞれの型によって症状の出方や進行のスピードが異なるため、どのタイプに該当するかの診断が治療の第一歩となるでしょう。
認知症の初期症状にはどのようなものがありますか?
認知症の初期症状はさりげない変化から始まります。多いのは記憶障害で、数分前の出来事や先ほど聞いたばかりの内容を忘れてしまうなどの兆候です。また、段取りが悪くなるのも重要なサインです。料理の味付けが変わったり、得意だった趣味に興味を示さなくなったり、買い物で同じものを何度も買ってきたりするようになります。時間や場所の感覚が曖昧になる見当識障害も現れ始め、今日が何日か分からなくなる、慣れた道で迷うなどの症状が出ます。感情面では、以前よりも怒りっぽくなったり、逆に無気力でぼんやり過ごす時間が増えたりするなど性格が変わったように見えるケースも少なくありません。
物忘れと認知症の違いはどこにありますか?
加齢による物忘れと認知症の違いは、体験の一部を忘れるのか、それとも体験のすべてを忘れるのかという点です。例えば、昨日の夕食の内容を思い出せない場合は、加齢による物忘れの可能性がありますが、晩ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのは認知症の疑いがあります。また、加齢による物忘れの場合は思い出せないことに対して自覚があり、ヒントがあれば思い出せます。一方で認知症の場合は、忘れていること自体を認識していないケースが多く、周囲が指摘しても否定したり取り繕ったりするのが特徴です。さらに、日常生活に深刻な支障が出ているかどうかも判断基準となります。
認知症の早期発見の方法とチェック方法

認知症を早期に発見する方法はありますか?
認知症を早期に発見するためには、何よりも周囲の気付きが重要です。医学的なアプローチとしては脳神経外科や心療内科、精神科、あるいはもの忘れ外来などの受診を検討しましょう。医師は問診に加え、MRIやCTによる画像診断で脳の萎縮を確認したり、知能テスト(HDS-RやMMSEなど)を用いたりして総合的に判断します。最近では、地域包括支援センターへの相談や、自治体が実施する検診プログラムの利用も一般的です。日常生活のなかで以前の本人ならしなかったようなミスが頻発するようになったら、記録しておき、認知症の専門の医師に相談する準備を整えるのがよいでしょう。
自宅でできるチェック方法はありますか?
家庭でできる簡易的なチェックとして時計描画テストがあります。真っ白な紙に時計の文字盤を書き、指定した時刻の針を書き入れるものです。認知機能が低下していると、数字の配置が偏ったり、針が正しく描けなかったりします。また、日常生活の様子を観察するチェックリストも有効です。同じ話を繰り返す発言や身だしなみに無頓着になった、電気やガスの消し忘れが増えた、財布を盗まれたと騒ぐなどの項目に複数当てはまる場合は注意が必要です。ただし、これらはあくまで目安にすぎません。結果に一喜一憂しすぎず、不安を感じたら早めに専門機関へ足を運ぶための動機付けとして活用しましょう。
認知症を早期に発見するメリットを教えてください
初期に発見するメリットは、進行を遅らせるための対策を早期に開始できることです。薬物療法やリハビリテーションを早期に始め、自立した生活を送れる期間を延ばせる可能性があります。また、本人の判断能力が保たれているうちに将来の介護方針や財産管理、延命治療の有無などを家族と話し合えることも大きなメリットです。さらに、家族も心の準備を整えながら、行政のサービスや介護保険の申請などを余裕を持って進められます。早期発見は、本人にとっても家族にとっても将来の不安を軽減し、尊厳ある暮らしを守るための鍵となります。
認知症の初期段階で進行を抑える予防法と介護方法

認知症の初期段階で進行を抑える予防法はありますか?
認知症の進行を抑えるためには、脳への刺激と健康的な生活習慣の維持が重要です。食事面では、塩分を控え、野菜や青魚を積極的に取り入れる食事が推奨されます。運動面では、ウォーキングなどの有酸素運動が脳の血流を改善し、認知機能の低下を抑える可能性が示唆されています。また、社会的な交流を絶やさないことも重要です。友人との会話や地域活動への参加、趣味の継続などは脳を活性化させます。計算ドリルやパズルなども有効ですが、何よりも楽しんで取り組む工夫が継続のコツです。五感を刺激し、新しいことに挑戦する姿勢が脳の若々しさを保つ助けとなります。
初期の認知症の家族に接する際の注意点はありますか?
認知症の家族と接する際に大切なのは、本人のプライドを傷つけないことです。物忘れを厳しく指摘したり、何度も同じことを聞かれて声を荒らげたりするのは逆効果です。本人は忘れたくて忘れているわけではなく、思うようにできない自分に対して誰よりも不安と焦りを感じています。感情的に責めてしまうと本人は自信を失い、うつ状態になったり、周辺症状(BPSD)が悪化したりする恐れがあります。接する際は否定しない・叱らない・説得しようとしないことを意識し、本人の言葉をまずは肯定し、寄り添う姿勢が心の安定につながるでしょう。
初期の認知症の家族の介護はどのようにすればよいですか?
初期の介護では、何でも代行するのではなくできることは本人が自分で行える環境づくりが重要です。例えば、料理をすべて作ってあげるのではなく野菜を切るなどの簡単な工程を手伝ってもらうことで、脳の機能を維持できます。生活環境を整えることも大切で、カレンダーやメモを目立つ場所に配置したり、持ち物に名前を書いたりなどの工夫を凝らしましょう。また、介護者一人がすべてを抱え込まないことが持続可能な介護の秘訣です。ケアマネジャーと連携し、デイサービスなどの介護保険サービスを早期から導入すると、本人は社会的な刺激を得られ家族はリフレッシュする時間を確保できます。
編集部まとめ

認知症は、正しい知識と適切な対応によって向き合うことができる病気です。初期症状を正しく理解し、落ち着いて対応することで、穏やかな生活を長く続けられる可能性があります。
歳だから仕方ないと片付けず、日々の変化に寄り添う温かい視点を持つ考え方がケアへの第一歩となります。まずは、地域の窓口や認知症専門の医師に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
一人で悩まず、周囲のサポートを活用しながら、本人にとって適切な環境を整えていくことが明るい介護生活を実現する道しるべとなります。
参考文献
- 自治体で取り組む 共生に向けた認知症早期発見・早期介入実証プロジェクト研究(J-DEPP) 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 認知症発症/ 進行のリスク 早期発見の手引き
- 知っておきたい認知症の基本|政府広報オンライン
- 認知症疾患医療センター|独立行政法人国立病院機構 北陸病院
- 「もの忘れ」は、老化と認知症でどうちがう?|日本科学未来館
- 高齢者の判断能力の診断、評価について
- もの忘れと認知症|国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
- 地域在住高齢者の認知機能スクリーニングのための時計描画テスト ―定量的および定性的評価による検討―
- 認知症とともに生きる
- あたまとからだを元気にする MCIハンドブック
- 認知症の人と接するときの心がまえ|厚生労働省
- 認知症を患う人を支えるご家族の方へ



