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介護者のメンタルヘルスへの影響と介護支援について解説!

 更新日:2025/12/10
介護者のメンタルヘルスへの影響と介護支援について解説!

介護が必要な方を支えるなかで、精神的な負担を感じることは少なくありません。長期間にわたる介護が続くと、ストレスや不安が積み重なるため、メンタルケアが重要です。

本記事では、介護中のメンタルケアについて、以下のポイントを中心にご紹介します。

  • 介護者のメンタルヘルスへの影響
  • 介護者のメンタルヘルスを守る対策
  • 介護支援について

これらを参考にして、より健全な介護生活を送るための手助けにしていただければと思います。ぜひ最後までご覧ください。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

介護者のメンタルヘルスへの影響

介護者のメンタルヘルスへの影響

介護者のうつ病について教えてください

介護者のうつ病とは、介護の負担が精神的、肉体的に蓄積することで発症する傾向があります。介護者が長期間にわたって過度のストレスにさらされると、うつ病の症状が現れる可能性があります。

代表的な症状には、食欲不振、睡眠障害、慢性的な疲労感、無気力、集中力低下、不安感などがあります。

介護うつの原因としては、身体的負担、精神的ストレス、経済的な不安が挙げられます。これらが複合的に作用し、介護者の心身に大きな負担をかけるため、早期の対処が必要です。

予防や改善には、介護からの休息時間を確保することや、地域のサポートサービスの利用ががおすすめです。また、家族との協力や主治医への相談も大切です。介護者自身が心身の健康を守ることで、よりよい介護につながります。

介護者の燃え尽き症候群について教えてください

介護者の燃え尽き症候群(バーンアウト)は、長期間にわたる介護によって心身が極度に疲弊し、感情的な枯渇や無力感、無関心などの症状が現れる状態です。
なかでも在宅介護では、24時間体制での対応や社会的孤立、経済的負担が重なり、燃え尽き症候群に陥りやすいとされます。介護者が一人ですべてを抱え込み、精神的なストレスが溜まりやすくなるからです。

主な症状としては、感情的な疲労感、物事への無関心、自己評価の低下、睡眠障害、身体的な不調が挙げられます。これらが進行すると、介護の質が低下し、介護者自身の健康にも悪影響を与えることがあります。燃え尽き症候群を予防するためには、自身の体調や感情に敏感になり、無理をしないことが大切です。

休息を取ることや、趣味やリラックスの時間を確保することで心身のリフレッシュができるでしょう。また、周囲のサポートを受け入れることで、介護者の負担を軽減し、持続可能な介護が期待できます。

介護うつや燃え尽き症候群はどのような方がなりやすいですか?

介護うつや燃え尽き症候群(バーンアウト)は、長期間にわたる介護で精神的、身体的な疲れが積み重なることによって発症します。
特に以下のような方は注意しましょう。

  • 介護の責任が一人に集中している場合:介護の負担が主に一人の介護者にかかると、休息を取る暇がなくなり、精神的、身体的に疲れ果てることがあります。同居している場合はプライベートな時間が減少し、ストレスの蓄積にもつながります。
  • 認知症などでコミュニケーションが難しい場合:被介護者との意思疎通がうまくいかず、孤立感や無力感を感じやすくなります。認知症の進行により暴言や暴力を受けると、介護者のストレスが増大し、うつ状態に陥るリスクが高まります。
  • 社会的サポートが不足している場合:介護者が相談相手を持たない、情報を得られない、支援を受けられない場合、孤独感や不安が強まり、精神的な健康が損なわれます。

これらのリスクを軽減するためには、介護者自身が休息を取ること、家族や地域社会と連携し、適切な支援を受けることが大切です。

介護者のメンタルヘルスを守る対策

介護者のメンタルヘルスを守る対策

介護者のメンタルヘルスを守るための対策を教えてください

介護者のメンタルヘルスを守るためには、以下のような対処法が挙げられます。

  • 介護保険制度の活用:介護者の負担を軽減するために、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスを利用することで、休息を取る時間が増えます。心身の健康を保ちやすくなるので、地域包括支援センターや相談窓口の活用もおすすめです。
  • 適切な休息の確保:介護に追われるなかでも、定期的に休息を取ることが重要です。短時間でも自身の時間を作り、心身をリフレッシュさせることが、長期的な介護生活を支えるためには不可欠です。
  • サポートグループへの参加:同じ立場の介護者と情報交換をしたり、悩みを共有したりすることで、孤独感や不安を軽減できます。介護者同士が支え合うことで、メンタルヘルスを守り、心の安定を得られます。

自身のメンタルヘルスを守りつつ、無理のない介護のためにも、これらの方法を活用してみましょう。

レスパイトケアとは何ですか?

レスパイトケアとは、介護者が一時的に介護から解放され、休息やリフレッシュを図るための支援サービスです。介護は身体的、精神的に負担が大きく、長期間にわたると介護者の健康が損なわれ、介護の質にも影響が出ることがあります。

レスパイトケアは、介護者がリフレッシュすることで心身の健康を守り、介護を続けやすくするための大切なサービスです。

このサービスには、ショートステイやデイサービス、訪問介護、レスパイト入院など、さまざまな形態があります。ショートステイは、数日〜数週間の短期入所生活で、介護者が旅行や用事で家を空ける際に利用されます。

デイサービスは日中の通所型で、介護者が仕事や外出する際に便利です。また、レスパイト入院は、医療的なケアが必要な場合に医療機関で短期間の入院を通じて介護者の負担を軽減するサービスです。

これらのサービスを活用することで、介護者は自身の時間を持ち、心身の健康を保ちながら、よりよい介護へつながります。

介護支援について

介護支援について

介護者を支援する休職制度について教えてください

介護と仕事を両立させるためには、休職制度の活用が重要です。以下の制度を活用することで、介護負担を軽減できます。

  • 介護休業
    介護休業は、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業制度です。対象家族には配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫などが含まれます。
    取得できる日数は、対象家族1人につき93日までです。介護休業中は、雇用保険に加入していれば介護休業給付金が支給される場合もあります。
  • 介護休暇
    介護休暇は、家族の介護や世話のために取得できる休暇制度です。対象家族1人につき年間5日、2人以上の場合は年間10日まで取得可能です。急な通院や手続きなど、短期間の介護にも対応でき、半日単位や時間単位での取得が可能です。

これらの制度は、介護者が仕事と介護を両立させるために欠かせないサポートです。制度を適切に活用することで、介護にかかる負担を軽減し、仕事の継続もできます。また、地域の支援サービスや介護保険サービスも併せて活用することが重要です。

介護をサポートしている施設を教えてください

介護を支援する施設やサービスは、介護者と利用者の生活をサポートする重要な役割を担っています。以下で活用できる施設やサービスをご紹介します。

  • 短期入所生活介護(ショートステイ):介護者が一時的に介護から解放されるためのサービスで、利用者を施設で預かり、専門的なケアを提供します。介護者が休息を取る時間を確保できるため、心身のリフレッシュにつながります。
  • 地域包括支援センター:地域に根ざした介護支援を提供する窓口で、介護者の相談や支援を行います。ケアマネジャーがケアプランを作成し、地域資源を活用したうえで、サービスを提案します。
  • 訪問介護・デイサービス・訪問看護:在宅での介護を支えるサービスです。訪問介護や訪問看護は、専門的なケアが自宅で受けられ、デイサービスは日帰りでリハビリや介護を提供します。利用者の状態に応じたサービスを選ぶことが重要です。

これらのサービスを上手に組み合わせ、介護者の負担を軽減し、利用者の生活の質を向上させることが期待できます。

編集部まとめ

編集部まとめ

介護中のメンタルケアに関する重要なポイントをお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 介護者のメンタルヘルスにおいて、介護は長期間続くことで心身に強い負担を与え、うつ病や燃え尽き症候群を招くリスクがある。加えて、食欲不振や睡眠障害、慢性疲労、無気力などの症状が現れると、介護の質にも影響して介護者自身の健康を脅かす恐れがある
  • 介護者の心身を守るには休息の確保が不可欠であり、介護保険サービスの活用やサポートグループへの参加など、無理をせず支援を受けることが大切である
  • 介護を支えるサービスにはショートステイやデイサービス、訪問介護などがあり、地域包括支援センターでは相談やプラン作成を受けられ、仕事と介護を両立できる制度も整備されている

メンタルケアは、介護を続ける上で欠かせない要素です。自身の心身の健康を守るためにも、支援を受けながら無理なく介護を続けていくことが大切です。

この記事が介護者の方にとって、心のケアの参考となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師