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介護医療院の費用はいくら?入所にかかる費用や月額料金、負担軽減制度を解説

 公開日:2025/10/20
介護医療院の費用はいくら?入所にかかる費用や月額料金、負担軽減制度を解説

介護医療院は、長期的な医療管理と生活支援が同時に必要な高齢の方が入所できる公的施設です。慢性期の病気や障害があり、日常生活の多くで介助を必要とする方を対象とし、医療機能と介護機能の両方を備えています。

入所にあたり多くの方が気になるのが費用です。介護医療院では、介護保険が適用される費用と適用されない費用があり、月額料金は要介護度や自己負担割合、部屋のタイプ、医療処置の有無などによって変わります。

この記事では、入所時の初期費用の有無、月額費用の内訳、部屋タイプごとの差額、食費や医療費の目安を解説します。さらに、高額介護サービス費制度や補足給付などの負担軽減制度も紹介し、自己負担を抑えるための具体的な方法を整理します。
小田村 悠希

監修医師
小田村 悠希(医師)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護医療院の入所にかかる費用と月額料金

介護医療院の入所にかかる費用と月額料金

介護医療院の入所に初期費用は必要ですか?

介護医療院では、民間の有料老人ホームのような入居一時金や敷金は原則不要です。介護医療院は介護保険制度に基づく公的施設であり、入所後は月額利用料を支払う仕組みのためです。

ただし、施設によっては入所時に日用品費や寝具リース代などの実費をまとめて請求される場合があるため、事前に細かい費用項目を確認しましょう。

収入や要介護度ごとの月額費用の目安を教えてください

介護医療院の月額利用料はおおむね10〜20万円で、有料老人ホームより低めです。費用の中心は介護保険が適用される施設サービス費で、要介護度や部屋の種類、職員配置などによって変わります。1割負担で多床室の場合の目安は以下のとおりです。

要介護度 多床室(月額)
要介護1 約24,000円(約800円/日)
要介護2 約27,000円(約900円/日)
要介護3 約33,000円(約1,100円/日)
要介護4 約36,000円(約1,200円/日)
要介護5 約39,000円(約1,300円/日)

この施設サービス費に、居住費・食費・日常生活費などが加わり、総額が決まります。自己負担割合は前年所得に応じて決まり、原則1割負担です。

ただ、単身世帯で年収が約280万円以上の場合は2割負担、約340万円以上では3割負担です。

参照: 『令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼について』(厚生労働省) 『介護報酬の算定構造』(厚生労働省)p20 *要介護でも施設によって金額が少し異なるため、要介護ごとに平均金額を記載 『給付と負担について(参考資料)』(厚生労働省)p2

介護医療院にかかる食費や生活費、医療費などの目安

介護医療院にかかる食費や生活費、医療費などの目安

介護医療院の月額費用に含まれる項目を教えてください

介護医療院の月額費用は、先程述べたように施設サービス費や居住費、食費、日常生活費にわかれます。

項目 内容 負担区分
施設サービス費 医療や介護のケアにかかる費用で介護保険適用あり。 施設形態や要介護度、居室タイプなどで変動する。 1~3割負担
居住費 部屋使用料や光熱費を含む。部屋タイプにより金額が異なる。 全額自己負担
食費 1日3食分の料金。栄養管理された食事が提供され、所得に応じた軽減あり。
日常生活費 おむつ代、衣類、ティッシュ、理美容代など日用品の費用。

個室と大部屋で費用は変わりますか?

居住費は部屋タイプ別に全国共通の基準額が設定され、個室ほど高くなります。

居室タイプ 日額 特徴
多床室 697円 2〜4人同室。 費用は安いがプライバシーは少ない。
従来型個室 1,728円 完全な1人部屋でプライバシーを確保しやすい。
ユニット型個室的多床室 1,728円 もともと多床室(相部屋)だった部屋を簡易的な壁で区切ることで、個室のように使用できるようにしたもの。
ユニット型個室 2,066円 完全個室の前に共有のリビングスペースが配置され、少人数で共同生活を送るのが特徴である

参照: 『令和7年8月からの室料相当額控除の適用について』(厚生労働省)P4

食費や光熱費の目安を教えてください

食費は全国共通の基準額で1日1,445円(約44,000円/月)が目安です。ただし施設の判断で特別食や行事食を提供する場合、追加料金が発生する場合があります。

光熱費は居住費のなかに含まれており、部屋タイプによって金額が異なります。季節や個人の体調に合わせた空調管理も費用に含まれているため、基本的には別途支払う必要はありません。

参照: 『令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼について』(厚生労働省)P5

医療措置を行った場合は別途料金がかかりますか?

日常的な診察や投薬は施設サービス費に含まれますが、以下のような医療処置は医療保険の自己負担(1〜3割)が発生します。

  • 中心静脈栄養(TPN)
  • 胃ろう管理
  • 人工呼吸器の使用
  • 酸素療法などの高度な医療処置
  • 急変時の点滴、輸血、救急搬送
  • 臨時の血液検査や画像検査

また、歯科や眼科などの専門診療も医療保険での負担です。

介護医療院の費用負担を軽減する制度

介護医療院の費用負担を軽減する制度

介護医療院は介護保険サービスの対象になりますか?

介護医療院は介護保険の施設サービスの1つで、要介護1〜5の認定を受けていれば介護保険が適用されます。自己負担は所得に応じて1〜3割です。

ただし、介護保険が適用されるのは施設サービス費のみで、食費や居住費、日常生活費は全額自己負担です。これらは所得や資産条件を満たせば、補足給付(負担限度額制度)で軽減できます。

高額介護サービス費制度の概要を教えてください

高額介護サービス費制度は、施設サービス費の自己負担額が1ヶ月の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。

所得区分 月額上限(世帯)
年収約1,160万円以上 140,100円
年収約770〜約1,160万円未満 93,000円
年収約770万円未満 44,400円
全員が市町村民税非課税 24,600円
生活保護受給者など 15,000円

対象となるのは施設サービス費の自己負担分だけで、食費や居住費などの生活関連費は含まれません。申請は市区町村の介護保険窓口で行います。

参照: 『令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます』(厚生労働省)

介護医療院にかかる費用が支払えないときはどうすればよいですか?

費用の支払いが難しい場合は、いくつかの制度を活用することで負担を軽減できます。まず検討すべきは補足給付(負担限度額制度)です。これは低所得者を対象に、食費や居住費の自己負担額に上限を設ける制度で、所得区分と預貯金額によって利用の可否が決まります。

利用者負担段階 主な対象者 預貯金額(単身の場合) 預貯金額(夫婦の場合)
第1段階 生活保護受給者 要件なし 要件なし
世帯全員が市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者 1,000万円以下 2,000万円以下
第2段階 全員が非課税、年収と合計所得が80万円以下 650万円以下 1,650万円以下
第3段階① 全員が非課税、年収と合計所得が80〜120万円 550万円以下 1,550万円以下
第3段階② 全員が非課税、年収+合計所得が120万円超 500万円以下 1,500万円以下
第4段階 世帯に市町村民税課税者がいる

次に、高額療養費制度があります。これは医療保険が適用される費用のなかで、自己負担額が上限を超えた分を払い戻す制度で、介護医療院の高度な医療処置や専門診療にも利用できます。

それでも費用の自己負担が困難な場合は、生活保護制度の利用が最後の選択肢になります。生活保護が適用されれば、医療・介護費用のほか生活費も公費で賄われます。

参照: 『令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼について』(厚生労働省)P5

編集部まとめ

編集部まとめ 介護医療院は、医療と介護を一体的に受けられる長期療養型の施設であり、費用の構成は大きく分けて施設サービス費、食費、居住費、日常生活費の4つで構成されています。施設サービス費には介護保険が適用され、自己負担は1〜3割ですが、食費や居住費は介護保険の対象外であり、全額自己負担です。居住費は部屋のタイプによって大きく異なり、多床室と個室では月額で3〜4万円以上の差が出ることもあります。

医療措置は、日常的な医療管理は施設サービス費に含まれますが、中心静脈栄養や胃ろう、人工呼吸器などの高度な医療処置や急性期対応は別途医療保険の自己負担が発生します。

費用が高額になり支払いが困難な場合は、補足給付(負担限度額制度)や高額介護サービス費制度、高額療養費制度などを組み合わせることで、負担を軽減することが可能です。これらの制度は、所得や資産の条件を満たせば、食費や居住費の自己負担上限が設けられたり、施設サービス費や医療保険の自己負担分の払い戻しを受けられたりする場合があります。それでも困難な場合は生活保護制度の利用も検討する必要があります。

入所前には、部屋タイプの選択、医療措置の可能性、負担軽減制度の適用可否などを確認し、総額での費用見積もりを行いましょう。制度を適切に活用することで、条件次第では月額数万円単位の負担軽減につながる可能性があります。

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