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要介護認定の流れを徹底解説|申請からサービス利用まで

 公開日:2025/11/20
ガッツポーズをする介護士の女性。

社会の高齢化が進む一方で、少子化や核家族化により介護の担い手が減少し、介護を必要とする方が増える現状に直面しています。

介護人材の不足を補うため、2000年から介護保険制度が導入され、要介護レベルに応じた適切な介護サービスが受けられるようになりました。

介護保険制度は社会の変化に合わせて改定が続いているため、複雑でわかりにくいとの意見もあります。

本記事では、要介護認定の申請からサービス利用までの流れをわかりやすく解説します。介護申請に関する情報を探している方の参考になれば幸いです。

小田村 悠希

監修医師
小田村 悠希(医師)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

要介護認定を申請するための条件

在宅介護・安否確認を受ける高齢者女性

要介護認定を申請するための条件について教えてください。

介護保険事業は、市町村が主要な保険者(介護サービスの運営主体)となって財源を確保し運営されています。要介護認定の申請対象の被保険者(介護サービスを受ける方)は、各市町村の住民基本台帳に登録されている方です。年齢別に第1号被保険者と第2号被保険者に分け、第1号被保険者は65歳以上のすべての方で、介護サービスが必要な状態になった場合に介護度に合わせて支援を受給できます。zspanclass="q_underline">第2号被保険者は40歳以上65歳未満で、医療保険に加入し、厚生労働省の定める16種類の特定疾患のいずれかを持つ方が対象です。日常生活レベルの維持が困難で、要支援や要介護の状態が半年以上持続する場合に適応です。

家族が代わりに申請することはできますか?

要介護認定の市町村窓口への申請は、被保険者本人の意思があることを基本とし、ご家族が代わりに申請できます。また、地域包括支援センターや介護保険事業所、居宅介護支援事業所など第三者による申請代行も可能です。代行申請は、被保険者本人の意思を代わりに伝えることに対し、代理は本人の代わりに意思決定を行う行為です。代理の場合は、被保険者本人から代理権を委任されることが必要ですが、委任状など書類などの提出や手続きは各市町村の窓口に判断が委ねられています。

オンラインで申請することは可能ですか?

国が運営するサイトのマイナポータル内のピッタリサービスで各市町村の介護申請窓口へオンライン申請が可能です。市町村を選択し、要介護・要支援認定の申請のリンクをクリックすると申請ページに遷移します。オンラインでの申請は、マイナンバーカードまたはスマートフォンによる電子署名(スマートフォン用署名用電子証明書を設定済み)が必要です。申請者情報の入力や記載されている必要書類を添付し、申請が完了すると、入力したメールアドレスに受付完了のメールが届きます。手続きの進捗状況はオンラインでの詳細な確認はできないため、必要に応じて申請先の市町村窓口へ問い合わせることをおすすめします。

要介護認定の流れ

ミドルの夫婦に説明するケアマネージャー

要介護認定に必要となる書類を教えてください。

要介護認定の申請手続きに必要な書類は以下のようなものがあります。

  • 要介護・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 医療保険証(第2号被保険者の場合)
  • マイナンバーカード

要介護・要支援認定申請書は、市町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで入手できるほか、市町村のホームページからダウンロードできる場合があります。介護保険被保険者証は65歳以上の第1号被保険者には自動的に交付され、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は医療保険証が必要です。マイナンバーカードは申請書の本人確認や記入時に使用します。

認定までにはどのくらいの期間がかかりますか?

申請後は以下の過程を経るため、介護認定審査会による介護度の決定と結果通知まで1ヶ月程度を要し、市町村によっては2ヶ月程度かかる場合もあります。

  • 主治医意見書
  • 訪問調査
  • 一次判定
  • 介護認定審査会による二次判定
  • 結果通知

申請すると市町村が主治医へ意見書の作成を依頼し、主治医がいない場合は市町村の指定医の診察が必要です。主治医意見書の作成と並行して、市町村の介護認定調査員が自宅を訪問し、74項目にわたる介護認定調査票をもとに心身の状態を客観的に評価します。調査結果をもとにコンピュータで一次判定が行われます。介護認定審査会で行われるのは、主治医意見書と介護認定調査票をもとに介護度を決定する二次判定です。要支援1・2または要介護1〜5のいずれかが記載された介護認定通知書が郵送されます。

結果通知後にすべきことを教えてください。

介護度によって介護サービスの申し込み先が異なるため、介護認定通知書が届いたら、結果を確認して被保険者の介護度を把握することが大切です。要支援1・2の場合は市町村の地域包括支援センターに問い合わせ、介護予防サービスの利用手続きが必要です。担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)が、本人と家族から生活状況を聞き取り、アセスメントを行います。その結果に基づいて介護予防支援計画書を作成・実施します。要介護1〜5の場合は居宅介護支援事業所の利用の申し込みが必要です。申し込んだ事業所のケアマネジャーに介護支援計画書(ケアプラン)を作成してもらい、介護サービスの利用が可能です。適当な介護事業所の探し方がわからない場合は、市町村の介護・福祉の窓口で地域の介護事業所の一覧を紹介してもらえるので相談することをおすすめします。また、市町村ホームページで居宅介護支援事業所の一覧や空き状況を閲覧できたり、厚生労働省のWebサイトでも全国の介護事業所を公表したりしています。

認定結果に納得がいかなかった場合はどうすればよいですか?

介護度や介護保険料などの介護認定結果により、受けられる介護サービスが大きく変わるため、不満がある場合もあるかもしれません。結果に納得がいかない場合は、介護保険法に基づき、都道府県の介護保険審査会に審査請求します。審査請求とは行政不服審査法に基づく行政への不服申し立てで、結果通知から3ヶ月以内に請求する規定があります。介護保険審査会を構成する要員は被保険者側3名と市町村代表3名、都道府県知事が任命する専門調査員などです。

要介護度別おすすめサービス

寝ているシニア女性を介護をする介護士

要介護度はどのようにして決まりますか?

介護認定調査の74項目による一次判定で、次の8つの生活介助動作に分類されます。

  • 食事
  • 排泄
  • 清潔保持
  • 移動
  • 間接援助
  • 周辺症状対応
  • 機能訓練
  • 医療

食事や排泄などの基本的な動作に加え、家事など身の回りの間接援助や、徘徊など周辺症状への対応が含まれます。身体機能の低下を防ぐための歩行訓練などのサポートや、医療介助が必要な状況なども含みます。以上の介助時間を合計して算出したものが、要介護認定等基準時間です。要介護認定等基準時間は、介護に要する時間を尺度とするのではなく、主治医意見書や介護認定調査票を包括して被保険者への介護に必要な労力の程度を何分で表した指標です。例えば、要介護認定等基準時間が25分以下は非該当、25分以上32分未満は要支援1と判定されます。32分以上50分未満は要介護1、20分ごとに段階的に介護度が上昇し、110分以上になると要介護5と判定されます。

要介護1と要介護5ではどのようなサービスの違いがありますか?

要介護度1の被保険者は、ほとんどの日常生活動作が自立していますが、身体機能や認知機能の低下により一部介助が必要な状態です。要介護1は、介護保険支給限度額が毎月167,650円で、限度額内で介護サービスを利用する場合は1〜3割負担で利用できます。介護サービスの内容は通所介護や訪問介護、福祉用具貸与などがあり、必要に応じて組み合わせて利用します。一方、要介護5の被保険者は寝たきりで認知機能に著しい低下を認め、介護者の介助なしでは日常生活を営むことが困難な状態です。介護度が高いため支給限度額も要介護1よりも大幅に上昇し、毎月362,170円に引き上がります。1〜3割負担で訪問介護や訪問看護など医療提供を含めた居宅サービス、施設入所して24時間の介護サービスを受ける施設サービスなど、被保険者とご家族の希望や状況に合わせて利用できます。

各要介護度に合わせたおすすめサービスを教えてください。

要支援1・2の認定の場合、介護予防サービスが適用され、被保険者が健康的で自立した生活を営めるよう支援します。訪問介護サービス(ホームヘルプ)や通所サービス(デイサービス)の利用が可能になるのでおすすめです。要介護1以上になると介護サービスが受けられるため、サービス利用回数の増加や訪問看護など医療面でのサービス、短期入所サービスが適応になるため適宜利用が可能です。要介護3は夜間対応型の訪問介護の利用が可能になり、要介護4・5では24時間介護サービスが受けられる施設入所の選択肢が増えます。要介護4以上になると、自宅での完全介護を選択する場合、ご家族の身体的・精神的負担が大変大きい傾向です。被保険者の希望はもちろん重視されるべきですが、ご家族の介護サポートや自己負担額の状況をよく理解して、ケアマネジャーと相談しながら適切な介護支援を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

老人ホームにいるシニア夫婦と介護職員

要介護認定を申請する条件は各市町村在住の65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の特定疾患を有する第2号被保険者で、被保険者の代わりにご家族が介護申請を行えます。

必要な書類は、要介護・要支援認定申請書や介護保険被保険者証、マイナンバーカードなどです。申請は市町村窓口のほか、オンラインでも申請が可能です。

介護認定通知書が届いたら要介護度を確認し、要支援1・2の場合は地域包括支援センター、要介護1以上の場合は居宅介護支援事業所に介護サービスを申し込みます。

要介護度は要介護認定等基準時間で算出され、介護度が大きくなるにつれ介護サービス内容も変化するため、介護サービスを適宜組み合わせて利用します。

被保険者とご家族が納得して介護を継続できるよう、ケアマネジャーと連携を取りながら介護サービスの利用が大切です。

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