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排泄介助とは?手順やポイント、注意点など詳しく解説します!

 公開日:2025/10/28
排泄介助とは?手順やポイント、注意点など詳しく解説します!

介護の現場では、食事や入浴と並んで排泄介助も欠かせないサポートのひとつです。しかし、実際に行うとなると「どのように手順を進めればいいのか」「転倒や感染のリスクをどう防ぐのか」など、不安や疑問を抱く方も少なくありません。

本記事では、排泄介助について以下の点を中心にご紹介します。

  • 排泄介助の概要
  • 排泄介助の手順やポイント
  • 排泄介助の注意点や介助者が抱えやすい悩み

排泄介助について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

監修

排泄介助の概要

排泄介助の概要

排泄介助とは何ですか?

排泄介助とは、自力で排泄(排尿や排便)を行うことが難しい方に対して、トイレへの誘導や移動の補助、衣服の着脱、おむつ交換などを支援するケアのことを指します。

単なる介助にとどまらず、排泄のリズムを整えたり、清潔を保つことで感染症を予防したりと、生活全般の健康維持に深く関わる役割を持ちます。

さらに、排泄は人にとって大切な生活習慣であり、介助はご本人の尊厳を守ることにもつながります。介護の現場では、ご本人と介助者の双方に負担がかかる分野でもあるため、正しい知識と工夫をもって取り組むことが大切です。

排泄介助にはどのような種類がありますか?

介護における排泄介助には、ご本人の心身の状態に応じたさまざまな種類があります。

・トイレ介助 ・ポータブルトイレ介助 ・尿器・便器の使用による介助 ・おむつ介助

基本となるのはトイレ介助で、自力で歩行や車いす移動ができる方に対して便座までの誘導や着脱の補助を行います。

移動が難しい場合はポータブルトイレを利用し、寝室近くでの排泄をサポートする方法があります。また、寝たきりの方には尿器や便器の使用による介助が行われ、身体を大きく動かさずに排泄できる点が特徴です。

さらにおむつを使用した介助もあり、パンツ型やテープ型を使い分けながら清潔を保ちます。

高齢の方の排尿障害にはどのような種類がありますか?

高齢の方に見られる排尿障害は以下の3種類に分けられます。

・蓄尿障害 ・排出障害 ・尿失禁

蓄尿障害は、膀胱に尿をためる働きが弱まることで起こり、頻尿や強い尿意による切迫性尿失禁が目立ちます。排出障害は、尿を出す力が低下するために残尿感や排尿困難が生じ、前立腺肥大や膀胱の収縮力低下が関与します。

さらに尿失禁にはいくつかのタイプがあり、咳やくしゃみで漏れる腹圧性、急な尿意に耐えられない切迫性、少しずつ漏れ続ける溢流性などが代表的です。

これらの障害は加齢や神経疾患、認知機能の低下などが複雑に絡み合って起こりやすく、生活の質に直結するため、症状を理解して対処することが重要です。

排泄介助の手順やポイント

排泄介助の手順やポイント

排泄介助の手順を教えてください

排泄介助は、相手の尊厳を守り快適に行うための配慮が欠かせません。

1.準備 2.トイレまでの誘導と着脱 3.排泄時の介助 4.排泄後のケア 5.後片付け

まず準備として、必要な器具を整え、移動経路に危険がないか確認します。歩行が不安定な方には車いすを使うなど転倒防止の工夫が重要です。

トイレに着いたら、衣服の脱ぎ着はできる部分をご本人に任せ、介助者は無理のない範囲で補助します。便座に座らせる際には足がしっかり床につくか確認し、安定した姿勢を保てるよう支えます。

排泄後は前から後ろへ清拭し、皮膚を清潔に保つことが大切です。同時に尿や便の状態を観察し、体調の変化に気付けるよう心がけます。最後に器具の洗浄や周囲の清掃を行い、清潔な環境を維持します。

排泄介助で転倒を防ぐ方法はありますか?

排泄介助の場面では、転倒事故が起こりやすいとされており、トイレへ向かう途中や夜間の移動時に発生しやすいです。そのため、事前の対策が重要です。

・環境を整える ・夜間対策を行う ・声かけや付き添いを行う ・行動を予測してサポートする

まず、移動経路に手すりを設けたり、床の段差や滑りやすいマットを取り除いたりと、環境を整えることが基本です。夜間は足元を照らすライトやポータブルトイレの活用で、移動距離を短縮できます。

さらに、ご本人の歩行能力や排尿の特性を把握したうえで、声かけや付き添いも重要です。

加えて、介助者がご本人の行動を予測して先回りでサポートすることで、急な動きによる転倒を防げます。設備の工夫と介助の配慮を組み合わせることで、転倒リスクを減らせます。

排泄介助での衛生管理のポイントを教えてください

排泄介助を清潔に行うために重要な3つのポイントを解説します。

・スタンダード・プリコーションを徹底する ・手指衛生と手袋の正しい使用を守る ・使用器具や環境を洗浄、消毒する

排泄介助における衛生管理は、感染症の予防と介助者やご本人双方の安全性確保に直結します。

まず、排泄物や分泌物には病原体が含まれる可能性があるため、汗を除くすべての体液や排泄物は感染の危険があるものとして扱うことが基本です。

そのため、手袋やエプロン、マスクなどの防護具を着用し、処理後は正しく廃棄します。さらに、介助前後の手洗いやアルコール消毒を徹底し、手袋の着脱も清潔操作を守ることが必要です。

加えて、便器やポータブルトイレ、尿器は使用後に速やかに洗浄と消毒し、未使用物品と汚染物品を分けて管理することで、感染リスクを減らせます。

排泄介助の注意点や介助者が抱えやすい悩み

排泄介助の注意点や介助者が抱えやすい悩み

排泄介助を行う場合の注意点を教えてください

排泄介助を行う際には、相手の尊厳に十分配慮することが大切です。

・尊厳への配慮 ・安全性の確保 ・健康への配慮 ・自立支援

排泄はプライベートな行為であり、恥ずかしさや不安を感じやすいため、声かけや態度には細心の注意を払いましょう。

また、移動時の転倒や転落を防ぐために、手すりや福祉用具を活用し、動作を行う前に説明して安心感を与えることが重要です。

さらに、介助する側の都合で水分を制限してしまうと、便秘や脱水など健康状態の悪化につながるため避けなければなりません。介助はできる限り自立を促す形で行い、ご本人の能力を活かす工夫を取り入れることも大切です。

排泄介助を行う方が抱えやすい悩みを教えてください

排泄介助を行う方が抱えやすい悩みは、以下のとおりです。

・時間的な負担 ・精神的なストレス ・身体的な負担 ・衛生面での疲労 ・感情面での負担

まず大きいのは、介助にかかる時間や手間です。トイレ誘導やおむつ交換は状況によって長引くこともあり、予定どおりに物事を進められないこともあります。

また、頻尿や残尿感など排泄リズムが乱れると、介助の回数が増え失敗も起こりやすく、精神的ストレスを感じやすいです。

さらに、狭いトイレや段差、体位保持や移乗時の支えなど物理的な環境の不備は介助者の腰や腕に負担を与えます。

加えて、ご本人の羞恥心に配慮しつつ行う心理的気遣いや家族だからこそ感じる申し訳なさなど感情面での負担も大きく、排泄介助は多方面で悩みを抱えやすいです。

排泄介助の負担を減らすための工夫を教えてください

排泄介助の負担を減らすためには、日々の工夫や環境づくりが大切です。

・事前準備を徹底する ・環境を整える ・福祉用具を活用する ・介助を分担する

まず、介助に必要な物品を事前に準備し、手の届く場所に配置しておくと作業がスムーズになります。

また、トイレには手すりや補高便座を設置するなど、移動や立ち座りをサポートする工夫を取り入れると腰への負担が軽減されます。

さらに、ポータブルトイレやおむつなどの福祉用具を状況に応じて使い分けることも大切です。

加えて、介助を一人で抱え込まず、家族や介護サービスと協力して分担することで、心身の疲労を軽くできます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで排泄介助について詳しく解説してきました。排泄介助の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 排泄のサポートにはトイレ誘導やポータブルトイレの使用、おむつ交換などがあり、ご本人の状態に合わせた方法を選ぶことが大切
  • 体位保持や声かけ、こまめな衛生管理が大切で、転倒防止の工夫や感染対策も欠かせない
  • 羞恥心や心理的負担に配慮しつつ、介助者自身の腰痛や精神的ストレスを減らす工夫が求められる

本記事を参考に、介助される方と介助する方の双方がより快適に過ごせるサポートにつなげていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。