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【独占取材】泌尿器科ダヴィンチ手術とチーム医療~日本医療の今を探る~

 更新日:2023/03/27

近年、日本でも手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使用する医療現場が多くなってきている。それは技術の発展、さらにロボット支援手術の保険適用範囲が大幅に拡大されたことが一つ挙げられる。
新松戸中央総合病院は各分野の専門医が在籍する、病床数333の地域機関急性期病院である。その泌尿器科で医長を務めるのが竹内医師である。
今回、千葉県松戸市新松戸中央総合病院 泌尿器科におけるダヴィンチ手術を多く手がけているエキスパートチームを率いて、ロボットを巧みに操るダヴィンチ手術のプロ竹内尚史医師に密着取材し日本の医療の今を探っていく。

この記事は下記動画でもご覧いただけます。
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https://youtu.be/82dwOJxTn08

竹内先生

監修医師
竹内 尚史(新松戸中央総合病院 泌尿器科医長)

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東京医科大学卒業。その後、複数の病院を経て、2021年より新松戸中央総合病院にて泌尿器科医として勤務。ダヴィンチ手術を多く手がけている。著書は「前立腺がんは「ロボット手術」で完治を目指す!青月社(共著、改訂版)」。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医、日本性機能学会性機能専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科(泌尿器科)専門医、日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医(手術指導医)、日本ロボット外科学会Robo Doc認定医・ロボット(da Vinci)手術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医 、日本メンズヘルス医学 テストステロン治療認定医、日本医師会認定産業医。

前立腺がんとは

編集部編集部

ダヴィンチ手術の経験実績が豊富で、スタッフや患者さんにもとても人気のある竹内先生ですが、ダヴィンチ手術に対する先生の想いを教えてください。

竹内 尚史竹内先生

やはり現時点でダヴィンチという機械は患者さんにとって一番良い機械だと思いますのでこれを極めることが患者さんに最良の医療を届ける近道になると思いまして、日々身につけようと鍛錬しております。

編集部編集部

近年の前立腺がんの患者数や患者層はどのような傾向がありますか?

竹内 尚史竹内先生

まず、前立腺がん自体が日本において非常に増えていて、男性の罹患率が2021年は2位でしたが、2022年には1位になるのではないかと予想されています。患者さん自体が増えているのも理由の一つですし、PSAというのは前立腺がんのマーカーなのですが、PSAの測定を進められるのが50歳以上なので、やはり一番多いのは60〜70代が多いと思います。ただ最近は50代、中にはまれですけれども40代の方も出てきています。

編集部編集部

PSA検診の普及とともに、今後もかなりの増加が予想される前立腺がん。新松戸中央総合病院ではダヴィンチが導入され、現在まで多くの前立腺がんの患者の治療に役立てられているのですね。

ダヴィンチ手術とは

編集部編集部

そもそもダヴィンチ手術とはどんな手術でしょうか?

竹内 尚史竹内先生

ダヴィンチ手術はまずお腹のところに小さな1cmも満たないぐらいの穴をあけて、そこにロボットの手が入るような形で手術を行います。ロボットの手が手術しますが、人間がロボットを操作して手術する形です。

編集部編集部

ダヴィンチ手術はチーム医療と聞いたことがありますが、前立腺がん手術の場合はいかがでしょうか?

竹内 尚史竹内先生

ダヴィンチ手術とは、ロボット部、操作部、助手用モニターで構成されており、ロボット部には先端に鉗子やメスなどを取り付けた3本のアームと1本のカメラが装着されています。術者はケーブルでつながった操作台に座り、映し出される3次元立体画像を見ながらアームを操り患部の切除や縫合をします。
手術は一人ではできなく、助手であったり、看護師であったり、あとダヴィンチはとても精密で複雑な機械なのでそこに精通したMEという医療機器の係がいます。

編集部編集部

従来の前立腺がんの手術に比べてダヴィンチ手術が優れていると思う点を教えてください。

竹内 尚史竹内先生

やはりロボット手術、ダヴィンチ手術に移行してからは、出血も輸血がほとんどいらなくなったのと低侵襲で終わることです。あとは、退院後もすぐに社会復帰でき、生活の質(QOL)を維持できるので、そういった機能温存を目指した手術になっています。

編集部編集部

極めて狭い領域での手術を可能にするダヴィンチ手術。認定資格を持ち熟練した技術を持つ医師によって行われるこの細かい作業が、身体への優しい手術を可能にしているのですね。

新松戸中央総合病院では、各診療科ロボット手術を安全に実施するために、選出メンバーでロボット手術チームが構成されていた。

竹内医師のプロフェッショナル

編集部編集部

竹内先生が思うプロフェッショナルとはなんですか?

竹内 尚史竹内先生

知識や技術を身につけることに全力を尽くし、誰にも負けない専門技術や知識を持ってこそ初めてプロフェッショナルと言えると思います。

プロフェッショナルが集まり、がん診療に真剣に取り組むダヴィンチ手術チーム。更に技術を高めることでチーム全体が進化し、今後もアップデートしていくのだろう。

今後のダヴィンチ手術について

編集部編集部

今後、ダヴィンチ手術は、どう進化していくと思われますか?

竹内 尚史竹内先生

ひとつのきっかけとしてダヴィンチの特許が切れ、 ほかの会社がどんどんロボット手術に参入してきたので、これからダヴィンチは競争相手がどんどん出てきて、ロボット手術全体の進化の速さは今よりも増して速くなってくるとは思います。

編集部編集部

開発競争が加速するなかで低価格競争などによる市場の拡大、さらにロボット性能の向上が期待されますね。

竹内 尚史竹内先生

現在、ダヴィンチ手術は日本で広がってきていますので、色々な病院でダヴィンチ手術ができるようになるのではないかとは思っています。

編集後記

いまだ限られた場所でしか受けられないダヴィンチ手術。さらに多くの患者さんにこの手術が提供できる日もそんなに遠くはないだろう。

この記事の監修医師