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赤血球の基準値とは?基準値を超えた場合の病状の紹介と対処方法について紹介します!

 公開日:2023/12/15
慢性骨髄性白血病の10年生存率

赤血球は、血液中で酸素を運ぶ重要な役割を持つ血球の一つです。赤血球の数が正常範囲内かどうかを判断する基準値がありますが、基準値を超えたり下回ったりすると、様々な症状が現れることがあります。
本記事では、赤血球の基準値について以下の点を中心にご紹介します。
・赤血球とは
・赤血球の基準値の意義や超えた場合
・赤血球の下回った場合の症状や治療法
赤血球の基準値について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

赤血球とは

赤血球とは
赤血球は、血液中に存在する細胞の一つで、酸素や二酸化炭素を運搬する役割を担っています。
赤血球は、骨髄で生産され、成熟した後に血液中に放出されます。
赤血球の数は、健康な人の場合は一定の範囲内に収まっており、その範囲を「赤血球基準値」と呼びます。赤血球基準値は、性別や年齢によって異なり、健康状態の指標として利用されます。赤血球基準値を超えることで起こる症状や疾患、そして赤血球基準値を下回ることで起こる症状や疾患についても知っておくことが重要です。

赤血球値は何で判断しているのか

赤血球は血液中で最も多い細胞成分であり、赤血球の数や形状、そして内部にあるヘモグロビンの量を検査することで、さまざまな病気の診断や治療を行うことができます。
赤血球の指標としては、酸素を運ぶヘモグロビン量、血液中に占める割合のヘマトクリット値、そして赤血球の容積のMCVがあります。
ヘモグロビン量は貧血の診断に重要な指標であり、正常値は男性で13.1-16.3g/dL、女性で12.1-14.5g/dLです。この値が低下すると、酸素不足を引き起こし、疲れや息切れなどの症状が現れます。
ヘマトクリット値は、赤血球の容積の比率を示し、正常値はおおよそ40%です。この値が低下すると貧血となり、原因となる疾患を特定するためには、さらなる検査が必要となります。
MCVは、赤血球の容積を示す指標であり、赤血球に関する病気を大まかに分類・判断するために必要な検査項目です。
正常値は80-100fL程度であり、MCVが低下すると鉄欠乏性貧血やタンパク質欠乏性貧血などが疑われます。
一方、高値の場合には、ビタミンB12欠乏性貧血や薬剤性貧血などが疑われます。

赤血球の働き

赤血球は、体内の酸素を運ぶために非常に重要な役割を果たしています。
赤血球には、酸素を結合するためにヘモグロビンという赤色のタンパク質が含まれています。
酸素を肺から取り入れ、体内に運搬する際、ヘモグロビンが酸素を結合し、赤血球内を流れる血液中に酸素を運びます。
また、二酸化炭素の排出も赤血球が担当しており、体内の組織から二酸化炭素が生成されると、赤血球内に入って、肺に送られて体外に排出されます。
赤血球は、骨髄で造血されます。
骨髄は、体内の造血幹細胞から、様々な成熟度の血球系細胞を生成しています。
赤血球は、体内の酸素を運ぶため、非常に多く作られます。
赤血球の寿命は約120日であり、寿命が尽きた赤血球は、肝臓や脾臓によって排除されます。
赤血球数は、健康状態の指標としても用いられます。
赤血球数が多い場合には、赤血球増多症と呼ばれる疾患にかかっている場合があります。
赤血球数が少ない場合には、貧血と呼ばれる状態になります。
貧血は、鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏性貧血など、様々な原因があります。

ヘモグロビンの働き

ヘモグロビンは、赤血球の中に存在するたんぱく質であり、酸素や二酸化炭素の輸送に重要な役割を持ちます。
ヘモグロビンは、肺で酸素を吸収した後、酸素を体内の細胞に運搬します。
また、体内の細胞で産生される二酸化炭素を肺に運搬して、体外に排出します。
ヘモグロビン分子は、四つの鉄イオンを持つため、酸素や二酸化炭素分子を結合することができます。
ヘモグロビンの構造が変化することで、酸素の結合・解離が調節されます。
また、ヘモグロビンの量や機能の異常は、貧血や赤血球疾患などの病気の原因となることがあります。

赤血球の基準値について

赤血球の基準値について
赤血球の基準値は、一般的に男性で4.5〜5.9百万/μL、女性で4.0〜5.4百万/μLです。
しかし、年齢や健康状態によっても異なる場合があります。
赤血球の基準値を超えることは、多血症と呼ばれ、高血圧や心臓病などの原因となることがあります。
逆に、基準値を下回ることは貧血と呼ばれ、疲れやすさや息切れ、めまい、食欲不振などの症状を引き起こすことがあります。
基準値を超えたり下回ったりした場合は、医師の診察を受けることが重要です。

赤血球の基準値を超えた場合の症状と治療法

赤血球の基準値を超えた場合の症状と治療法
ここからは赤血球の基準値を超えた場合の症状と治療法について見ていきます。
赤血球の基準値を超えないための予防策も解説しています。

赤血球の基準値を超えた場合の症状

赤血球の基準値を超える状態を赤血球増加症といい、以下のような症状が現れることがあります。
・頭痛やめまい、視力の低下
・手足のしびれや痛み、赤みやむくみ
・食欲不振、胃腸の不快感、腹痛、下痢、便秘
・呼吸困難、息切れ、胸部痛、高血圧
・眠気や疲れ、集中力の低下、めまい、失神
赤血球増加症は、高山病や肺疾患、腎臓疾患などの影響によって発症することがあります。また、長期的な喫煙やアルコール摂取、薬物の使用、過度な運動なども赤血球増加症を引き起こすことがあります。

赤血球の基準値より超えて症状に見舞われた場合の治療法

赤血球の基準値を超える状態を赤血球増加症といいます。
赤血球増加症による症状の治療には、以下のような方法があります。

症状の軽減のための措置
症状の軽減のためには、薬物療法や輸血が行われることがあります。例えば、赤血球を減少させる薬物や、血栓予防のための薬物、赤血球を破壊するための免疫グロブリン製剤などが使用されます。
酸素療法
赤血球増加症によって引き起こされる症状の一つに呼吸困難があります。この場合、酸素療法が行われます。酸素吸入によって血中の酸素濃度を増加させることで、呼吸困難を緩和することができます。
輸血
赤血球増加症によって引き起こされる症状の一つに、血栓症があります。この場合、輸血が行われることがあります。輸血によって、血液の循環量を増やし、血栓症を予防することができます。
病因治療
赤血球増加症の原因となっている疾患に対して、治療が行われます。例えば、高山病や肺疾患、腎臓疾患などの場合には、それぞれの原因に合わせた治療が行われます。

治療方法は、症状や原因によって異なります。専門医による診断と適切な治療を受けることが大切です。

赤血球の基準値を超えないための予防策

以下は、赤血球の基準値を超えないために実践できる予防策です。
・健康的な生活習慣を維持すること(バランスの良い食事、適切な運動、十分な睡眠)
・鉄分、ビタミンB12、葉酸などの栄養素を摂取すること
・過度のアルコール摂取や喫煙を控えること
・鉛中毒や銅欠乏症などの疾患を予防すること
・定期的な健康診断を受け、基準値をチェックすること
これらの予防策を実践することで、赤血球の基準値を維持し、健康的な生活を送れます。

赤血球の基準値を下回った場合の症状と治療法

赤血球の基準値を下回った場合の症状と治療法
ここからは赤血球の基準値を下回った場合の症状と治療法について見ていきます。
赤血球の基準値を下回らないための予防策も解説しています。

赤血球の基準値を下回った場合の症状

ロビンの減少により、体内の酸素運搬能力が低下する状態を指します。
貧血の症状には以下のようなものがあります。

1.疲れやすい:貧血の状態では、酸素運搬能力が低下するため、体内の細胞が必要とする酸素の供給が不十分になります。そのため、日常生活での疲れやすさが感じられます。
2.息切れ:貧血になると、酸素の運搬能力が低下するため、通常よりも少ない運動量で息切れが起こることがあります。
3.めまいや失神:貧血の状態では、脳への酸素供給が不足することがあります。そのため、めまいや失神などの症状が現れることがあります。
4.頭痛:貧血の状態では、脳に十分な酸素が供給されないため、頭痛が起こることがあります。
5.皮膚の変色:貧血になると、皮膚や爪の色が薄くなることがあります。
赤血球の基準値を下回った場合は、貧血の原因を調べて適切な治療を行う必要があります。
原因によっては、鉄剤の投与や栄養療法、輸血が必要となる場合もあります。
治療は、基礎疾患の治療や貧血の原因に合わせて行われます。

赤血球の基準値より下回り症状に見舞われた場合の治療法

赤血球の基準値よりも低下すると、貧血と呼ばれる状態になります。
貧血の原因には、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血などがあります。
貧血の治療法には、まず原因に合わせた治療が必要です。
例えば、鉄欠乏性貧血の場合は、鉄剤の摂取が有効です。
ビタミンB12欠乏性貧血や葉酸欠乏性貧血の場合は、ビタミンB12や葉酸を補充することが必要です。
また、重症の貧血の場合は、輸血が必要な場合もあります。
その他にも、貧血の症状を緩和するための治療法として、貧血の原因によってはステロイド剤やエリスロポエチン製剤などが使われることがあります。
ただし、貧血の治療法は原因によって異なるため、医師の指示に従って適切な治療を行う必要があります。

赤血球の基準値を下回らないための予防策

赤血球の基準値を下回らないための予防策は、主に栄養バランスの良い食事や適切な運動、睡眠を心掛けることです。
以下に詳しく説明します。

鉄分を摂取する:鉄分は赤血球の生成に欠かせない栄養素の1つです。主な鉄分を含む食品としては、レバー、赤身の肉、貝類、ほうれん草、小豆、豆腐、白身魚などがあります。
ビタミンB12と葉酸を摂取する:ビタミンB12と葉酸は、赤血球の生成にも重要な栄養素です。ビタミンB12を含む食品としては、肉、魚、卵、乳製品があり、葉酸を含む食品としては、ほうれん草、アスパラガス、アボカド、ブロッコリー、レタスなどがあります。
適度な運動をする:適度な運動は、血液循環を促進し、酸素を運ぶための赤血球の数を増やすことができます。運動の方法は、ウォーキングやジョギング、水泳などが挙げられます。
睡眠をしっかりとる:睡眠不足は、体内の酸素不足を引き起こすことがあります。一般的に、成人においては1日に7〜8時間程度の睡眠が必要とされています。適切な睡眠をとることで、体内の酸素量を増やすことができます。

編集部まとめ

編集部まとめ
本記事では、赤血球とは何か、赤血球の基準値について、そして基準値を超えた場合と下回った場合の症状と治療法について解説しました。
・赤血球は、血液中に存在する細胞の一つで、酸素や二酸化炭素を運搬する役割を担っている
・赤血球の基準値を超えた場合、多血症という病気にかかることがある
・赤血球の基準値を下回った場合は貧血症状になる
赤血球の基準値については多すぎても少なすぎてもいけないことが分かりました。
定期的な血液検査で把握し、基準値内に治るように必要に応じて医師と相談することが大切といえます。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師