目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. ~実録・治療体験記~「俳優として活躍中の相葉裕樹氏が、近視治療にICLを選んだ理由」

~実録・治療体験記~「俳優として活躍中の相葉裕樹氏が、近視治療にICLを選んだ理由」

 更新日:2023/03/27

ICL」は、目の中に人工のコンタクトレンズを埋入する視力矯正術です。原則として“自由診療”となるため、手軽に受けられる治療方法とは言いきれません。そうしたなか、あえてICLを選んだのが、俳優として活躍中の相葉裕樹さんです。はたして、どのような葛藤があり、どんな成果を得ることができたのでしょうか。手術を受けてから2週間が経過したタイミングで、「フレッシュな印象」を伺ってみました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年9月1日取材。

相葉 裕樹さん(俳優)

体験者プロフィール:
相葉 裕樹さん(俳優)

プロフィールをもっと見る

1987生まれ。現在は俳優として活動中。2004年に映画初出演、2005年にはミュージカル「テニスの王子様」不二周助役で初舞台、2009年「侍戦隊シンケンジャー」池波流ノ介/シンケンブルー役で人気を博す。近年、声の吹替えなどでも活動の場を広げ、「ローグ・ワン/STAR WARS STORY」「S.W.A.T.」「ディズニー ツイステッドワンダーランド」など。舞台出演作は「レ・ミゼラブル」「アナスタシア」「ダンス オブ ヴァンパイア」ほか、多方面に活躍中。その一方、小学生の高学年頃から近視が気にかかり、手術前の視力は0.04前後。2021年の夏にICL手術を受け、術後2週経過時の視力は1.2程度にまで回復。現在、予後の経過観察中。

北澤 世志博

監修医師プロフィール:
北澤 世志博(医師)

プロフィールをもっと見る

福井大学医学部医学科卒業後、東京医科歯科大学医学部眼科に入局。その後、医療法人ひかり会パーク病院眼科部長や東京医科大学医学部眼科客員講師を歴任。これまで5万件以上のレーシックなどのレーザー屈折矯正手術、8千件以上のICLなどの有水晶体眼内レンズ挿入術をおこなう。日本眼科手術学会の理事を務め、日本眼科学会認定専門医、ICLエキスパートインストラクターなどの資格を有する。

背中を押したのは、身近な仲間の体験談

背中を押したのは、身近な仲間の体験談

編集部編集部

相葉さんは小学生の高学年の頃から、近視に悩まれていたということですが?

相葉さん相葉さん

はい。小学生時の時点で視力は0.4程度で、黒板の文字が見えにくかったことを覚えています。親と相談して手術の伴わない視力回復トレーニングを受けてみたものの、僕の場合は効果がなかったようです。その後、中学校入学のタイミングで眼鏡をかけはじめました。バスケットボール部に所属していたのですが、眼鏡をかけながら体を動かすことに不便さを感じていました。

編集部編集部

コンタクトレンズという考えはなかったのでしょうか?

相葉さん相葉さん

ソフトコンタクトレンズに切り替えたのは、高校生になってからです。それでも年々、近視が進む一方でした。その都度、レンズの度数を変えていたのですが、コンタクトレンズでできる視力矯正の限界が近づいてきたんですよね。さらに、今の仕事に就いてからは具体的な弊害も生じてきて、例えばスタジオ収録の際に“カンペ”をジッと見つめていました。サっと目を通すくらいでは、何が書いてあるのかわかりにくかったです。

編集部編集部

ほかにも、仕事や生活に影響はありましたか?

相葉さん相葉さん

舞台の仕事の際、本番中にコンタクトレンズを落としてしまわないかが心配でした。また、台本の読み合わせをしていても、目と台本の距離を近くしないと読めずに一苦労。活動に大きく支障が出始めてから「これ以上見えなくなるのはマズい」と感じるようになってきました。

編集部編集部

そうしたなかで、ICLの存在を知ったのは?

相葉さん相葉さん

実のところ、最初は「レーシック手術」を検討していました。しかし、治療前の検査を受けてみると、「角膜が薄くて適応外」とのこと。そのような経緯もあり、つい最近まで近視の矯正治療を諦めていました。ICLの存在を知ったのは、すでに手術を受けていた俳優仲間からで、医療機関も紹介してくれました。

編集部編集部

コンタクトレンズの埋入手術に抵抗感はなかったのでしょうか?

相葉さん相葉さん

実際に治療を受けた俳優仲間から「世界が変わるよ」といった話を聞いているうちに、不安よりも期待が大きく上回ってきました。何より、「仲のいい人物が自分の体験を元にして勧めてくれている点」で信頼できましたよね。もし、自分の努力だけでICLを探しだしていたら、治療を受けるという決断はしなかったかもしれません。やはり、「実際に手術をしている人で、なおかつ、身近な人」の意見は響きました。これからICLを検討している人がいらっしゃったら、参考にしてみてください。

手術は10分、効果は半永久的

手術10分、効果は半永久的

編集部編集部

初診時、カウンセリングなどはあったのですよね?

相葉さん相葉さん

はい。治療内容の説明と目の検査をいくつか受けました。検査自体は淡々と進む感じで、痛い思いなどはしていません。ただし、僕に合った眼内コンタクトレンズをわざわざ海外から取り寄せる必要があったようです。そのくらい、近視や乱視が相当に進んでいたのでしょう。

編集部編集部

その際、ICLはどのような治療方法だと聞きましたか?

相葉さん相葉さん

専用のコンタクトレンズを目の中に置く治療方法なのですが、「後日、必要に応じてレンズを交換できる」という点が印象に残りました。また、万が一の場合でも再手術ができると聞くと、安心できましたよね。

編集部編集部

実際に手術を受けてみた率直な感想を教えてください。

相葉さん相葉さん

術中は、とにかく眩しかったことを覚えています。瞳孔を拡大させる点眼薬を術前にさすのですが、その影響もあったのではないでしょうか。目の痛みは、別途の麻酔を点眼しているので、あまり感じませんでした。総じて、何をされているのかは全くわからなかったです。

編集部編集部

「怖さ」のような感覚はありましたか?

相葉さん相葉さん

さすがに、目の手術なので恐怖心はありました。しかし、実際の治療時間が10分程度なのに対して、ICLの効果を得られる時間は半永久的です。この10分間で耐え難いような痛みもありませんし、クリニックの門をくぐりさえすれば後は快適な生活が待っています。今回、僕がこの取材を通して言いたいことは、「手術は思ったより短時間で終わる」という事実です。

何をするにしても「はるかに楽」な新生活

何をするにしても「はるかに楽」な新生活

編集部編集部

あらためて、現在の心境は?

相葉さん相葉さん

手術からやっと2週間が経過した状態なので、まだ語れることは少ないですね。視力が安定してくるのも、これからだそうです。ときどき光のチラツキを覚えるのですが、それも落ち着いてくるとのこと。しかし、この状態でも視力1.2程度は出せています。なお、術後の翌日と1週間後、1カ月後の定期受診がそれぞれ必要で、そこで問題なければ「正式に治療終了」という流れだと聞いています。

編集部編集部

手術直後から「ハッキリと見える」のでしょうか?

相葉さん相葉さん

視力は出ていますが、手術当日は「ゴロつく感じ」がしていました。「目にゴミが入ったときの感覚」といえばいいでしょうか。しかし、今ではあまり覚えていないくらいの微妙な違和感です。同じような感じは、外付けのコンタクトレンズでもしていましたしね。きっと、次第に慣れてくるものなのでしょう。

編集部編集部

ICLは、費用に見合った治療方法だと思いますか?

相葉さん相葉さん

正直に言うと、人によると思います。「眼鏡・コンタクトレンズなし」の生活を優先したい人にとっては、有力な治療選択肢となり得るでしょう。一方、「眼鏡はファッションの一部」という人もいらっしゃるので、何ともいえません。いずれにしても、「ICLの説明を受けてみると、心の整理が付く」と思いますよ。僕自信の印象に限るとすれば、「受けて良かった」です。

編集部編集部

治療体験者にしか持てない視点があるとしたら?

相葉さん相葉さん

「ICLは、すぐにコンタクトレンズを交換できない」ということでしょうか。交換そのものは可能ですが、必ず手術を要します。また、実際に起こるかどうか別として、見え方に不都合が生じたときなどは、医療機関で処置してもらわないといけません。加えて、手術直後の2日間は、洗顔や入浴に制限がかかることにビックリしました。ですから、手術日の予約はスケジュールに余裕があるときに検討するのがいいのではないでしょうか。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

相葉さん相葉さん

僕の場合、時間的にも精神的にも「とにかく楽」になりました。例えば、朝起きたとき、眼鏡を探したりコンタククトレンズを着けたりする時間から解放されます。舞台でも、コンタクトレンズの落下を気にせず、力強い一歩が踏み出せます。ICLは白内障用の眼内レンズと違って、「高齢者だけが受ける治療」じゃないんですよね。むしろ、若者ほど恩恵を受けられる時間が“長い”治療選択肢だと実感しています。話だけでも聞く価値のある治療方法ではないでしょうか。

北澤 世志博

監修医師からのコメント:
北澤 世志博(医師)

ICLとは眼内コンタクトレンズとも言われ、日本においても認知度が上がっており、2021年は1年間で約1万5000人が受けると思われます。
ICLが選ばれる理由は、「レーシックと違い、相葉さんのように近視や乱視が強い人でも受けられること」、「術後ドライアイが起こらないこと」、「夜間のハローやグレアが少ないこと」です。そして見え方が不十分であったり慣れなかったりする場合は、抜去することで手術前と同じように眼鏡やコンタクトレンズの生活に戻れることが、手術を受ける方の安心感となっています。
ただし手術ですから、術前後の感染症対策や消炎のための点眼、日常生活の制限など注意事項もあります。どんな手術もメリットとデメリットがありますが、眼鏡やコンタクトレンズが煩わしい方や調子が思わしくない方は、一度考えてみてもいい選択肢と言えます。
ICL手術は白内障手術に極似した手術ですから、手術を検討する際にはレーシックをメインにやっている施設ではなく、白内障の手術をたくさんやっているクリニックで相談することをおすすめします。

編集部まとめ

相葉さんが近視治療にICLを選んだ大きな理由としては、「親しい友人が自らの体験談を話してくれたこと」、「レーシック手術が受けられなかったこと」、「ICLなら自分でも手術可能だったこと」の3点が挙げられます。そして、「半永久的な効果をわずかな時間で得られること」が、治療を終えた後の実感とのことでした。今後も、相葉さんの「力強い一歩」に期待したいですね。