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「白板症 (はくばんしょう)」とは?症状・原因についても解説!

 更新日:2023/03/27
「白板症 (はくばんしょう)」とは?症状・原因についても解説!

口の中の粘膜が肥厚して、結果的に白く見えている状態を「白板症」といいます。主に頬粘膜や舌、歯肉にみられる病変です。必ずしも痛みがあるというわけではなく、食べ物があたったときに痛んだり、本人が自覚することなく歯科検診などで気づいたりすることもあります。心配なのは、がんの前段階にあたる病変として扱われる場合です。
今回は、白板症の症状や原因、検査や治療方法などを紹介します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

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白板症とは

白板症とはどのような病気でしょうか?

白板症とは、口腔内の頬粘膜・舌・歯肉に見られる白い病変を指します。口の中は粘膜でおおわれていますが、何らかの原因で粘膜の一番外側の上皮が肥厚し、膨らんだ状態のものです。

比較的頻度が高く、舌に発生した場合は悪性化する可能性があると言われています。白板症は、口腔潜在的悪性疾患とも言われ、舌がん病変の中でも代表的なものとされている病気です。

白板症の症状

白板症になるとどのような症状が現れるのでしょうか?

口の中の粘膜が白色、または灰白色の斑点状になり、こすっても剥離しないのが特徴です。大きさは、小範囲から口腔全体に広がるものまであり、特に決まっていません。表面も、平滑・盛り上がり・隆起の中に溝があるなどさまざまです。

多くは痛みを感じることが少なく、自覚症状がないと言われています。周辺粘膜に紅斑が見られる場合や、病変内部にびらんや潰瘍が伴う場合は、接触痛や食べ物がしみることがあります。

心配しなくてもよい症状

心配しなくてもよい症状はどのようなものを指しますか?

症状が進行せず、一時的な場合です。歯の治療をしたら症状がよくなったというように、原因となるものを除去するだけで病変が治癒していく場合は心配ないでしょう。また、医師の指示による薬物の投与で治癒していく場合も同様です。

口の中が白くなる病気というのは他にいくつもあるので、白い部分がこすると取れるという場合は、白板症ではない可能性があります。

注意した方がよい症状

注意しなくてはいけない症状はありますか?

はい、あります。白板症は、舌がん病変のひとつです。紅斑、びらん、しこりや腫瘍、重度のびらんが見られる場合や、白い部分に厚みや隆起がある症状の場合は、注意してください。症状が進行していることが考えられ、悪性化する可能性があります。

白板症の原因

白板症の原因

白板症の原因はどのようなことが考えられるでしょうか?

正確な原因は明らかではありませんが、誘因となることでは、口の中の慢性的な刺激が考えられます。挙げられるのは喫煙習慣・不良補綴物(ふりょうほてつぶつ:歯に合っていないかぶせ物)です。さらに、加齢や体質なども関係があると言われています。

喫煙習慣が原因

喫煙習慣が原因になるのは、どのような理由からでしょうか?

タバコによる喫煙習慣が誘因となります。喫煙者は歯周病罹患率が高く、歯周病原性細菌やニコチンなどの有害物質によって、口腔内で免疫機能の障害を起こします。白板症は舌がん病変のため、口腔内の問題ではとどまらないことから、禁煙を指導されることがあります。

不良補綴物(歯に合っていないかぶせ物)が原因

不良補綴物が原因になるのはどうしてでしょうか?

白板症は、歯のサイズに合わない義歯や被せ物といった不良補綴物による慢性の機械的刺激によっても起こります。歯科治療の際に白板症を指摘されることもあります。

加齢や体質が原因

加齢や体質が原因の場合は、どのようなことが挙げられますか?

加齢や体質により、口腔内の環境が悪くなり、免疫力の低下で傷が治りにくく、粘膜に病変が発生しやすい状況を作ります。このため白板症を発症しやすくなります。

白板症の受診科目

白板症の受診科目

白板症が疑われる場合には、何科を受診すればいいのでしょうか?

まずは、歯科医院や口腔外科での受診が必要です。病変が改善しない場合や、舌がん病変など状態が疑われる場合には、専門の医療機関を紹介される場合があります。

いずれの症状においても、自己判断で原因を特定することは難しいため、迷った時には医療機関を受診することが大切です。

白板症で行う検査

白板症で行う検査

白板症では、どのような検査を行いますか?

生検を行うことが一般的です。症状が軽くても、症状の詳細やがんである可能性があるのかを把握するために検査をするという場合もあります。また、治療方法を選ぶためには、治療開始直前に組織検査(生検)を行うことが重要です。

生検(せいけん)

生検とはどんな検査ですか?

細胞を切り取り、その組織を正確に検査します。生検を行えば、詳しい症状の把握ができ、類似した病気との区別が可能です。白板症では、悪性腫瘍へ進行するタイプなのかを生検によって確認する必要があり、がんになる可能性があるのか的確に診断します。

白板症の性差・年齢差など

白板症には、性差・年齢差がありますか?

タバコが原因になることもあり、女性よりも男性が多い傾向があります。好発年齢としては高齢者に多い傾向があるとも言われています。

白板症の治療方法

白板症の治療方法

白板症にはどのような治療方法がありますか?

刺激原因がある場合は、まず原因を除去します。外科的治療を行う場合は、手術の前に薬物を投与し、薬物投与で反応がなければ外科的治療をするという、段階を踏んだ治療を行う場合がほとんどです。

刺激原因を除去する

刺激原因の除去は、どのように行いますか?

義歯や過去に治療した詰め物などが粘膜に接触し、粘膜を刺激することで白板症になっていると思われる場合は、その原因となる部分を除去します。刺激原因を除去することで症状を軽減させ、結果的に改善させるのが目的です。

喫煙は白板症を発症させる誘因のひとつとなっており、煙草を吸う人には禁煙を推奨することもあります。

薬物の投与

薬物の投与による治療は、どのような内容ですか?

薬物投与では、ビタミンAの投与が有効です。ビタミンAの投与に反応するか否かを観察します。薬物療法に反応や進展がなかった場合は、手術により病変を切除します。

外科的治療

外科的治療は、どのように行われますか?

薬物療法で反応が見られない場合や、白い部分が厚く隆起したもの、びらんや潰瘍は、今後悪性化する可能性があるため、病変を切除する治療法を選択します。

しこりや潰瘍を伴うものなどは、病状が進行し初期がんとなっている場合も疑われるため、切除して終わりということはありません。対象となる組織をとり生検を行います。

白板症は、再発が多いと言われているため、切除後でも長期にわたる経過観察が必要です。長年かかって悪性化することもあり、がん化が見られた場合はがん治療も行います。

編集部まとめ

口腔内にできる白い病変の白板症は、がんになる可能性のある怖い病気であることがわかりました。できるだけ早いうちに発見し治療を行うことがポイントです。痛みがないため、気づくのが遅れることのないように日頃から口腔ケアに努めましょう。

白い病変がある場合はもちろん、病変がなくても気になる症状があれば歯科医院や口腔外科のある医療機関を受診してください。白板症は原因を見つけることが大切です。かかりつけ医を見つけておけば、早期発見にもつながりやすいでしょう。

この記事の監修医師