「咽頭がんの治療」で”術後の生活”はどう変わる?進行して現れる症状も医師が解説!

咽頭がんは、咽頭に発生するがんで、上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つの部位に分かれます。放射線療法や手術、化学療法を組み合わせた治療があり、患者さんのQOLを考慮しながら治療に臨めるでしょう。
本記事では、咽頭がんの治療について以下の点を中心にご紹介します!
- 上咽頭がんの治療法
- 中咽頭がんの治療法
- 下咽頭がんの治療法
咽頭がんの治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
目次 -INDEX-
そもそも咽頭がんとは?
咽頭の構造や咽頭がんについて解説します。
咽頭とは
咽頭は、鼻の奥から食道までの飲食物と空気が通る約13cmの管であり、筋肉と粘膜で構成されています。咽頭は上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つの部位に分かれ、呼吸や嚥下(飲み込むこと)に関与します。
上咽頭は鼻腔の奥に位置し、頭蓋底のすぐ下にあります。中咽頭はお口の後ろ、下咽頭は喉頭の上部にあります。これらの部位が連携して食べ物や空気の通過を助け、発声機能も担います。
咽頭がんとは
咽頭がんは、咽頭に発生するがんであり、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんの3つに分類されます。
上咽頭がんは上咽頭に発生するがんで、扁平上皮がんが多く、発生にはEBウイルスが関連していることがあります。
中咽頭がんは中咽頭に発生するがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が一因です。
下咽頭がんは下咽頭に発生するがんで、ほとんどが扁平上皮がんです。喉頭への広がりが見られることが多く、初期には症状が現れにくいです。
上咽頭がんの症状と治療法
上咽頭がんは、初期症状が現れにくく、発見が遅れることが多いがんです。
上咽頭がんの症状
がんが進行すると、以下のような症状が見られることがあります。
・耳の症状:耳管が閉塞し、耳閉感(耳が詰まった感じ)が持続する
・鼻の症状:鼻づまり、鼻出血があり、鼻水に血が混じる
・リンパ節の腫れ:頸部のリンパ節が腫れることが多く、首のしこりとして自覚することがある
・視覚や神経の症状:腫瘍が大きくなると、目の動きが悪くなる、二重に見えるなどの症状が現れたり、顔面の感覚障害や痛みが出たりする
上咽頭がんの治療
がんの進行度や全身状態に応じて、以下の治療を組み合わせて治療します。
放射線治療:
ステージIの早期がんでは、単独で放射線治療が行われます。IMRT(強度変調放射線治療)技術により、腫瘍に集中して放射線を照射することで周囲の重要な臓器を保護します。
化学療法併用放射線治療:
ステージII以上の進行がんでは、放射線治療と同時に化学療法を行います。進行がんに対しては、導入化学療法を先に行い、その後に化学放射線療法を行う場合もあります。
中咽頭がんの症状と治療法
中咽頭がんは、扁桃腺や舌の付け根、上顎の奥のやわらかい部分に発生するがんで、初期には自覚症状が少ないことが多いようです。
中咽頭がんの症状
がんが進行するにつれて、以下のような症状が現れます。
・嚥下時の異和感:食べ物や飲み物を飲み込む際に違和感を感じることが増える
・のどの痛み:持続するのどの痛みがあり、進行するにつれて痛みが強くなる
・飲み込みにくさ:嚥下障害が進行し、食べ物を飲み込むことが困難になる
・しゃべりにくさ:がんが進行すると発声にも影響が出て、しゃべりにくくなる
・耳の痛み:痛みが耳に放散する
・開口障害:お口を大きく開けることが難しくなる
・呼吸困難:進行がんでは気道が狭くなり、呼吸が困難になることがある
・出血:がんが進行すると、のどからの出血が見られることがある
中咽頭がんの治療
がんの進行度や全身状態に応じて、以下の治療を組み合わせて治療します。
手術:
早期中咽頭がんには、内視鏡手術が選ばれることがあります。経口的に行われる手術は、周囲の臓器への侵襲が少なく、術後の嚥下機能も良好です。進行したがんには、再建手術が必要であり、嚥下機能の改善を図る手術が併施されることもあります。
放射線治療:
中咽頭がんは放射線感受性が高いため、局所進行がんの治療には化学放射線療法が選択されます。IMRTにより、重要な臓器を保護しながら放射線を照射します。
化学療法:
高用量シスプラチンを併用する化学放射線療法が標準的な治療法です。HPV陽性の中咽頭がんは、治療成績が良好であり、治療強度の軽減を図る試験も行われています。
下咽頭がんの症状と治療法
下咽頭がんは、咽頭の下部に発生するがんで、初期症状が少ないため進行した状態で発見されることも少なくないようです。下咽頭がんは転移しやすく、早期に発見されることは稀です。
下咽頭がんの症状
がんが進行すると以下のような症状が見られます。
・のどの違和感:初期には軽い違和感が現れる
・嚥下障害:進行すると、飲み込む際に痛みや困難を伴うようになる
・声の変化:声がれや声の質の変化が見られる
・首の腫れ:首にしこりが触れることがあり、リンパ節転移を示唆している
・耳の痛み:痛みが耳に放散することがある
・固形物の通過困難:固形物が飲み込みにくくなる感じが続く場合がある
下咽頭がんの治療
がんの進行度や患者さんの全身状態に応じて、以下の治療を組み合わせて治療します。
手術:
手術はがんとリンパ節の切除が中心です。早期がんには経口的切除術が行われ、進行がんでは喉頭を摘出することが多く、再建手術により飲み込みや発声機能を保つ努力がなされます。
放射線治療:
外部照射と化学療法を併用して治療効果を高めることがあります。IMRTは副作用を軽減するために用いられます。
化学放射線療法:
手術を行わずに放射線治療と薬物療法を併用する治療法です。細胞障害性抗がん薬や分子標的薬を使い、放射線治療の効果を高めます。
薬物療法:
治癒や機能の温存を目指した薬物療法と、再発や転移した場合の延命を目的とした薬物療法があります。細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが使用されます。
咽頭がんの治療後のすごし方
リハビリと定期検診について解説します。
リハビリテーション
咽頭がんの治療後は、リハビリを通じて患者さんの早期の社会復帰を支援します。
嚥下リハビリ:
飲み込み機能の回復を目的とし、舌や喉の筋力強化訓練、飲み込みやすい食事の提案、食事をとるためのリハビリを行います。
発声リハビリ:
喉頭摘出後の発声機能回復のため、代用音声訓練を行い、新たな発声方法を習得します。
上肢機能訓練:
手術後の肩の運動障害に対し、上肢機能訓練を行い、日常生活動作を確認し、必要に応じて自助具や補助具を紹介します。
運動療法:
化学療法や放射線治療による筋力や体力の低下に対し、全身状態に応じた運動を行い、体力の回復を図ります。
定期検診
咽頭がんの治療終了後、再発防止と健康管理のために定期検診が重要です。治療後1〜2年は再発のリスクが高いため、3〜4ヵ月ごとの受診が推奨されます。その後、受診間隔は徐々に延ばされますが、少なくとも5年間は定期的に通院が必要です。CTやMRIなどの画像検査、内視鏡検査、血液検査などが行われ、再発の早期発見や転移の有無を確認します。
咽頭がんについてよくある質問
ここまで咽頭がんの治療法などを紹介しました。ここでは咽頭がんについてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
咽頭がんのステージを教えてください。
根来 和輝 医師
0期からⅣ期まであり、数字が大きくなる程進行度が高くなります。
・0期:上皮内がん(がん細胞が表面の層にとどまっている状態)
・Ⅰ期:がんが咽頭の一部に限局しており、リンパ節やほかの臓器に転移がない状態
・Ⅱ期:がんが咽頭の広範囲に広がっているが、リンパ節転移がなく、遠隔転移もない状態
・Ⅲ期:がんがさらに広がり、1つまたは複数のリンパ節に転移しているが、遠隔転移はない状態
・Ⅳ期:がんが大きく広がり、リンパ節への多発転移やほかの臓器への転移が見られる状態
咽頭がんの予防法はありますか?
根来 和輝 医師
咽頭がんの予防には、いくつかの生活習慣の改善が重要です。
禁煙:
喫煙は咽頭がんの主要なリスク要因の一つです。タバコを吸うことは、がんの発生リスクを高めるため、禁煙が推奨されます。
飲酒の節度:
過度の飲酒も咽頭がんのリスクを高めます。アルコール摂取を控えめにし、適度な量に抑えることが重要です。
バランスのよい食事:
野菜や果物を多く含むバランスのよい食事が、がんの予防に役立ちます。ビタミンやミネラルを豊富に含む食材を積極的に摂取しましょう。
HPV予防:
中咽頭がんの一部はHPV感染によるものです。HPVワクチンの接種が予防に有効です。
定期的な健康診断:
早期発見や早期治療のために、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。喫煙者や過度の飲酒者は定期検査を欠かさないようにしましょう。
まとめ
咽頭がんの治療についてお伝えしてきました。
咽頭がんの治療の要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎まとめ
- 上咽頭がんは放射線治療と化学療法の組み合わせた治療が多い
- 中咽頭がんは手術、放射線治療、化学療法の組み合わせた治療が多い
- 下咽頭がんは手術、放射線治療、化学放射線療法、薬物療法を組み合わせた治療が多い
咽頭がんと関連する病気
咽頭がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
咽頭がんと関連する症状
咽頭がんと関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。



