「舌癌の検査方法」は何をするのかご存じですか?治療法も医師が解説!

舌癌は、口の中の舌にできる癌です。舌癌の検査には、舌癌の検査には、視診・触診、生検、画像検査などがあります。
本記事では、舌癌の検査について以下の点を中心にご紹介します!
- ・舌癌の概要
- ・舌癌の検査方法
- ・舌癌の治療法
舌癌の検査方法について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
目次 -INDEX-
舌癌とは
舌癌は口腔癌の一種で、主に舌の前方2/3に発生します。男性に多く、60代以降によく見られますが、若年者にも発症することがあります。初期症状は痛みや触れても気づかないこともありますが、進行すると硬結や潰瘍、出血、痛みが現れます。舌に異常を感じた場合、歯科医院や耳鼻咽喉科を受診しましょう。自己検診や定期的な歯科受診が早期発見に役立ちます。舌癌は早期対応が重要で、リンパ節への転移もあるため、注意が必要です。
舌癌の原因
舌癌の原因は特定されていませんが、いくつかの危険因子が考えられています。喫煙と飲酒が主要な要因で、特に両方を併用するとリスクが増加します。また、機械的な刺激(虫歯、詰め物、歯の傾きなど)、口内の不衛生、粘膜病変(白板症、紅板症など)も発症リスクを高める可能性があります。舌癌の予防には禁煙、適度な飲酒、口内の健康管理が大切です。また、異常を感じた場合は医師に早期に相談しましょう。
舌癌の診断・検査
舌癌の検査には、視診・触診、生検、画像検査などがあります。それぞれどのような検査なのか詳しく解説します。
視診・触診
舌癌診断の主要手段は視診と触診です。視診では、医師が口内の舌と粘膜を光で照らして異常を探り、虫歯やインプラントの状態もチェックします。触診では、医師が癌の疑いがある部分に触れ、大きさや硬さ、広がりを確認し、首のリンパ節の腫れや硬さも調べます。これらの検査で癌の疑いがある場合、更なる病理検査や画像検査が実施されます。
病理検査(細胞診・組織診)
舌癌診断には、病理検査の細胞診と組織診が重要です。細胞診では、ブラシや綿棒で舌の表面から細胞を採取し、顕微鏡で癌細胞の有無を調べます。組織診では、病変部から組織の一部を採取し、癌細胞の異型度を含む詳細な分析をします。これらは確定診断に不可欠で、舌癌の存在、種類、進行度を正確に判断するために用いられます。
CT検査
CT検査は舌癌診断と治療計画に重要で、X線で体の断面画像を撮影し、癌の位置と大きさ、周囲への浸潤程度を把握します。また、舌癌のリンパ節転移や遠隔転移の有無も確認でき、病期決定と治療方針の策定に役立ちます。非侵襲的で迅速な検査方法として、広く用いられています。
MRI検査
MRI検査は舌癌の診断と治療計画が重要で、磁石と電波で詳細な画像を作成し、癌の位置、大きさ、組織への浸潤度を把握します。軟組織の状態を詳細に観察できるため、癌の範囲や深さの正確な評価に優れています。放射線を使用しない検査で、舌癌の確定診断や治療計画策定に役立ちます。
エコー検査
エコー検査は舌癌診断と治療計画において重要で、超音波を用いて癌の深さや広がりを評価します。特に、舌や口腔内組織の癌の浸潤程度と頸部リンパ節への転移の有無を確認するのに役立ちます。放射線を使用しないため、癌の病期決定や治療方針の策定に重要な情報を提供します。
PET検査
PET検査は舌癌診断と治療計画において重要で、放射性トレーサーを使って癌細胞のブドウ糖使用を観察します。全身の癌細胞の検出に役立ち、体内のほかの部位への転移を確認できます。また、癌の活動度や代謝活動を評価し、高い活動度を示す部分が明るく表示されます。治療後の癌の反応評価にも使われ、活動度の変化を追跡して治療効果をモニタリングします。
経過観察の為の検査
舌癌治療後は再発や転移を慎重に観察する必要があります。特に最初の1年は再発リスクが高く、月1回の診察が推奨されます。2年目は2ヶ月に1度、3年目は3ヶ月に1度の診察が行われ、通常は最低5年間の経過観察が必要です。この期間中、頸部超音波検査でリンパ節転移を、CT検査で癌の再発や転移を早期に検知します。多くの患者さんは5年以上定期健診を受けます。
舌癌の治療方法
舌癌の診断を受けた後はどのような治療の選択肢があるのでしょうか。詳しく解説します。
外科治療
舌癌の外科治療は、癌の大きさ、進行度、リンパ節への転移の有無に応じて異なる手術方法が選択されます。主な方法には、舌の切除術(部分切除から全摘出までの範囲があり)、再建手術、そして頸部郭清術が含まれます。再建手術は機能と外貌の回復を支援し、郭清術はリンパ節転移を取り除く役割があります。治療選択は患者さんの状態に合わせて行われ、手術後にはリハビリテーションが必要な場合もあります。
放射線治療
放射線治療は、舌癌の治療において主要な方法の一つであり、高エネルギーの放射線を用いて癌細胞を破壊します。主に初期段階の症例や表在性のT3症例に適用され、手術後の再発や転移リスクの高い症例にも用いられます。近年、高精度な放射線治療技術であるIMRTが利用され、癌細胞への照射をし、正常組織への損傷を抑えます。放射線治療は、癌細胞を直接破壊し、腫瘍の縮小や消失を追求し、手術が難しい場合や補助治療として利用され、再発や転移のリスクを減少させるのに役立ちます。
薬物療法
舌癌の治療には、薬物療法が進行癌や再発、転移のリスクが高い場合に用いられます。化学療法では、抗癌剤を使用して癌細胞の成長を抑制し、腫瘍の縮小や消失を目指します。新しい薬剤として、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が導入され、特定の分子や免疫システムを標的にしてより効果が期待できる治療を提供します。さらに、光免疫治療は光を用いて癌細胞を破壊する革新的なアプローチです。これらの薬物療法は患者さんの状態や癌の進行度に応じて個別に計画され、治療プランの一環として重要な役割を果たします。
補助的治療
補助的治療は、舌癌の治療において、患者さんの生活の質を維持し、治療後の機能回復を支援する重要な要素です。主な対応領域には、機能回復とリハビリテーション、口腔内の環境改善、摂食嚥下機能の評価とリハビリが含まれます。手術や放射線治療により、嚥下、発音、咀嚼などの機能が低下する場合、補助的治療はこれらの機能を回復させるためにリハビリテーションを提供します。
また、口腔内の環境改善や特殊な装置の使用により、患者さんの生活の質を向上させ、摂食嚥下機能の低下に対処します。全体として、補助的治療は患者さんの全体的な健康と福祉を向上させるための重要な役割を果たします。
舌癌についてよくある質問
ここまで舌癌の検査や治療を紹介しました。ここでは舌癌の検査についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
舌癌の検査は何科の病院で受けられますか?
熊谷 靖司 医師
舌癌の検査は、主に耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、頭頸部外科で受けられます。ただし、医師の数が限られているため、一般の病院では耳鼻咽喉科で診察することが一般的です。検査内容や必要性は病状や病院によって異なるため、医師に相談することが大切です。舌癌の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが健康維持にとって重要です。
舌癌の検査費用はどのくらいですか?
熊谷 靖司 医師
舌癌の検査費用は医院や検査内容に依存し、一般的に5,000円から10,000円程度の範囲が一般的です。口腔内の視診や触診、細胞診が含まれます。保険適用の場合、初期費用は約3,000円(患者さん負担分)となることがあります。検査費用については、受診予定の医療機関に直接確認が必要で、保険適用や検査内容によって費用が異なることを認識しましょう。
まとめ
ここまで舌癌の検査についてお伝えしてきました。
舌癌の検査の要点をまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・舌癌とは口腔癌の一種であり、主に舌の前方2/3に発生する悪性腫瘍
- ・舌癌の検査方法には視診・触診、病理検査(細胞診・組織診)、CT検査、MRI検査、エコー検査、PET検査などが行われる
- ・舌癌の治療は、癌の大きさや進行度、リンパ節への転移の有無に応じて外科治療、放射線治療、薬物療法などが選択される
舌癌と関連する病気
舌癌と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
口腔外科の病気
- 口腔底癌
- 歯肉癌
- 頬粘膜癌
- 口蓋癌
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
舌癌と関連する症状
舌癌と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。


