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介護疲れを防ぐために! 利用可能な高齢者支援サービスを介護福祉士が解説

 更新日:2023/03/27

高齢化社会が進む中、要介護者の人口は増加傾向にあります。施設の入居待ちや「できるだけ施設に入居したくない、させたくない」といった本人や家族の意向により、介護が必要になっても自宅での生活を選択している方も多いのではないでしょうか。そういった要介護者を身近にサポートしているのが「介護者」の存在です。しかし、昨今では「介護疲れ」といった言葉もニュースなどで耳にするほど、自宅での生活をサポートする側の負担が問題になっています。今回は、「介護疲れ」を防ぐにはどのような方法があるのか「介護福祉士」の西原さんに話を伺いました。

西原 裕貴さん

監修
西原 裕貴(介護福祉士)

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九州大学健康福祉学部社会福祉学科介護福祉専攻卒業。介護福祉士。社会福祉法人にて老人福祉施設や通所介護、障がい者就労継続支援A型などにおいて介護職や支援員に従事。5年で管理職昇格後は新規事業立ち上げや事業企画・採用・広報など現場と兼務しながらマネジメント領域に従事。退職後はフリーランスとして営業職などを経験し、現在は株式会社いきいきらいふの社長室マネージャーとして、採用責任者や事業・研究開発などを推進。

基礎的な知識や技術を身に付けることは「介護疲れ」の軽減に繋がる

基礎的な知識や技術を身に付けることは「介護疲れ」の軽減に繋がる

編集部編集部

「介護疲れ」とは一般的にどのような状態を指すのでしょうか?

西原 裕貴さん西原さん

「介護疲れ」とは介護者が要介護者に対して日常生活のあらゆるサポートを行うことにより身体的・精神的な疲れを感じるものと捉えることが一般的です。それに加えて、介護者の経済状況を圧迫することも懸念事項としてあげられます。

編集部編集部

では、それらの「介護疲れ」を未然に防ぐ方法はあるのでしょうか?

西原 裕貴さん西原さん

結論から言えば、介護の経験がない介護者の場合は未然に防ぐことは難しいのが現状です。家族だけで介護することが要介護者のために良いと思って頑張っていらっしゃる介護者は案外多くいらっしゃいます。しかし、社会資源サービスを活用しながら介護負担を軽減するという考え方に置き換えることで、持続可能な介護生活が営めるようになります。

編集部編集部

外部のサービスを上手く利用することが大切なんですね。そのほかに必要なことはありますか?

西原 裕貴さん西原さん

介護者となる上で、認知症など要介護者に起こり得る医療や介護の基礎知識、または介護の技術を適度に学んでおくといいでしょう。知識や技術を持っておくことで症状の理解に繋がり、介護者側の負担も軽減できると思います。

自分ですること、プロに任せることを明確に分け、サービスを活用する

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編集部編集部

負担を軽減するためのサービスとは、実際にどのようなものがあるのでしょうか?

西原 裕貴さん西原さん

大きく分けて「介護保険サービス」と「介護保険外サービス」の2つがあります。

編集部編集部

2種類あるのですね。それぞれ詳しく教えて頂けますか?

西原 裕貴さん西原さん

まず、介護保険サービスについてですが、介護が必要になったら、市区町村の窓口で要介護認定を受ける必要があります。これは地域包括支援センター、あるいは居宅介護支援事業者でも代行が可能です。介護保険サービスはこの要介護認定を受けた方であれば、所得に応じて1~3割程度の負担でサービスを受けることが可能です。自宅で要介護者が生活していくうえでは、生活の様々な場面で介助が必要になります。受けられるサービスの種類としては、「訪問型」と「通所型」があります。「訪問型」は、自宅という慣れた環境で安心してサービスを受けられ、専門スタッフから直接アドバイスを受けられる機会にもなるため介護者にとって大きな負担軽減に繋がります。一方「通所型」は送迎により事業所で要介護者をケアするサービスなので、介護者が仕事や買い物、家事、またはリフレッシュの時間を確保することが可能になります。

編集部編集部

介護保険外サービスは、介護保険サービスと違った特徴があるのでしょうか?

西原 裕貴さん西原さん

はい。介護保険サービスだけでは、地域性・保険サービスの特性・本人の介護状態により希望に沿わない可能性もあります。そのような事態に検討したいのが介護保険外サービスです。費用は基本的に全額「自己負担」となります。例えば介護保険内ではまかなえない日常生活の援助をはじめ、散歩、旅行の付き添い、配食サービスなどを専門スタッフや事業者で教育を受けたスタッフ、ボランティアが支援をするサービスなどがあります。

「介護疲れ」を軽減するポイントは、一人で抱え込まないこと

「介護疲れ」を軽減するポイントは、一人で抱え込まないこと

編集部編集部

色々なサービスを教えて頂きましたが、正直経済的な負担を懸念される方も多いと思います。この点の負担を軽減できるサービスはあるのでしょうか。

西原 裕貴さん西原さん

経済的な負担を感じる方には「行政サービス」が有効です。各市区町村によって、独自の高齢者支援サービスがあります。特に多いのが「紙おむつ助成」です。月額数万円のおむつ費用のうちの何割かが助成されるため、経済的負担が軽減されます。その他にも介護サービス費や医療費が高額になったときは、高額介護サービス費、高額医療費、高額医療合算介護サービス費など費用負担を軽減する国の制度があります。

編集部編集部

こういった知識を身に付けて、選択肢を広げるだけでも安心に繋がりますね。

西原 裕貴さん西原さん

はい。家族が急に要介護状態になった場合、介護者がこうした情報を素早く収集するのは大変だと思います。また、どの選択が最善なのか悩み、この先どうなってしまうのかなど一人で抱え込んでしまうことは「介護者の孤立」を生みます。そんな時は介護に関する専門スタッフがいる市区町村や地域包括支援センターなどの公的機関窓口に自身の状況や悩みを気軽に相談し、一人で抱えこまないようにしましょう。

編集部編集部

まずは介護の状況を相談することから始めると良さそうですね。

西原 裕貴さん西原さん

もし自宅での介護が難しくなったら、施設への入居も可能です。このように、様々な選択肢を事前に知っておくこと、いざという時にサービスを利用できること、専門スタッフに相談できる環境があることが「介護疲れ」を軽減し、要介護者・介護者相互の安心した暮らしに繋がっていくと考えます。

編集部まとめ

「介護疲れ」を防ぐには、家族だけで頑張るのではなく外部のサービスなどを上手く利用し、社会資源に頼ることが大切であると分かりました。これから益々加速していく高齢化社会では、要介護者と介護者の両方を社会全体でサポートする体制の強化が必要とも感じますね。

この記事の監修介護福祉士