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リハビリの急性期、回復期、維持期(生活期)、終末期ってなに? 詳しく教えて!

 更新日:2023/03/27

病気の発症や骨折などをした場合、どのような経過でリハビリをするのか。このような疑問を抱いたことはないでしょうか。高齢化が進み、リハビリという言葉は誰もが耳にする世の中になってきました。今回は、急性期、回復期、維持期(生活期)、終末期という段階があるリハビリについて、「理学療法士」の杉浦さんにお話を伺いました。

杉浦 良介

監修理学療法士
杉浦 良介(理学療法士)

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訪問看護・訪問リハビリテーションの10年の経験を元に、全国へ訪問リハを広める活動をしている。現在は、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの在宅リハビリ統括として医療法人で科長を務める。訪問リハコミュニティ「リハビリコネクト」代表。書籍「リハコネ式! 訪問リハのためのルールブック」編著・監修。訪問リハブログ「リハウルフ」管理者。訪問看護メディア「ビジケア訪問看護経営マガジン」編集長。YouTube「訪問リハ&訪問看護&介護保険【制度マニア】」管理者などで活動中。

リハビリにはそれぞれのステージがある

リハビリにはそれぞれのステージがある

編集部編集部

リハビリにも、いくつかステージがあると聞きました。

杉浦 良介杉浦さん

そのとおりです。例えば、脳梗塞を発症した場合、まずは急性期の総合病院に入院となることが多いですね。その後、回復期のリハビリテーション病院などの病院に転院します。そして、自宅への退院や施設への入所をして、維持期(生活期)を迎えます。

編集部編集部

つまり、急性期や回復期、維持期(生活期)があるということですね。それぞれ、どのくらいの時期を指すのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

病気によっても異なりますが、「急性期は発症日~約2、3週間程度」、「回復期は発症後1~4か月程度」、「維持期は4~6か月以降」を指すことが多いようです。また、最近では維持期のことを、発症前の予防の時期を含めて生活期と呼ぶこともあります。

編集部編集部

それぞれの時期は、どのような病院や場所で迎えるのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

急性期は病気の発症・受傷の直後なので、先述のとおり総合病院が多いようです。もちろん、整形外科クリニックなどを受診し、入院が不要な場合は自宅で安静することもあります。回復期は、回復期リハビリテーション病棟でリハビリをおこないます。その後の維持期(生活期)は、自宅や施設などで迎えることがほとんどです。

急性期・回復期のリハビリとは

急性期・回復期のリハビリとは

編集部編集部

急性期はどのような環境でリハビリをおこなうのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

急性期は発症や手術直後のこともあり、安静にする期間が必要となります。しかし、安静にし過ぎることもよくないとされているため、ベッド上でできるリハビリを積極的におこないます。

編集部編集部

具体的にどのような内容なのですか?

杉浦 良介杉浦さん

関節を柔らかくする「関節可動域訓練」や、筋肉を強くする「筋力増強訓練」、姿勢を保持する「座位・立位訓練」、飲み込みのための「摂食・嚥下訓練」、「トイレ動作訓練」などが提供されます。自宅にそのまま帰る場合は、「日常生活動作訓練」をおこなうこともあります。

編集部編集部

先ほど話にあった回復期リハビリテーション病棟は、どのような病棟なのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

回復期病棟は、急性期での治療が終わった後、さらにリハビリが継続して必要な場合に転院する病棟です。「在宅復帰を目指していく病棟」と位置づけられています。

編集部編集部

回復期は、どのようなリハビリの特徴があるのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

リハビリスタッフだけでリハビリをするのではなく、病棟のスタッフと一緒になって在宅復帰を目指します。具体的には、「トイレの練習をする」、「食事の練習をする」、「歩行の練習をする」、「着替えの練習をする」といった、病棟の生活の中で実際の生活動作を練習します。

編集部編集部

どのくらいの期間、回復期病棟ではリハビリをするのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

実際にリハビリスタッフが直接関わる時間は、1日に約1~3時間です。回復期はリハビリにおいて大切な時期とされているため、365日休みなくリハビリが提供される病棟が多いですね。

維持期(生活期)・終末期のリハビリとは

維持期(生活期)・終末期のリハビリとは

編集部編集部

回復期の次の維持期(生活期)では、どのような種類のリハビリを受けられますか?

杉浦 良介杉浦さん

維持期(生活期)は、自宅の場合と施設などで迎える場合で分けられます。自宅でリハビリを受ける場合は、通所リハビリやデイサービス、訪問リハビリなどを利用したり、医療機関の外来リハビリを利用したりします。他方、施設の場合は、施設のスタッフがリハビリをおこなうことになります。

編集部編集部

生活期では、具体的にどのような内容のリハビリをしますか?

杉浦 良介杉浦さん

急性期や回復期のリハビリで獲得した能力を、実際の生活場面で使うためのリハビリや、能力を維持していくためのリハビリをおこないます。基本的な訓練をはじめ、最近では活動や参加に焦点を当てたリハビリをおこなうことも重要視されています。調理や洗濯、買い物、公共交通機関を利用した外出訓練、趣味活動など、その人の生活に合ったリハビリ内容を提供します。

編集部編集部

最後の段階である終末期は、どのような時期なのでしょうか?

杉浦 良介杉浦さん

終末期とは、「老衰や病気、障がいの進行によって死に至ることを回避する方法がなく、余命が少なくなっている時期」とされています。

編集部編集部

終末期でも、リハビリをするのですか?

杉浦 良介杉浦さん

もちろん、終末期にリハビリをおこなう場合もあります。ただし、前の3段階とは異なり、終末期のリハビリでは、治療よりも残された生活を心穏やかに過ごしてもらうことを優先とします。体や心の痛みをとる緩和ケアやその人らしい生活を送るお手伝いなどをおこないます。

編集部まとめ

リハビリには、急性期、回復期、維持期(生活期)、終末期とステージが分けられているとのことでした。リハビリといっても色々な種類があり、それぞれの時期に適したリハビリ内容・役割があります。次のステージにバトンタッチして、その人らしい豊かな生活を送る支援ができるような工夫がなされていました。

この記事の監修理学療法士