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冬はどうしてむくみやすいの?

 更新日:2023/03/27

ブーツの脱ぎにくさに代表される冬のむくみ。季節が関係しているとしたら、原因は寒さや湿度なのでしょうか。また、水分の摂取が喚起されるなか、むくみには影響しないのでしょうか。こうした疑問点を、「さいとう内科・循環器クリニック」の齋藤先生に伺いました。むくみに悩んでいる方は必見です。

齋藤 幹

監修医師
齋藤 幹(さいとう内科・循環器クリニック 院長)

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北海道大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、国立国際医療研究センター病院、小平記念東京日立病院(現・東都文京病院)、石川島記念病院などでの勤務を経た2019年、東京都中央区に「さいとう内科・循環器クリニック」開院。第一線の医療現場で得た知見を生かし、患者側に立った診断と治療に務めている。医学博士。日本内科学会内科認定医・総合内科専門医、日本循環器学会認定専門医・指導医。日本心臓病学会、日本睡眠学会、日本高血圧学会、日本心不全学会などの各会員。

冬に起こるむくみのメカニズム

冬に起こるむくみのメカニズム

編集部編集部

むくみにシーズンはあるのでしょうか?

齋藤先生齋藤先生

冬はもちろん、夏でもむくみやすくなります。冷たいものをたくさん飲んだり、クーラーが効いていて汗をかかなかったりするからです。しかし、一般的な話で言えば、「冬のほうがむくみやすい」といえるでしょう。

編集部編集部

冬のむくみは、汗をかきにくいからですか?

齋藤先生齋藤先生

汗のほか、口や皮膚から自然に排出される水分も関係しています。総じて、冬は「体内の水分が出ていきにくい」季節です。ですから、取った水分が体内にたまってしまうのです。

編集部編集部

そもそも「むくみ」とは、どの箇所に水がたまることなのでしょうか?

齋藤先生齋藤先生

むくみは血液中の水分が血管の外に滲み出て、皮膚の下に水分が溜まった状態です。原因は様々で、水分の過剰摂取であったり、血行が悪くなったりすることで、むくみは起こります。

編集部編集部

水分の摂取を控えたらダメなのでしょうか?

齋藤先生齋藤先生

むくみが辛い場合は、控えても構いません。一般的に言われている「水をたくさん飲みましょう」という風潮には、個人的に疑問を感じています。実際、喉の乾きに応じて水分摂取を控えることで、むくみが解消したという患者さんもいらっしゃいます。また、むくみには、塩分も大きく関係しています。

編集部編集部

塩分ですか? 今までの話を聞く限り関係ないように思います。

齋藤先生齋藤先生

体には、体内の塩分濃度を維持する機能があるのです。そのため塩分を多く摂取すると、さらに水分を抱え込んでしまうのです。ですから、一律に「1日に水を2L以上飲め」というのも考え物で、重要なのは過不足のバランスですよね。

編集部編集部

むくみと一緒に「冷え」を感じることが多いのですがなぜでしょう?

齋藤先生齋藤先生

むくみにより抱え込んだ水分が、血管やリンパ管を圧迫することで血流を悪くし、冷えを感じると考えられます。ほかのシーズンと比べ、ただでさえ寒いですしね。

運動がむくみの解消にいい理由

運動がむくみの解消にいい理由

編集部編集部

続いて、むくみが取れる方法を教えてください。

齋藤先生齋藤先生

体を冷やさない代謝を落とさない塩分の取りすぎに気をつける適度な運動を心がけるなどです。運動が好ましい理由は、筋肉のポンプ効果により、静脈の血液を早く流せるからです。血液中の水分に排出する時間を与えないようなイメージでしょうか。また、生野菜などに含まれるカリウムは、塩分を排出する効果があることで知られています。

編集部編集部

運動といっても、冬はなかなか汗をかけないのでは?

齋藤先生齋藤先生

発汗は必ずしも気にしなくていいと思います。それよりも、筋肉を動かすことのほうが大事でしょうね。運動の継続で、やがて汗をかけるようになれば、それに越したことはありません。

編集部編集部

むくみに入浴がいいと聞きますが実際はどうなのでしょう?

齋藤先生齋藤先生

温かいと、末端の毛細血管が広がるので、血流量を増加させます。水分の出し入れだけを考えたら、運動と同じような効果があるでしょう。もちろん、発汗そのものも、むくみの解消に役立ちます。

単なる水分過多で終わらないケースも

単なる水分過多で終わらないケースも

編集部編集部

むくみを放置しているとどうなるのでしょう?

齋藤先生齋藤先生

よく知られているのは、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」といって、リンパ液の流れが滞り、体内に侵入した細菌を排除しきれないことで起こる炎症です。また、内臓疾患などが隠れている場合は、その病気を進行させてしまうでしょう。むくみは循環器や腎臓などと大きく関わっていますから、お気軽にご相談ください。

編集部編集部

病院では何をしてくれるのですか?

齋藤先生齋藤先生

生活習慣の改善や、必要に応じて、脚全体がぎゅっと加圧できる「弾性ストッキング」を処方します。私個人としては、あまり「利尿薬」を頼りません。電解質のバランスが崩れ、不調を訴える方がいらっしゃるからです。また、長期の服用により、やがて利尿薬が効きにくくなることも大いにありえます。

編集部編集部

むくみの解消には、何科を受診すればいいのでしょう?

齋藤先生齋藤先生

難しいですが、迷ったら総合的に診られる「内科」でしょうか。むくみにはさまざまな要因が絡んでいるため、「当院ではお役に立てない」「ほかの病院を受診して」というケースを、ある程度は想定しておいてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

齋藤先生齋藤先生

何より、むくみに隠れた病気が怖いです。健康診断の項目ではすくいきれないリスクが隠れているかもしれません。1回の受診で診断がつくかどうかはわかりませんが、原因を早めに特定し、その解消へ結びつけていきましょう。

編集部まとめ

結論としては、「冬になると体内の水分が排出しにくくなるから」ということでした。また、「問題となる水分は血管の周辺にたまる」ということも理解しておきましょう。水分の増えた血液を静脈中に滞らせてしまうと、よりむくみが発生してしまいます。そして、血液の停滞を防ぐためには、運動が適しています。

医院情報

さいとう内科・循環器クリニック

さいとう内科・循環器クリニック
所在地 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13-8 メディカルプライム日本橋小伝馬町 3階
アクセス 東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅1番、3番出口より徒歩2分
都営新宿線「馬喰横山」駅A1出口より徒歩3分
JR総武線「馬喰町」駅1番出口より徒歩3分
診療科目 一般内科 循環器内科 糖尿病内科

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