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【漫画付き】ブルーライトカットメガネって実際どれくらい効果があるの? メガネで防止するのはおすすめですか?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】ブルーライトカットメガネって実際どれくらい効果があるの?
パソコンやスマートフォンなどを使用する際に着用すると眼精疲労を和らげ、眼疾患を予防するとうたわれている、ブルーライトカットメガネが普及しつつあります。ブルーライトは目にどのような影響があり、それをメガネのレンズで防止する効果はどれくらいあるのか? 川崎おぐら眼科クリニック院長の西岡大輔医師にお話を伺った。


監修ドクタープロフィール:
西岡 大輔(川崎おぐら眼科クリニック 院長)

鹿児島の名門ラ・サール高等学校から杏林大学医学部に入学。卒業後は名古屋逓信病院、東京大学医学部眼科で研修医として研鑽を積む。その後、宮田眼科医院、関東労災病院を経て、2014年に川崎おぐら眼科クリニックを開院。「患者様と向き合う」をモットーに地域の眼科医療向上に尽力するかたわら、非常勤医師として横浜南共済病院にも勤務。赤ちゃんの頃から診察している患者様の成長を我が子のように温かく見守る子ども好きの一面を持つ九州男児。日本眼科学会 眼科専門医。

そもそも「ブルーライト」とは何か?

川崎おぐら眼科クリニック 西岡大輔医師

編集部そもそも「ブルーライト」って何ですか?
西岡先生ブルーライトが何か? なぜブルーライトをカットする眼鏡があるのか? ということを知らない方も多いと思いますので、まずブルーライトについてお話ししましょう。
ブルーライトとは、人が見ることのできる可視光線のうち、波長の短い光のことを言います。日常生活ではスマートフォンやパソコンのディスプレイ、LED照明などから発せられていますが、長寿命・省エネ・明るさを特徴とするLEDの光は特にブルーライトが多いとされています。
編集部パソコンやスマートフォンだけでなく、生活のいたるところにあるんですね?
西岡先生その通りです。この記事を読んでいる皆さんはパソコンやスマートフォンを使わない日はないでしょう。LED照明も省エネでどんどん増えています。
編集部ブルーライトは、目にどんな影響があるんですか?

西岡先生眼球の構造を横から見ると、前から角膜、水晶体、硝子体、網膜を形成していますが、ブルーライトは一番後ろの網膜まで達します。網膜はカメラで言えばレンズを通った光が集まって像を結ぶ「フィルム」の部分に相当する重要な器官です。

今はデジタルカメラですからフィルムなんて見たことがないという人もいるかもしれませんが、カメラの構造自体は何となくお分かりですよね。理屈としては、ブルーライトによってこの大事なフィルム(=網膜)に傷がつくと、きれいな写真が撮れないということです。また、一番表面の角膜に傷がつくと、痛みを感じたり目の奥がズキズキしたりします。

ブルーライトカットの効果とブルーライトカットメガネをおすすめする医学的な根拠はない

川崎おぐら眼科クリニック 西岡大輔医師

編集部ブルーライトをメガネのレンズでカットすれば、角膜や網膜を傷つけないから目を傷めないということですか?

西岡先生おそらくそういう理屈なのでしょう。では、今挙げたような症状、疾患を予防できるか? という点ですが、医学的な研究などは行われてはいるものの、今のところ医学的には根拠はないとされています。こういった仕様のレンズはいくつかのメーカーから発売されていますが、実際にそのカット率を調べたデータによりますと、多くても50%、つまり半分です。

購入する側からすると、100%カットしていると思う方もいるかもしれませんね。現段階で言えることは、市販されているメガネでは効果は証明されていないということです。ですから、各個人の判断で購入、使用するべきでしょう。

川崎おぐら眼科クリニック 西岡大輔医師

編集部パソコン作業をするときにブルーライトカットのメガネをかけると目の疲れが違うような気がしたのですが・・・?
西岡先生パソコン作業時の眼精疲労や健康への影響でいうならば、まず厚生労働省が定める「VDT(Visual Display Terminals)作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に記載されているように、連続作業時間が時間を超えないようにすることと、連続作業の場合は15分程度の作業時間休止時間を設けることなど、より基本的な対策が必要ですね。

参考リンク:「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000184703.pdf

編集部パソコンやスマートフォンのディスプレイの明るさを下げると、同じ効果が期待できると聞いたことがあります。
西岡先生そのことも先ほどのガイドラインに記してあります。ディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下にすること、反射防止型のものを使用すること、キーボードや手元の書類など周辺の明るさとの差をできるだけ小さくすることなど、なるべく目を疲れさせないようにするための工夫が先決です。
編集部最後に、注意点やメッセージなどがあればお願いします
西岡先生目の健康という観点から言えば、ブルーライトよりも注意しなければならないことはたくさんあります。最近少しずつ知られるようになってきましたが、夏の強い紫外線が目に及ぼす影響のほうがよほど深刻です。目が日焼けするということについてもっと広く知っていただきたいと思います。少なくとも紫外線対策としてのサングラスのほうが効果はあるでしょう。

編集部まとめ

ここだけの話、編集部でもブルーライトカットのメガネを使っている者がいるだけに、意外な結果でした。もしもカット率が100%ならばまた違った結果なのかもしれませんが、現時点では医学的に根拠はないそうです。それよりもパソコン作業の環境を見直したり、無駄にスマホをいじって過ごす時間を減らすことのほうが大切なのかもしれませんね。夏の紫外線で目が日焼けするというお話も知らなかった方が多いのでは?
お肌だけではなく、目のUV対策も忘れないようにしましょう!

医院情報

川崎おぐら眼科クリニック
医療法人社団 川崎おぐら眼科クリニック
電話番号 044-599-1212
住所 神奈川県川崎市幸区小倉5-19-23
アクセス JR京浜東北線・南武線「川崎駅」からバス10分
JR南武線「尻手駅」からバス5分、「矢向駅」からバス12分
東急東横線「綱島駅」からバス15分
診療時間
【月~金】9:00~12:30 14:30~18:00
【土】9:00~12:30
休診日 日曜・祝日
診療科目
・一般眼科
・小児眼科
URL http://www.kawasaki-ogura.com

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