歯周病になると歯の色は変わる?
更新日:2023/03/27

目次 -INDEX-
執筆歯科医師: 剣持 正浩(日本歯周病学会認定医)
プロフィールをもっと見る
《保有資格》
日本歯科麻酔学会認定医。日本歯周病学会認定医等。東京歯科大学歯科麻酔学講座非常勤講師等。
《自己紹介》
劒持 正浩です。皆様のお口の健康の改善に努めることをお約束いたします。
歯の構造
口腔内に露出して見えている部分を歯冠といい、歯槽骨に埋まっている部分を歯根といいます。 歯冠は、表層からエナメル質・象牙質・歯髄となり、歯根は、表層からセメント質・象牙質・歯髄となります。一般的に歯の変色を訴えられる方が多い、歯冠部の構造についてもう少し、詳しく見ていきましょう。1 エナメル質
歯冠の表面を覆っていて、人間の体の中で一番硬い半透明な硬組織です。2 象牙質
歯髄が入っている歯髄腔を囲んでいて、エナメル質ほど硬くはないですが、骨よりも硬く、淡黄色の硬組織です。また、象牙細管と呼ばれる管が歯髄からエナメル質の境目まで、走っています。3 歯髄
歯の内部に歯髄腔と言う空洞の中を、神経・血管・リンパ管などから成る軟組織を歯髄といいます。一般的にいう歯の神経のことをいい、象牙質に囲まれています。4 セメント質
歯根部の象牙質を覆う硬組織です。歯根膜繊維を介して歯根を歯根膜や歯肉と連結し、歯を支持する役割を果たしています。歯の色
歯は、前述した構造をしていて、エナメル質は半透明で、象牙質は黄色っぽい色をしています。そのため、歯が真っ白ではなく、黄色っぽく見えるのは、象牙質の色が透けて見えるためです。エナメル質が薄ければ、より象牙質の色を反映しますから、歯の質の違いにより、個人差が生まれます。歯の変色の主な原因は?
歯の変色には、う蝕(虫歯)や歯石、タバコのヤニ、コーヒーなどの外因性のものと、遺伝や、外傷などによる歯の障害、薬剤の作用による内因性のものに分けられます。(チームで成功させるホワイトニング デンタルダイヤモンド社より参照)外因性の着色
1 う蝕(虫歯)
歯の一部が、白色・淡褐色・黒色場合は、虫歯が原因の場合があります。2 歯石
プラークが石灰化したもので、歯肉縁上歯石の色は乳白色から黄色、歯肉縁下歯石の色は黒色を呈します。3 金属(アマルガム・フッ化ジアミン銀など)
黒褐色から黒色4 タバコ・コーヒー・お茶など
食べ物や飲み物の色素で変色することがあります。一般的にステインと呼ばれ、褐色・黄褐色を呈すことが多いです。内因性の着色
1 遺伝性
エナメル質形成不全症(褐色) 先天性ポルフィン尿症(ピンクから赤褐色) 先天性梅毒(褐色から黒色) 象牙質形成不全症(青みがかった褐色) 上記のような遺伝性疾患により、歯が変色することがあります。2 代謝性
カルシウム代謝異常やビリルビン代謝異常など3 失活歯(神経のない歯)
外傷などによりダメージを受けた歯や神経のない歯は、象牙細管内に血液の成分が入り込み、変色することがあります。4 薬剤の作用
歯が完成していない時期に、抗菌薬である「テトラサイクリン」を服用することで、歯にグレーや茶色の縞模様が出現することがあります。5 加齢変化
加齢に伴い、エナメル質が摩耗(磨り減る)することや、象牙質の厚みが増えることで、歯が黄色っぽく見えるようになります。 (チームで成功させるホワイトニング デンタルダイヤモンド社より参照)歯周病で歯は変色する?
重度の歯周病により、歯を支えている歯槽骨が溶けてしまい、歯周ポケットを経由して、象牙細管や、根尖孔(歯根の尖端)から細菌が感染して、歯の神経が死んでしまうことで起こる内因性の変色もありますが、一般的には、歯周病による変色は歯石による外因性のものだと思われます。歯石は大きく分けると、歯ぐきより上にできる歯石(歯肉縁上歯石)と歯ぐきの中にできる歯石(歯肉縁化歯石)に分けられます。



