入れ歯とインプラントを組み合わせるってどうやるの? メリット・デメリットも歯科医が解説

足立先生

「インプラントオーバーデンチャー」と呼ばれる治療法です。顎の骨の中に2〜4本ほどインプラントを埋め込み、その上に入れ歯を被せていきます。

足立先生

一般的な入れ歯は、裏面を粘膜（歯ぐき）にピタッと密着させて、その吸着力で入れ歯を固定し噛み合わせを作っていきます。これに対して、インプラントオーバーデンチャーは顎に埋め込んだ数本のインプラントが入れ歯を粘膜に連結させます。インプラントが「ボタン」だとすると、入れ歯の裏面には「ボタン穴」がついていて、ボタン穴にボタンをはめ込むような仕組みです。この仕組みによって入れ歯が横方向だけでなく縦方向にも外れにくくなるため、会話や食事がしやすくなります。

足立先生

インプラントオーバーデンチャーはあくまで「入れ歯」ですので、患者さん自身で取り外しができる点がインプラントとは異なります。一般的なインプラントは歯の部分（人工歯）をネジで止める仕組みになっていて、一度連結すると患者さん自身で歯を外すことはできません。これに対して、インプラントオーバーデンチャーは歯とピンク色の粘膜部分が一体になっていて、それをインプラントにはめ込む仕組みになっています。ねじ止めなどはしないため、患者さん自身で取り外すことが可能です。

足立先生

入れ歯に満足できなくてインプラントにしたいという方の中には、費用面がネックで治療を選べないという方も少なくありません。そのような方にとって、インプラントオーバーデンチャーは「コストが抑えられる」という点が最大のメリットです。例えば、歯がまったくない状態でインプラントを入れるとなると、だいたい10本前後インプラントを埋入する必要があるため、費用の総額もかなりの金額になります。しかし、入れ歯を利用したインプラントオーバーデンチャーは、最も少ないケースで下顎に2本、上顎に4本の埋入で治療が可能なので、大幅に費用が抑えられます。

足立先生

はい。とくに、高齢者の方の場合は何本もインプラントを入れるのはお体に大きな負担となる可能性があります。そのような意味において、普通の入れ歯よりも外れにくくて噛みやすく、通常のインプラントよりも埋入本数が減らせるインプラントオーバーデンチャーはメリットが大きいでしょう。

足立先生

インプラントと比較した場合、インプラントオーバーデンチャーは患者さん自身で取り外しが必要になるため、人によってはそれが面倒に感じる方もいらっしゃるようです。話しにくさや味覚にも影響があるケースもあります。また、保険の入れ歯と比べると費用は高くなります。くわえて、一般的なインプラントよりは本数は少ないものの、埋入のための外科手術が必要なため、健康面や服用歴によっては治療をおすすめできない場合もあります。

足立先生

すでに保険の入れ歯をお使いの方で、今よりも外れにくく、噛みやすい入れ歯にしたいとお考えの方ならインプラントオーバーデンチャーはおすすめです。また、インプラントにしたいけど費用面がネックという場合に、その次の選択肢としてインプラントオーバーデンチャーはコストを抑えられる点でおすすめの治療といえます。

足立先生

自分の歯が残っている方の場合は、残っている歯の本数や状態によって治療が難しくなる場合もあります。また、全身的な疾患や服用しているお薬の関係で外科手術ができるかどうかの判断が難しいケースについては、医科の先生と相談のうえ治療の可否を検討していきます。

足立先生

生きるうえで「美味しいものを食べること・食事を楽しむこと」は大きな喜びの1つ。そのためには健康な歯が必要です。ただ、自身の歯を失った場合でもインプラントという選択肢があり、さらにコストを抑えたい場合は「インプラントオーバーデンチャー」という方法もあります。一度きりの人生を楽しく笑顔で過ごすために、私たち歯科医は全力で皆さまをサポートしてまいりますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。