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知って納得!ピルの種類やその特徴について徹底解説!

 更新日:2023/03/27

避妊薬として耳にすることも多い「ピル」。
その高い避妊効果もさることながら、近年では女性特有の悩みに対して様々なメリットがある点にも注目が集まっています。多くの優れたメリットがある「ピル」ですが、多種多様な製品がありどれを選んだら良いのかわからないという方も中にはいるのではないでしょうか?今回は、多種多様な製品がある「ピル」の種類や分類についてMedical DOC編集部がお届けいたします。

この記事の監修医師
加藤 智子 (三河安城クリニック 医師)

ピルについての基礎知識

ピルの種類について学んでゆく前に、まずはピルについての基礎知識をしっかりとおさえておきましょう。

ピルとは?

避妊薬としてその名を耳にする機会も多いこの「ピル」と呼ばれる薬は、元々は丸薬・錠剤という意味を持つ「pill」という英単語が由来となって呼称されています。
現在日本において一般的に「ピル」と称されるこの薬は、避妊などの目的で服用される「低用量ピル」という経口避妊薬の事を指しています。この「低用量ピル」は、女性の卵巣から分泌される「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」を主成分に作られており、これらを経口で体内に摂取することによって卵巣からのホルモン分泌が抑制されます。
このことによって排卵が抑えられて妊娠が起こらなくなるなどの効果を得ることが出来ます。

「低用量ピル」の効果

「低用量ピル」の服用には妊娠の抑制以外にも、

  • 生理痛・生理前症候群(PMS)の緩和
  • 生理不順の改善
  • 生理開始日の調整
  • 貧血・ニキビなどの改善
  • 卵巣のう腫・乳腺症の予防

などに対して有効である事がわかっています。

「低用量ピル」の副作用

このように、妊娠の抑制効果に加えて女性特有のデリケートな問題に対して様々な効果が期待できる「低用量ピル」の服用ですが、吐き気や頭痛、乳房の張り・痛み、不正出血などの副作用があらわれる場合もあります。

これらの副作用は主に飲み始めてから1~2ヵ月程度の服用初期によく見られますが、その症状は服用を続けているうちに自然と解消してゆく場合がほとんどであると言えるでしょう。

副作用の症状がなかなか治まらない場合や、ガマンが出来ない場合は医師に相談すると良いでしょう。

「低用量ピル」服用のメリット・デメリット

メリット

「低用量ピル」服用のメリットとして特筆すべきは、やはりその高い避妊効果があります。

1年間の避妊失敗率の統計を比較すると、コンドームを使用した避妊では2~18%・タイミング法による避妊では0.4~24%という避妊失敗率となっている事に対して、「低用量ピル」服用による避妊では0.3~9%となっており、他の避妊法と比べて低い避妊失敗率となっていることからもその確実性の高さが伺えます。

また、「低用量ピル」服用による避妊には確実性の高さ以外にも、女性自身が主体的におこなえる避妊方法であるというメリットもあります。避妊についてパートナーに任せきりにするのではなく、女性自身が主体性をもって避妊に取り組めるというのは大きなポイントであると言えるでしょう。

さらに「低用量ピル」の服用には、先にも述べたように生理についての様々な悩みの解消に役立つというメリットもあります。 生理を適切にコントロールすることで、女性特有のストレスが大きく軽減される事にもつながります。

その他にも、子宮内膜症や卵巣・子宮・乳がんなどの女性特有の疾患の予防や、ニキビ・肌荒れ・貧血などにも有効である事もメリットとして挙げられます。

デメリット

「低用量ピル」服用のデメリットとしては、先に述べた副作用以外にも、喫煙による血栓症リスクの増加があります。

低用量ピルを服用中に喫煙をすると血管の中の血が血栓となってしまいやすく、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症へとつながるリスクが増大します。

また、「低用量ピル」服用のデメリットとして性感染症リスクの増加についても注意しなければなりません。 低用量ピルを服用しているという安心感から、コンドームを使用せずにセックスをおこなう事によって性感染症へと感染してしまうケースも少なくありません。

しかしこれらの「低用量ピル」服用によるデメリットは、服用する本人が注意を怠らなければしっかりと防げるデメリットであるとも言えるでしょう。

低用量ピルの服用に際して、喫煙習慣の見直しやコンドームの使用の心がけを徹底する事によってこれらのリスクを排する事が出来るでしょう。

「低用量ピル」服用が向かないケース

「低用量ピル」を服用すると、ごくわずかながら非喫煙者においても血栓症リスクが増加することがわかっています。

喫煙者に加えて、ご家族に心筋梗塞や脳梗塞の発症例がある方や内臓疾患を持っている方、コレステロール値や中性脂肪値・血糖値・血圧が高い方は低用量ピルの服用が不向きであると言えるでしょう。

低用量ピルの種類について

低用量ピルの基礎知識についてしっかり学んだところで、ここからはピルの種類について学んでまいりたいと思います。

大きく別けてピルには、定期的な服用で効果を得る【低用量ピル】と、性行為直後に服用することで避妊効果が得られる【アフターピル】の2種類がありますが、ここではより一般的な【低用量ピル】の種類について解説してまいります。

低用量ピルは、主成分である「黄体ホルモン」の種類によって開発された順に世代ごとに分類されています。 効果の現れ方や副作用がそれぞれ異なりますので、ご自身に最適な種類を選ぶようすると良いでしょう。

世代による分類

第1世代

「ノルエチステロン」という黄体ホルモンが使用されており、その作用を増強するために卵胞ホルモンが多く含まれています。

ニキビや体重増加リスクなどの「男性化症状(アンドロゲン作用)」と呼ばれる副作用リスクが少ないというメリットに対して、吐き気・頭痛などの副作用についてのデメリットが考慮されるという特徴があります。

第2世代

「レボノルゲステロル」という第一世代よりも効果の強い黄体ホルモンが使用されているため、比較的に卵胞ホルモンの量が抑えられています。

このため、第一世代と比較して吐き気・頭痛などのデメリットは軽減されますが男性化症状(アンドロゲン作用)のリスクが高まります。

しかしこのリスクについては、黄体ホルモン量を段階的に変化させる服用方式によって軽減されます。

第3世代

第3世代では、「デソゲストレル」「ゲストデン」「酢酸シプロテロン」などの黄体ホルモンが使用されています。

高い避妊効果を持ちつつ、吐き気・頭痛などの副作用リスクや男性化症状も少ないという特徴を持ち合わせています。

第4世代

体内の黄体ホルモンと近い働きをする「ドロスピレノン」という黄体ホルモンが使用されています。

このことによってより自然な効果が得られると共に、卵胞ホルモンの使用量が抑えられるため頭痛・吐き気などの副作用が軽減されています。

その他の分類

一般的に「低用量ピル」では、月経の周期を28日間としてその周期に対応した服用サイクルが適用されており、その服用サイクルに応じて「21錠タイプ」と「28錠タイプ」の製品があります。

「21錠タイプ」の服用では毎日1錠ずつを21日間に渡って服用した後、一週間の休薬期間を経て次のサイクルへと移行します。

それに対して「28錠タイプ」では、ホルモンが入っている21錠を21日間に渡って服用した後に飲み忘れ防止の為の7錠の偽薬を服用し、すべてを服用し終えた後に次のサイクルへと移行します。

 

さらに「低用量ピル」は、1サイクル内での摂取ホルモン量の段階的な変化の方式によって「1相性」と「3相性」の2種類の分類があります。

「1相性」では1サイクル中に毎日一定のホルモン量を摂取するのに対して、「3相性」では1サイクル中のホルモン摂取量を3段階に変化させることによって各種リスクの軽減や月経タイミングの最適化が図られています。

日本で人気の「低用量ピル」の種類とは?

日本で最も服用されている「トリキュラー」という製品は、第2世代3相性となっています。このトリキュラーには21錠タイプの「トリキュラー21」と、28錠タイプの「トリキュラー28」があります。

第3世代1相性の製品としては「マーベロン」という製品が一般的に服用されています。 こちらにも「21錠タイプ」と「28錠タイプ」の製品があります。

また、低用量ピルにはリーズナブルに利用できるジェネリック品もあります。 医師と相談のうえ、ご自身の身体に最適な製品を選ぶことを心がけると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、一般的に「ピル」と呼ばれている「低用量ピル」の基礎知識やその種類について解説いたしました。

低用量ピルを正しく使用することで、避妊効果以外にも様々なメリットが期待できる事がおわかりいただけたかと思います。

さらに、低用量ピルには含有されているホルモンの種類や服用方法に加えて、摂取ホルモン量の調整方法によって様々な分類があり、その製品には様々な種類がある事がおわかりいただけたかと思います。

このように様々な種類の製品がある低用量ピルの服用に際しては、医師としっかりと相談した上でご自身に最適な製品を選ぶことが重要であることを心がけましょう。

ご自身に最適な製品を正しく使用して、喜びのあふれた健やかな毎日へと役立てましょう。

監修ドクターコメント

加藤先生

欧米では、決して避妊目的だけではなく月経により仕事や学校生活に支障があることに対し、低用量ピルの使用は非常に浸透しています。日本でも昔より徐々に普及しつつありますが、正しく知識を持てば安全でありますが、まだまだ使用率は低いのが現状です。たしかに、記事中にもありますように使用を控えるべき項目に該当する人もいますが、きちんと診察や検査をうければ安全に使用できることが、ほとんどであり、むしろ妊娠希望ではないときに排卵を抑制することも、卵巣がんや大腸がんなどの罹患率を低下させるメリットもあります。もっと、日本でも正しい知識とともに普及されてもよいのではと思います。我々産婦人科医ももっと啓発に努めていきたいと思っています。

ピルでおすすめの産婦人科 中部編

三河安城クリニック

出典:http://mikawaanjoclinic.com/

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