内視鏡と胃カメラは違うの!?知っておきたい本当の内視鏡
内視鏡のことを胃カメラと言う人がいますが、厳密には全くの別物です。内視鏡は現在も検査で使用されている医療機器ですが、胃カメラはすでに過去のものなんですよ。
内視鏡と胃カメラを混同しているからと言って問題があるわけではありませんが、できることなら違いを知っておきたいところです。
そこで今回は、内視鏡と胃カメラの違いについてご紹介します。
成毛 哲 (成毛医院 副院長)
目次 -INDEX-
内視鏡と胃カメラの違いとは!?
内視鏡も胃カメラも食道・胃・十二指腸内を検査するために使用する医療機器という点では同じものです。ですが、医療機器自体の仕組みが大きく異なります。
胃カメラとは
胃カメラは、1950年にオリンパスが開発した「胃の中を写して見る」ための医療機器です。
小型カメラ、照明用ランプ、フィルムが先端に取り付けられた柔軟管を患者の胃の中に挿入し、手元の操作でフラッシュ撮影。
管を引っ張って回収し、現像したフィルムで患者の胃内を観察するというものでした。
内視鏡とは
内視鏡は、光ファイバーとCCD(撮像素子)を使用した医療機器です。
光ファイバーの先端部には超小型のCCDカメラが取り付けられており、患者の体内に挿入することで、リアルタイムで胃の内部を観察することが可能です。
内視鏡にはCCD以外にもライトガイド、送気・送水管、生検鉗子孔が装備されており、観察以外の用途でも活躍します。
胃カメラは昔からの名残の言葉
内視鏡の開発により、患者の負担が大きく、検査に長時間を要する胃カメラはその役目を終えました。現在では、胃カメラを医療機器として使用しているところはありません。
しかし、内視鏡と胃カメラが広義的に同じ目的の検査なので、内視鏡のことを昔からの名残で胃カメラと呼ぶ人が多くいます。
医者側も「いちいち訂正するほどのことじゃない」、「患者がわかりやすいように」と内視鏡(胃カメラ)としている場合があるんです。
胃カメラではできなかった経鼻内視鏡検査
技術が進み、管の太さが5mm以下の内視鏡が開発され、鼻から管を挿入できるようになりました。鼻から内視鏡の管を通して検査することを経鼻内視鏡検査といいます。
胃カメラは柔軟管の太さが12mmほどありました。その後、内視鏡が開発され、現在では管の太さが8~10㎜ほどになりました。患者の負担はだいぶ軽くなりましたが、舌の根元に管が触れてしまうので、どうしても咽頭反射で「オエッ」となってしまいます。
しかし、経鼻内視鏡は鼻から管を挿入するので、舌の根元に触れることがなく、咽頭反射が起こりません。また、口が塞がれていないので、検査中に医師と患者が会話できますよ。
さらに進化する内視鏡
内視鏡は日々改良されており、現在では飲み込むタイプの小型カプセル型のものが開発されています。カプセル内視鏡は、主に通常の内視鏡検査が難しかった小腸の検査に使われます。
カプセル内視鏡は搭載されたCCDで1秒間に2枚の間隔で小腸内を撮影し、無線機能によって画像を送信します。
これにより全長が6~7mもある小腸を隈なく画像観察できるようになりました。カプセル内視鏡のメリットは、検査時の苦痛がないので鎮静剤や麻酔を使用する必要がないことです。
また、カプセルを水と一緒に服用したら、その後は仕事や家事などの日常生活に戻れます。カプセル内視鏡は小腸内の撮影を終えると体内を進み、最後には肛門から自然に排出されます。
胃や大腸以外でも活躍する内視鏡
内視鏡は胃や大腸での検査の時に頻繁に使用されています。しかし、実は他の臓器を調べるために、多くの内視鏡が開発されています。
- 脳内用スコープ
- 耳鼻咽喉用スコープ
- 胸腔鏡(ソラコスコープ)
- 気管支用スコープ
- 上部消化管汎用スコープ
- 腹腔鏡(ラパロスコープ)
- 十二指腸スコープ
- 膵管鏡
- 胆道鏡
- 小腸内視鏡
- 大腸用スコープ
- 直腸鏡
これらの医療機器は使用目的別に大きさや太さ、搭載されている機能が異なります。しかし、どれも体内の病巣を見つけて、病気を確定診断することが主な使用目的です。
また、体内を観察する以外にも、病変の切除や異物摘出など治療や処置を行うこともできます。
胃内視鏡と胃バリウムは何が違うの?
胃内視鏡以外で胃内部を検査する方法に、胃バリウム検査があります。胃バリウム検査では、発泡剤とバリウムを飲んだ上で胃をレントゲン撮影することで、胃が白く写し出されます。
胃に異常があれば、胃内部が盛り上がったり、凹んだりして写るため、病巣の発見が可能なのです。
胃バリウムのメリット
胃バリウムのメリットは、費用が安く抑えられる点です。また、胃内視鏡のように管を挿入することがなく、「オエッ」という咽頭反射がありません。
検査が比較的楽な上、検査時間が短いので負担が少ないこともメリットに挙げられます。
胃バリウムのデメリット
胃バリウムにはメリットがありますが、当然デメリットもあります。一番のデメリットは胃バリウムで発見できるポリープなどは良悪性がわかりません。
そのため、胃バリウムで異常が見つかった場合は、胃内視鏡で良悪性を調べ直す必要があります。また、バリウム検査ではX線を浴びるため、被爆します。
胃バリウムより胃内視鏡がおすすめ
胃内視鏡、胃バリウムの両方にそれそれメリット・デメリットがあります。
一概にどちらがいいとは言えませんが、胃バリウム検査時に異常が見つかった場合、結局、胃内視鏡検査を受けなければならず、二度手間になります。
なので、より正確・精密に検査ができる胃内視鏡検査を初めから受けることをおすすめします。
内視鏡の未来は
オリンパスが開発した胃カメラの技術をもとに内視鏡が開発・改良されてきました。今では、内視鏡は患者の負担を減らした上で、病巣の早期発見にとても役立っています。
内視鏡はこれからも進化を続け、より高性能で負担の少ないものが誕生することが期待されています。
治療の器具が胃カメラから内視鏡に移り変わって、患者さんへの負担も減りました。内視鏡は非常に細く、記事にもあるように医師と会話できるほどです。とは言え、絶対に苦しい思いをすることはない、とは言い切れません。内視鏡検査を受ける際には、どの病院を選ぶかも大切です。例えば、内視鏡による検査は時間をかければいいというものではなく、丁寧に素早く進めることが肝心です。経験を積むほどに内視鏡の扱いは上手になりますので、経験豊富な医師がいる医院だと安心感があるでしょう。また、規模の大きな病院ですと鎮静をかけてくれるところもありますので、検討材料にしてみてもいいでしょう。ご自分の考えや気持ちも考慮して、検査を受ける病院を選びましょう。
監修ドクター:成毛 哲 医師 成毛医院 副院長
内視鏡検査でおすすめの医院 関東編
成毛医院
出典:http://www.naruke-clinic.com/
電話番号 | 047-358-2001 |
住所 | 千葉県市川市相之川3-1-22 |
アクセス | 東京メトロ東西線の南行徳駅より徒歩8分 |
診療時間 | 9:00~12:00 15:00~18:00 |
休診日 | 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日 |
対応検査項目 | ・大腸内視鏡検査 ・胃内視鏡検査 ・経鼻内視鏡検査 ・麻酔を用いた(静脈内鎮静法)内視鏡検査 |
URL |
http://www.naruke-clinic.com/(クリニックWEBサイト) http://www.ichikawa-naishikyo.com/(胃・腸内視鏡外来サイト) |