内視鏡とバリウム結局どっちがいいの?よく聞く胃ABC検診って何?
40歳以上になると、胃がんなどの病気を発見するため、健康診断や人間ドックで胃の内視鏡検査(胃カメラ)やバリウムを使用したX線検査を受ける機会が増えてきますよね?
内視鏡とバリウム検査の特徴や第三の検査方法「胃ABC検診」についてもご紹介します!
この記事の監修ドクター:河島 祥彦 医師(河島医院 院長)
目次 -INDEX-
胃の内視鏡検査(胃カメラ)って?
胃の内視鏡検査は胃カメラと呼ばれることもありますが、正式名称は『上部消化管内視鏡検査』です。
胃はもちろんのこと、食道や十二指腸の検査も同時に行われます。
口もしくは鼻から小型カメラのついた管を挿入し、胃や食道や十二指腸の内部を外部モニターに映し出すことで、病理やポリープなどの有無を確認します。また、異変が発見された際でも、速やかに対処できるというメリットがあります。
そのため、病気の早期発見という点で大きく役立ちます。
内視鏡には、ピンセットやハサミに似た「鉗子」を装着できるので、気になる箇所をすみやかに採取し、より詳細な検査(生検による病理検査)につなげることもできるようになっています。
口から挿入する「経口内視鏡」の直径は7~9㎜程度、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」の直径は約5㎜の太さであり、検査を受ける方の希望や体質などで選択されます。
人によっては、内視鏡を挿入する際に痛みを感じることもあるようですが、その場合には麻酔や鎮静剤を併用してもらえるため、不安を感じたら最初の問診の際に相談しておきましょう。
同時に薬剤の既往歴やアレルギーについても話しておくと、より良い結果につながる可能性があります。
バリウム検査(X線検査)
バリウム検査とは、飲み込んだ造影剤をX線撮影によって透視する検査項目のことです。
通常のX線撮影と異なり、事前に発泡剤とバリウムなどを飲むことで、より鮮明に胃などの消化管の形状を写し出し、ポリープや腫瘍などの異変を早めに発見する目的で実施されます。
バリウム検査の間は、上下や左右に態勢を変えることで、様々な角度からの消化管の動きを撮影していきます。
その際「げっぷ」が出てしまうこともありますが、げっぷが出てしまうと胃が縮んでしまい、撮影がうまくできなくなってしまうため、再度発泡剤を飲むことになります。
検査の終了時には、水と一緒に下剤を服用します。これは、バリウムがお腹の中で固まらないようにするための措置です。
バリウムを含んだ白い色の便がきちんと出れば問題ありません。しかし、人によっては便秘を起こすケースもあります。
他にも放射線を浴びることによる被爆のリスクがあります。
検査結果によっては、より詳しく調べるために、後日内視鏡検査を受けることもあります。
まだまだバリウム検査が採用される理由って?
バリウム検査は、医師だけでなく、放射線技師でも実施できます。
内視鏡検査は医師でないと行えないため、検査の費用を抑えたい場合や、医師の確保が難しい場合にも採用しやすい検査といえるでしょう。
他にも内視鏡検査は、発見された症状によっては、患部を少し切り取り、病理検査にかけるケースもあります。
また何より、一度使用した内視鏡のスコープは、その都度洗浄し消毒を行う必要があります。
それらの工程にかかる時間を踏まえた場合、ほぼ同じくらいの時間で検査が進行できるバリウム検査は、企業などが社員を対象に行う健康診断のような大人数の検査で採用されやすいのです。
自治体による「胃がん検診」
胃の内視鏡検査やバリウム検査の費用を安く抑えたい場合には、市区町村が実施する胃がん検診を利用するのもひとつの方法です。
その自治体にお住まいの50歳以上の男女であれば、申し込むことによって誰でも受診できます。
ただし、申し込みをしてすぐに検診を受けられるとは限らず、かなり余裕を持った日程が案内されることもあるため、なるべく早く結果を知りたい方や、仕事などで時間の都合をつけるのが難しい方の場合には、事前に担当窓口へ相談するか、人間ドックなどを選択することも検討しましょう。
胃の内視鏡検査とバリウム検査のどちらを選べば良いの?
胃の内視鏡検査とバリウム検査のどちらかを選ばなければならない場合、おおまかな基準には次のようなものがあります。
胃の内視鏡検査を選んだほうが良い方
胃の内視鏡検査を選んだほうが良い方には、家系に胃がんを患った方がいる場合や、ピロリ菌の存在が見つかった方、ピロリ菌の除菌を過去に行った方などが当てはまります。
他にも、腹痛などの症状や食欲不振などの理由で、徹底的に胃を検査したいと望んでいる方も該当します。
バリウム検査を選んだほうが良い方
胃のバリウム検査を選んだ方が良い方には、そもそも胃が痛くなった経験のない方や、胃の病気を患ったことのない方、40歳未満の方が当てはまります。
それらを踏まえた上で、胃の検査の予算を少しでも抑えたい方も該当します。
第三の検査方法「胃ABC検診」
胃の内視鏡検査とバリウム検査の他にも、「胃ABC検診」と呼ばれる検査方法があります。
胃ABC検診は、胃がんの発生しやすい原因を、血液検査によって調査する方法です。
バリウムや内視鏡に抵抗のある方にとって第三の選択肢ができたとも言えるでしょう。
胃ABC検診の内容とは?
胃ABC検診は、血液検査によって、胃の中にがんなどの発生要因のひとつである「ピロリ菌」が存在するかしないのかという点と、「ペプシノーゲン」の濃度の測定をすることで胃の粘膜がどのくらい萎縮しているのかという点を確認する検査です。
胃がんが最も発生しやすいのは、胃の粘膜がピロリ菌によって攻撃されることですり減らされた状態と言われています。
胃の粘膜の萎縮それ自体も、胃がんが起こりやすい環境の一因です。
胃ABC検診の判定基準
胃ABC検診は、AからDまでの4種類の判定基準があります。
まずA判定は、ピロリ菌とペプシノーゲンの両方が陰性の場合であり、胃がんが最も起こりにくい状態です。
続いてB判定は、ピロリ菌が陽性、ペプシノーゲンが陰性の場合で、少しだけ胃がんが起こりやすい状態となっています。
それからC判定は、ピロリ菌とペプシノーゲンが両方陽性の場合で、胃がんが発生しやすい状況です。
そしてD判定は、ピロリ菌が陰性、ペプシノーゲンが陽性の状態で、胃がんの発生確率が最も高い状況と言えます。
胃ABC検診の注意点
胃ABC検診は、現時点で胃がんになりやすいかどうかを調べる検査のため、腫瘍やポリープの発見を目的とする場合には、内視鏡検査やバリウム検査を受けた方が良いでしょう。
それから、胃や食道や十二指腸に病気のある方や、腎不全や胃の切除をしている方、ピロリ菌の除菌治療を受けた方は、胃ABC検診を受けることはできないので、あらかじめきちんと担当医師に相談をしてください。
まとめ
胃の内視鏡検査とバリウム検査はそれぞれ内容が異なりますが、手軽に胃の検査をしたい場合にはバリウム検査。
もう一歩進めた検査をしたい場合には、内視鏡検査を選んだ方が、その後の生検による病理検査や、腫瘍やポリープなどの摘出手術への対処が早まることにつながります。
検査費用を安く抑えたい場合には、市区町村の自治体による胃がん検診を受けるのもひとつの方法です。
厚労省発表の国民生活基礎調査によれば、大阪府における胃がん検診の受診率は全国で最下位。そのような立地にある医師から言わせていただきたいのが、「健康診断は、受けてこそ意味がある」ということです。お体に異常がないとお考えでも、ぜひ受診をご検討ください。
病気の早期発見は、完治への近道だからです。また、内視鏡検査はバリウム造影検査と比べ、得られる情報量が格段に違います。もっとも端的な例としては「色」でしょう。内視鏡検査なら、ポリープなどが「形」として変化する前の段階で、「色」の変化として発見できます。また、疑わしき患部をそのまま生体検査へ回せる点も、内視鏡検査の大きなメリットです。
監修ドクター:河島 祥彦 医師 河島医院 院長
内視鏡検査でおすすめの医院 関西編
河島医院
電話番号 | 06-6629-2110 |
住所 | 大阪府大阪市阿倍野区昭和町2丁目1-24 |
アクセス | 地下鉄御堂筋線 昭和町駅 3番出口 徒歩1分 |
診療時間 | 【月・火・木・金】8:00~12:00/夜診18:00~20:00 【水・土】8:00~12:00/夜診なし ※午前8〜9時、水曜日は予約検査 ※内視鏡検査は要予約 |
休診日 | 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日 |
対応検査項目 | ・大腸内視鏡検査 ・胃内視鏡検査 ・麻酔を用いた(静脈内鎮静法)内視鏡検査 |
URL | http://www.kawashima-cl.jp/ |