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「強皮症」とはどんな病気かご存知ですか?原因や治療費も解説!【医師監修】

 公開日:2026/04/21
「強皮症」とはどんな病気かご存知ですか?原因や治療費も解説!【医師監修】

強皮症は、皮膚だけでなく内臓にも影響が及ぶことがある疾患です。全身性強皮症と限局性強皮症があり、それぞれ症状や原因、治療法などが異なります。

この記事では、強皮症の種類や特徴、診断の流れ、検査内容、治療法を解説します。

副島 裕太郎

監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)

プロフィールをもっと見る
2011年佐賀大学医学部医学科卒業。2021年横浜市立大学大学院医学研究科修了。リウマチ・膠原病および感染症の診療・研究に従事している。

【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)

診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科

強皮症の種類と特徴

強皮症の種類と特徴

強皮症にはどのような種類がありますか?

強皮症には、全身性強皮症限局性強皮症の2種類があります。病気の性質や影響範囲が大きく異なります。

限局性強皮症は皮膚のみの変化にとどまる一方、全身性強皮症は皮膚だけでなく内臓にも影響が及ぶ可能性があります。

限局性強皮症とはどのような病気ですか?

限局性強皮症は、皮膚の一部に限って硬くなる変化が現れる病気です。

全身性強皮症では手の指から左右対称に皮膚の硬化が広がっていくのに対し、限局性強皮症では指に症状が出ることはほとんどなく、身体のさまざまな部位に、あざのような硬い皮膚の変化が不規則に現れます。

全身性強皮症のように臓器障害を伴うことはなく、生命に関わる病気ではないとされています。

全身性強皮症とはどのような病気ですか?

全身性強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる硬化や線維化を特徴とする病気です。

多くの場合、レイノー現象(寒さやストレスなどで手足の血流が低下し、指先の色が変わる症状)が現れ、手指の皮膚の硬化が左右対称に身体へ広がっていく傾向があります。

病気が進行すると、肺線維症や肺高血圧症など呼吸器の障害、逆流性食道炎などの消化器症状、心臓や腎臓に関わる合併症(不整脈、心外膜炎、強皮症腎クリーゼなど)がみられることもあります。

加えて、関節痛や筋肉の炎症、手指の動かしにくさ(屈曲拘縮)、消化管の動きの異常による便秘や下痢、吸収不良など、全身にさまざまな症状が現れる可能性があります。

強皮症の患者数を教えてください

日本の全身性強皮症の患者数は、令和6年度で27,017人です。

ただし、症状が軽く診断されていないケースもあるため、実際の患者数はこの数よりも数倍多い可能性があると考えられています。

なお、全身性強皮症は女性に多く、男女比はおよそ1:12で、30〜50歳代の女性に多くみられます。

参照:
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
『強皮症』(難病情報センター)

強皮症の原因

強皮症の原因

全身性強皮症の原因を教えてください

全身性強皮症の原因は、現時点では完全には解明されていません。ただし、近年の研究により、発症には主に自己免疫、線維化、血管障害が深く関わっていることがわかってきました。

免疫の異常により本来は自分の身体を守るはずの免疫が自身の組織を攻撃し、炎症や自己抗体の産生が起こります。結果、皮膚や臓器が硬くなる線維化や、血管の障害へとつながると考えられています。

さらに近年では、免疫に関わるB細胞の異常な活性化や、インターロイキン6と呼ばれる炎症性物質の関与も明らかになってきました。
ただし、免疫異常が起きる理由や要因は解明されていません。

なぜ限局性強皮症を発症するのですか?

限局性強皮症の原因も判明していませんが、自己免疫の異常が関与している可能性が高いと考えられています。

皮膚の一部に限って症状が現れる背景には体細胞モザイクと呼ばれる状態が関係している可能性があります。同じ身体の中に遺伝的にわずかに異なる細胞が混在している状態のことです。

通常、問題になりませんが、外傷や手術、ワクチン接種などをきっかけに免疫の働きが活発になると、異なる細胞が異物として認識されてしまうことがあります。
その結果、特定の皮膚の領域に対して免疫が反応し、硬化や萎縮などの変化が生じると考えられています。

参照:
『原因はわかっているのですか?』(日本皮膚科学会)
『限局性強皮症の原因は何ですか?』(日本皮膚科学会)

強皮症の診断と治療

強皮症の診断と治療

強皮症はどのような流れで診断されますか?

全身性強皮症の診断は、問診・診察・各種検査の結果を総合して行われます。皮膚だけでなく内臓にも影響が及ぶ可能性があるため、ひとつの検査だけで確定するのではなく、全身の状態を多角的に評価します。

問診では、現在の症状だけでなく、体調の変化や生活歴も確認されます。一見関係がないように思える内容でも診断の手がかりになることがあるため、過去の手術歴や職業、身体に起きた変化などはできるだけ正確に伝えることが大切です。

そのうえで診察や血液検査、画像検査などを組み合わせながら、「強皮症であるかどうか」だけでなく、次のような点を段階的に評価していきます。

  • 病気のタイプ(軽症か、典型的な進行型か)
  • どの臓器に影響が出ているか
  • その程度や進行の有無
  • 治療が必要な状態かどうか

日本では、全身性強皮症の診断に下記が用いられています。

  • 大基準:手指や足趾を超えて広がる皮膚の硬化
  • 小基準:(1)手指・足趾に限局した皮膚硬化、(2)指先の陥凹性瘢痕や萎縮、(3)両側肺の線維化、(4)特定の自己抗体(抗Scl-70抗体・抗セントロメア抗体など)の陽性

上記のうち、大基準を満たす場合、または小基準の(1)を満たしたうえで、(2)~(4)を1つ以上満たす場合に全身性強皮症と診断されます。

限局性強皮症は、境界がはっきりした皮膚の硬化がみられること、皮膚の組織検査で真皮の膠原線維の増加が確認されること、全身性強皮症やほかの類似疾患(好酸球性筋膜炎やケロイドなど)を除外できることをすべて満たす場合に診断されます。

強皮症が疑われるときに行われる検査の内容を教えてください

強皮症が疑われる場合は、皮膚だけでなく全身の臓器に影響が及ぶ可能性があるため、複数の検査を組み合わせて総合的に評価します。

基本となるのは血液検査です。全身性強皮症では多くの患者さんで抗核抗体と呼ばれる自己抗体が検出されます。さらに抗Scl-70抗体や抗セントロメア抗体などを調べることで、病気のタイプや特徴を把握する手がかりになります。

皮膚や血管の変化を確認する検査として、爪の根元の毛細血管を観察する毛細血管顕微鏡検査(キャピラロスコピー)が行われることがあります。肉眼では見えない血管の異常を確認でき、早期診断や病気の活動性の評価に役立ちます。

全身性強皮症では肺や心臓に変化が起こりやすいため、胸部レントゲンやCT検査、肺機能検査(肺活量など)によって間質性肺疾患の有無を確認します。加えて、心臓超音波検査や必要に応じてカテーテル検査を行い、肺高血圧症などの心臓・血管の異常を調べます。

消化管の症状がある場合には、食道や腸の動きを評価する検査が、腎臓への影響を確認するために血圧測定や血液・尿検査が行われます。

また、限局性強皮症では皮膚やその下の組織の広がりを評価するために、画像検査が用いられます。

造影MRIは皮膚だけでなく脂肪組織を含めた深部の病変を早期から評価できる検査です。

強皮症はどのように治療しますか?

全身性強皮症は、治療法が確立されていません。病気の進行を抑える疾患修飾療法と、症状を和らげる対症療法を組み合わせて行われます。

疾患修飾療法では、免疫の異常な働きを抑えることで病気の進行をコントロールします。特に、びまん皮膚硬化型の発症早期には、少量のステロイドや免疫抑制薬(リツキシマブなど)を用いることで、皮膚の硬化の改善が期待されます。

また、間質性肺炎に対しては、進行の程度に応じて免疫抑制薬(シクロフォスファミドなど)や抗線維化薬(ニンテダニブなど)が使用され、肺機能の低下を抑えることが目標です。

一方、対症療法では、現れている症状や合併症に応じた治療を行います。レイノー現象や皮膚潰瘍には血流を改善する薬、肺高血圧症には血管拡張薬、逆流性食道炎には胃酸分泌を抑える薬が用いられます。

さらに、関節痛には鎮痛薬、腎クリーゼには血圧をコントロールする薬(ACE阻害薬)などが使用されます。

一方、限局性強皮症では、病気の活動性があるかどうかが治療方針を決めるうえで重要です。

活動性がある場合は、病型に応じて治療が選択されます。斑状強皮症では、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬、光線療法などの局所療法が基本です。一方で、線状強皮症や広範囲に及ぶタイプ、あるいは難治例では、ステロイドの内服や点滴(ステロイドパルス療法)、免疫抑制薬などの全身療法が行われることがあります。

活動性が落ち着いている場合には、残った機能障害や見た目の変化に対する対応が中心となり、運動療法や温熱療法などの理学療法、美容外科的な手術が検討されます。

参照:
『診断はどのように行われるのですか?』(日本皮膚科学会)
『全身性強皮症』(慶應義塾大学病院KOMPAS)
『限局性強皮症』(小児慢性特定疾病情報センター)

編集部まとめ

編集部まとめ

 強皮症は、全身性強皮症と限局性強皮症に大きく分かれ、それぞれで症状や治療法が異なります。

診断は問診・診察・検査を組み合わせて総合的に行われ、単一の検査だけで判断されるものではありません。特に内臓への影響の有無や程度を見極めることが、治療方針を決める際に重要です。

強皮症は個人差が大きい疾患であるため、不安な症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

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