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「強迫性障害の原因」はご存知ですか?発症しやすい性格も解説!【医師監修】

 公開日:2026/04/07
「強迫性障害の原因」はご存知ですか?発症しやすい性格も解説!【医師監修】

「なぜこんなに確認してしまうのだろう」「自分の性格が原因なのだろうか」と悩んでいませんか。強迫性障害は、強い不安やこだわりによって日常生活に支障が出る病気ですが、原因は1つではなく、さまざまな要因があると考えられています。
本記事では、強迫性障害の原因や発症のきっかけ、主な治療法、再発を防ぐためのポイントを解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

強迫性障害の基礎知識

強迫性障害の基礎知識

強迫性障害とはどのような病気ですか?

強迫性障害は、強い不安やこだわりに起因する行動によって、仕事や私生活に影響が生じる病気です。
例えば「ドアに鍵をかけたかな」「火を消しただろうか」と不安になり、確認した経験は多くの方にあります。しかし、何度確認しても安心できず、繰り返し家に戻ってしまう、特定の数字や手順に強くこだわるために生活が不便になるなどの状態が続く場合、強迫性障害の可能性が考えられます。
世界保健機関(WHO)では、生活機能に大きな影響を与える疾患の1つとして挙げられています。
適切な治療に取り組むことで、症状の軽減が期待できるとされています。

強迫性障害の主な症状を教えてください

強迫性障害の主な症状は、強迫観念と強迫行為の2つです。
強迫観念とは、自分でも不合理だとわかっていても頭から離れない考えのことです。例えば「汚れているかもしれない」「誰かに危害を加えたかもしれない」といった思いが繰り返し浮かび、不安を強めます。
強迫行為とは、その不安を打ち消すために繰り返してしまう行動です。過剰な手洗い、戸締まりやガス栓の確認、決まった手順でないとやり直してしまう儀式行為などが挙げられます。
一時的に不安を下げる効果があるため、繰り返されやすくなります。しかし、回数が増えるほど生活への影響も大きくなり、仕事や学業に遅れる、人との約束を守れなくなる、家族を巻き込んでしまうなどの問題が生じることがあります。本人も「やりすぎだ」と感じているものの、不安が強いためにやめにくいのが特徴です。
参照:『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因を教えてください

強迫性障害は、1つの原因だけで発症する病気ではないと考えられています。
体質的な不安の感じやすさや性格傾向、生育歴、強いストレス体験、感染症など、さまざまな要因があるとされています。また、脳の働きや神経伝達物質のバランスが関係している可能性も指摘されていますが、発症のメカニズムは解明されていません。

環境要因とは何ですか?

環境要因とは、生まれつきの体質以外に、成長過程や生活の中で受ける影響のことです。
例えば、幼少期の体験、家庭環境、学校や職場での人間関係、大きなライフイベント(受験、就職、出産など)によるストレスなどが挙げられます。直接の原因になるとは限りませんが、不安の感じ方や対処の方法に影響を与えることがあると考えられています。
ただし、環境要因があるからといって必ず発症するわけではありません。体質や周囲のサポートの有無などによって影響度は変わるとされています。

強迫性障害は遺伝する病気ですか?

強迫性障害には、遺伝的な要素が関係している可能性があるといわれています。
遺伝は強迫性障害のなりやすさに関わる要因の1つと考えられており、必ず発症するわけではありません。
そのため、家族に強迫性障害の人がいても、過度に心配する必要はないと考えられています。早めに気付き、適切な相談や支援につなげることが大切です。

強迫性障害を発症しやすい性格はありますか?

強迫性障害になりやすい傾向として、いくつかの性格特性が挙げられます。例えば、責任感が強い、真面目で几帳面、完璧を求めやすい、先が見えない状況が苦手などです。
このような特性は社会生活で長所となる面もありますが、強いストレスが加わると、「きちんとしなければならない」「失敗してはいけない」などの思いが過度に強まり、不安を抱え込みやすくなることがあります。
ただし、強迫性障害になりやすい性格であるからといって必ず発症するわけではありません
参照:
『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)
『親の期待認知が高校生の強迫傾向に及ぼす影響』(jstage)

強迫性障害の治療法と再発を防ぐポイント

強迫性障害の治療法と再発を防ぐポイント

強迫性障害を治療しないとどうなりますか?

強迫性障害は、自然に改善する場合もありますが、多くのケースでは症状が長引いたり、改善と悪化を繰り返したりするといわれています。
強迫観念や強迫行為によって多くの時間を取られることで、仕事や学業、人間関係に影響が出ることがあります。また、不安や抑うつ症状を伴うことも少なくありません。症状が続くことで自信を失ったり、生活範囲が狭くなったりする場合もあります。
そのため、我慢すればよいと抱え込まず、早めに医療機関を受診しましょう。適切な治療に取り組むことで、症状の軽減が期待できるとされています。

強迫性障害の主な治療法を教えてください

強迫性障害の治療では、認知行動療法と薬物療法を組み合わせる方法が効果的とされています。
認知行動療法の中でも代表的なのが曝露反応妨害法です。不安を引き起こす状況にあえて向き合い(曝露)、強迫行為を行わずに不安が和らぐのを待つ訓練です。
繰り返し取り組むことで、不安が次第に和らぎ、強迫行為をしなくても過ごせる時間を増やしていくことを目指します。
薬物療法では、主にSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)が用いられます。不安や抑うつ症状を和らげる目的で処方されることが多く、少量から開始し、副作用に注意しながら調整されます。
治療法は症状の程度や本人の希望を踏まえ、医師の判断で決定します。不安や疑問がある場合は、遠慮せずに相談しましょう。

強迫性障害を再発させないためにできることはありますか?

強迫性障害は改善が期待できる病気ですが、ストレスが強まったときに症状が再び出ることもあります。そのため、再発予防の視点も重要とされています。
治療で学んだ対処法の継続が大切です。曝露反応妨害法で身につけた不安があってもすぐに行動しない姿勢を日常生活でも意識しましょう。
また、生活リズムを整えることも再発予防につながります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、自律神経や気分の安定に関わるとされています。過度な疲労や睡眠不足は不安を強めやすいため、無理を重ねないことも重要です。ストレスを感じたときに早めに休む、信頼できる人に相談するなど、日頃からストレスを溜め込みすぎない工夫も役立ちます。
さらに、症状が軽くなった後も、通院や服薬を自己判断で中断しないことが大切です。薬の減量や終了は、医師と相談しながら段階的に進める必要があります。小さな変化に早めに気付き、「最近確認が増えているかもしれない」と感じた段階で相談しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

強迫性障害は、体質や性格傾向、環境要因、ストレスなどが複雑に関与して発症すると考えられている病気です。「気にしすぎ」「性格の問題」と片づけられるものではありません。
治療では、認知行動療法や薬物療法を組み合わせる方法が効果的とされており、継続的に取り組むことで症状の軽減が期待できます。また、再発予防のためには、治療で学んだ対処法を続けることや、生活習慣を整えることも大切です。
1人で抱え込まず医療機関を受診し、強迫性障害に早めに対処しましょう。

この記事の監修医師