花粉症といえば、くしゃみや鼻水、目のかゆみが代表的ですが、実は頭痛に悩まされる方もいます。花粉症の頭痛は、単なる体調不良として片付けにくく、鼻の粘膜が腫れることで副鼻腔の空気の通り道が狭くなることや、鼻づまりによる睡眠の質の低下などが重なって起こることがあります。鼻の症状が強い時期に合わせて頭が重い、顔の奥が痛いと感じる場合は、花粉症と関連した頭痛の可能性も考えます。
この記事では、花粉症に伴う頭痛の特徴と起こり方、そしてつらい症状を和らげるための具体的な対処を解説します。
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
花粉症による頭痛の特徴

花粉症で頭が痛くなることはありますか?
あります。花粉症の方は、頭痛や頭重感がみられることがあります。花粉症の時期に鼻症状が悪化するタイミングと重なって、頭が重い、顔の奥が痛いと感じる場合は、花粉症に伴う炎症が関係している可能性が高いです。
花粉症による頭痛の特徴を教えてください
花粉症に伴う頭痛は、頭が重だるい感じとして自覚されることがあります。炎症が副鼻腔に及ぶと、痛む場所が変わり、頬の奥が痛い、額の周りが痛い、頭のてっぺんや後ろが痛いなど、鼻の症状と連動して局所的な痛みが出ることがあります。鼻づまりが強くなる夜間から明け方に悪化しやすく、鼻をかんで通りが一時的によくなると軽く感じる場合もあります。また、だるさや集中しにくさを伴うこともあります。
花粉症が原因の頭痛とそれ以外の頭痛に違いはありますか?
花粉症による頭痛は、鼻づまりや鼻水の増減に合わせて痛みの強さが変動することがあります。片頭痛は、光や音がつらい、吐き気を伴うなどの特徴がみられることがあり、緊張型頭痛は首や肩のこりが前面に出やすいです。一方で、緊張型頭痛などでも鼻水や鼻づまりがきっかけになることがあり、区別が難しい場合があります。目安として、頬や額を押したときに痛みが強まる、片側の鼻づまりと同じ側に痛みが出るといった場合は、副鼻腔の影響を疑います。
花粉症の頭痛はどの程度続きますか?
花粉症の頭痛は、原因となる花粉が飛散している期間に合わせて、数週間続くことがあります。いったん鼻の粘膜に炎症が起こると、少量の花粉でも反応しやすくなることがあり、飛散量が少ない日でも症状が続く場合があります。さらに、鼻づまりで副鼻腔の空気の通り道が狭い状態が続くと、頭重感が長引きやすいです。シーズンが過ぎても重さが残る、黄色や緑色の鼻水が続くなどがあれば、副鼻腔炎が重なっていないかも含めて、早めに病院で相談するとよいです。
花粉症で頭痛が起きるメカニズム

なぜ花粉症で頭痛が起きるのですか?
花粉症で頭痛が起きる主な理由は、鼻粘膜のアレルギー反応で腫れが起こり、副鼻腔の自然口(空気の通り道)が狭くなることです。自然口が狭くなると、副鼻腔の換気や分泌物の排出が滞りやすくなり、副鼻腔内の圧の変化が神経を刺激して痛みとして感じられます。また、鼻づまりが続くと口呼吸になりやすく、睡眠が浅くなる、いびきが増えるなど、睡眠の質の低下が起こりやすいです。その結果、朝の頭重感やだるさが強まり、頭痛が長引いたように感じる場合があります。
花粉症で頭痛が生じやすい人の特徴を教えてください
鼻中隔弯曲症など鼻の中の形の特徴によって、粘膜が少し腫れるだけでも自然口が狭くなりやすい方は、頭痛が起こりやすい傾向があります。慢性副鼻腔炎の既往がある方や鼻茸(ポリープ)がある方も、鼻の通りが悪くなりやすく、症状が強く出る場合があります。さらに、ストレスや睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れ、鼻粘膜の血流が変化して鼻づまりが強まりやすいです。その結果、頭重感が出やすくなることがあります。
花粉症による頭痛への対処法

花粉症の頭痛は市販の鎮痛剤で治りますか?
アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソプロフェンなど)の市販の鎮痛剤は、痛みを一時的に和らげる目的で使える場合があります。ただし、頭痛の背景にある鼻粘膜の炎症や鼻づまりそのものを治す薬ではありません。
受診した方がよい状況や症状を教えてください
38度以上の発熱が続く、頬や額が強く痛む、膿のような黄色や緑色の鼻水が出る場合は、細菌感染による副鼻腔炎が重なっている可能性があります。また、急な見えにくさ、物が二重に見える、眼の周りが強く腫れるなどの眼の症状がある場合は、副鼻腔の炎症が眼の周囲に影響している可能性があるので早めに病院で評価を受けてください。加えて、今までにない激しい頭痛、意識がぼんやりする、吐き気を繰り返すなどがある場合は、花粉症以外の原因の評価も含めて早めの受診が必要です。市販薬を数日使っても改善しない、片側だけ鼻づまりが強い、鼻血が続くなどがある場合も、耳鼻咽喉科で鼻の状態を確認するとよいでしょう。
病院では花粉症の頭痛をどのように治療しますか?
治療の中心は、頭痛のきっかけとなっている花粉症のコントロールです。鼻粘膜の腫れを抑える鼻噴霧用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬、鼻づまりの改善が期待できる抗ロイコトリエン薬などを組み合わせ鼻の通りを改善させます。鼻汁が多いときは、鼻の処置で分泌物を取り除いたり、ネブライザーで薬液を鼻の奥に届けたりして、鼻の通りを改善させることもあります。副鼻腔の換気がよくなると、頭の重さが和らぐ場合があります。
花粉症を治療すると頭痛も治まりますか?
頭痛が鼻の炎症や鼻づまりに関連している場合、鼻の症状が改善するにつれて頭痛も軽くなることが期待できます。副鼻腔の換気と排出が保たれると、圧の変化による刺激が減り、痛みが出にくくなるためです。一方で、鼻の症状が落ち着いているのにもかかわらず頭痛だけが続く場合は、緊張型頭痛や片頭痛など別の要因が重なっている可能性も考えます。
頭が痛くなりやすい人が花粉症シーズンに気を付けたほうがよいことを教えてください
基本は花粉への接触を減らすことです。外出時はマスクやメガネを使い、帰宅後は洗顔やうがいで花粉を落とします。衣類は室内に入る前に軽く払う、換気は花粉が少ない時間帯を選ぶなど日々の行動が大切です。室内では乾燥を避け、加湿器などで湿度を整えると、鼻の粘膜の負担が減りやすいです。アルコールは鼻の充血を強める場合があるため、シーズン中は量や頻度を控えると頭痛の予防につながります。寝るときに枕を少し高めにして鼻のうっ血を和らげる方法も選択肢です。睡眠不足やストレスが重なると症状がぶり返しやすいため、休息を確保することも重要です。
編集部まとめ

花粉症による頭痛は、鼻の粘膜が腫れて副鼻腔の出口が狭くなり、換気や分泌物の流れが滞ることで起こりやすいです。頭が重い、顔の奥が痛いといった症状が、鼻づまりや鼻水の増減と関連している場合は、鼻や副鼻腔の影響を考えます。
つらいときに市販の痛み止めで一時的に和らげる方法もありますが、繰り返す場合は鼻の炎症を抑える治療を軸にすると症状が改善しやすいです。鼻噴霧用ステロイド薬などは、鼻の腫れを抑えて通りを改善し、頭痛の軽減につながることがあります。38度以上の発熱、頬や額の強い痛み、黄色や緑色の鼻水が続く場合は、副鼻腔炎が重なっている可能性があります。見えにくさなど眼の症状や、今までにない激しい頭痛がある場合などは、無理をせず早めに耳鼻咽喉科などで相談するとよいです。