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「胃潰瘍のステージ別の症状」はご存知ですか?治療法についても解説!【医師監修】

 公開日:2026/02/20
「胃潰瘍のステージ別の症状」はご存知ですか?治療法についても解説!【医師監修】

胃潰瘍は、胃の内側を覆っている粘膜が深く傷つき、えぐれるような状態になる病気です。胃の粘膜は本来、胃酸から胃を守る役割を担っていますが、その防御機能が弱まることで潰瘍が生じます。主な原因として、ピロリ菌感染や解熱鎮痛薬の継続使用、強いストレスなどが知られています。胃潰瘍というと強い胃の痛みを思い浮かべる方もいますが、実際には症状の出方には幅があり、ほとんど自覚症状がない場合もあります。胃潰瘍は内視鏡検査によって状態を確認し、活動期から治癒期、瘢痕期へと段階的に分類されます。このステージを理解することは、現在の状態を把握し、治療や経過の見通しを考えるうえで重要です。

この記事では、胃潰瘍のステージごとの特徴や症状、治療の考え方を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

胃潰瘍のステージとは

胃潰瘍のステージとは

胃潰瘍とはどのような病気ですか?

胃潰瘍は、胃の内側を覆う粘膜が胃酸や消化液の影響を受けて深く傷つき、粘膜の下にある組織まで欠損が及んだ状態を指します。胃の粘膜には本来、胃酸から胃そのものを守る仕組みがありますが、その防御と攻撃のバランスが崩れることで潰瘍が形成されます。原因としては、ピロリ菌感染や解熱鎮痛薬の使用、喫煙、精神的・身体的な負担などが関係します。胃潰瘍は放置すると出血や穿孔といった合併症につながることがあり、早い段階で状態を把握し、適切な治療を行うことが大切です。

胃潰瘍のステージはどのように分類されますか?

胃潰瘍のステージは、内視鏡検査で観察される潰瘍の見た目や治癒の進み具合によって分類されます。一般的には、活動期にあたるA1・A2、治癒期にあたるH1・H2、瘢痕期にあたるS1・S2の6段階で整理されます。活動期は潰瘍がはっきり存在し、炎症が強い状態がみられます。治癒期は潰瘍の深さが浅くなり、周囲の粘膜が再生し始めます。瘢痕期は潰瘍そのものは治まり、跡として瘢痕が残った状態です。この分類は、治療方針や経過観察の目安を考えるうえで用いられています。

胃潰瘍のステージを判断する方法を教えてください

胃潰瘍のステージは、主に胃カメラによる内視鏡検査で判断します。内視鏡は、潰瘍の大きさや深さ、表面の状態、出血の有無、周囲の粘膜の変化などを直接確認できます。これらの所見をもとに、活動期か治癒期か、あるいは瘢痕期かを見極めます。症状の強さだけでステージを正確に判断することは難しく、自覚症状が軽くても活動期に該当する場合があります。

胃潰瘍は必ず進行する病気ですか?

胃潰瘍は、必ずしも進行して悪化していく病気ではありません。原因に応じた治療を行い、胃酸の分泌を抑える薬を適切に使用することで、多くの場合は治癒に向かいます。ピロリ菌が関係している場合には除菌治療を行うことで、再発の可能性も下げられます。一方で、原因が続いたままの状態では、治癒が遅れたり再発を繰り返したりすることがあります。

胃潰瘍|ステージ別の特徴と症状

胃潰瘍|ステージ別の特徴と症状

胃潰瘍のA1・A2の状態と自覚症状を教えてください

A1・A2は胃潰瘍の活動期にあたり、潰瘍が新しく形成され、炎症が強い状態です。内視鏡の所見としては、潰瘍の底に白っぽい付着物がみられ、周囲の粘膜が赤く腫れている様子が確認されます。この時期は、みぞおち周辺の痛みや不快感、胃もたれ、空腹時の痛みなどが現れることがあります。また、潰瘍が深い場合には出血を伴い、黒色便や吐血として気付かれることもあります。ただし、症状の感じ方には個人差があり、痛みがはっきりしないまま進行しているケースもみられます。

胃潰瘍のH1・H2の特徴と症状を教えてください

H1・H2は治癒期にあたる段階で、潰瘍が徐々に浅くなり、粘膜の修復が進んでいる状態です。内視鏡所見としては、潰瘍の大きさが縮小し、周囲の赤みが落ち着いてきます。この時期になると、活動期にみられた痛みや不快感が軽くなったり、消失したりすることがあります。その一方で、症状が和らいだからといって完全に治った状態ではなく、潰瘍はまだ治癒の途中です。

胃潰瘍のS1・S2はどのような症状が現れますか?

S1・S2は瘢痕期と呼ばれ、潰瘍そのものは治まり、治った跡が残っている状態です。内視鏡所見としては、潰瘍部位が白っぽい瘢痕として確認されます。この段階では、胃潰瘍に伴う痛みや不快感はほとんど感じられないことが一般的です。日常生活で症状を意識する場面は少なくなりますが、原因が解消されていない場合には再発することがあります。

胃潰瘍|ステージ別の治療法と注意点

胃潰瘍|ステージ別の治療法と注意点

胃潰瘍のA1・A2の治療法を教えてください

A1・A2は活動期にあたるため、潰瘍の進行を抑え、胃粘膜の回復を促す治療が中心です。主に胃酸の分泌を抑える薬が用いられ、潰瘍部位への刺激を減らすことで治癒を目指します。治療期間は、6〜8週間ほど薬を続けるケースが多いです。出血を伴っている場合には、内視鏡を用いた止血処置が行われることもあります。また、ピロリ菌感染が確認された場合には、潰瘍の状態が落ち着いた段階で除菌治療を検討します。この時期は潰瘍が不安定な状態であるため、薬を指示どおりに継続することが重要です。

参照:『消化性潰瘍ガイド2023』(日本消化器病学会)

胃潰瘍のH1・H2はどのように治療しますか?

H1・H2は治癒期にあたり、潰瘍は回復に向かっていますが、治療を途中で止めると再び悪化することがあります。そのため、活動期と同様に胃酸分泌を抑える薬6〜8週間ほど継続します。症状が落ち着いている場合でも、自己判断で薬を中断せず、医師の指示に沿って治療を続けましょう。

胃潰瘍S1・S2の治療法を教えてください

S1・S2は瘢痕期であり、潰瘍は治った状態に近づいています。この段階では、胃酸を強く抑える治療は終了し、再発予防を意識した対応へ移行します。ピロリ菌感染が確認されていれば、除菌治療を行うことで再発の可能性を下げることが期待されます。また、解熱鎮痛薬の使用歴がある場合には、薬の見直しが検討されます。瘢痕期は症状がほとんどないため、治療が不要と感じやすい時期ですが、原因に対する対策を続けることが再発防止につながります。

治療中の注意点を教えてください

胃潰瘍の治療中は、症状の有無に関わらず処方された薬を継続することが重要です。痛みが消えても潰瘍が完全に治っていない場合があり、自己判断で治療を中断すると再発や悪化につながることがあります。また、喫煙や過度の飲酒は胃粘膜への刺激となるため、治療期間中は控える姿勢が望ましいです。解熱鎮痛薬を使用している方は、主治医と相談しながら薬の調整を行います。

編集部まとめ

編集部まとめ
胃潰瘍は、内視鏡検査によって活動期、治癒期、瘢痕期というステージに分けて評価される病気です。A1・A2は、潰瘍が不安定で、痛みや出血を伴う場合があり、早い段階での治療が欠かせません。H1・H2は、症状が落ち着いてきますが、潰瘍は回復の途中であり、治療の継続が求められます。S1・S2は、潰瘍が治った状態に近づきますが、原因が残っていると再発につながる可能性があります。

痛みが軽くなったからといって治療を終えるのではなく、医師の指示に沿って薬を続ける姿勢が欠かせません。また、ピロリ菌感染や薬の影響など、胃潰瘍の背景にある要因を確認し、必要に応じた対応を進めていくことが大切です。

この記事の監修医師