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「糖尿病による失明」の前兆はあるの?可能性がある危険な症状を解説!【医師監修】

 公開日:2026/02/12
「糖尿病による失明」の前兆はあるの?可能性がある危険な症状を解説!【医師監修】

最近、視界がかすんだり物が見えづらく感じることはありませんか?それは糖尿病による目の合併症のサインかもしれません。糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる病気で、放置すると全身の血管がダメージを受け、失明につながる重い目の合併症を起こすことがあります。糖尿病の合併症のなかでも糖尿病網膜症は、自覚症状がないまま進行し、症状に気付いたときには重症化している場合がほとんどです。本記事では、糖尿病による失明の前兆や危険な症状、失明に至る理由と経過、目に異常がみられた際の対処法や予防策について解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

糖尿病による失明の前兆と危険なサイン

糖尿病による失明の前兆と危険なサイン

糖尿病により失明することはありますか?

糖尿病が原因で失明することはあります。糖尿病による慢性的な高血糖は目の網膜にある細い血管を傷つけ、糖尿病網膜症という病気を引き起こします。それが悪化すると網膜に新生血管や出血が生じ、網膜剥離などを招いて視力が大きく低下し、最終的に失明に至る可能性があります。

糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の一つで、日本人の失明原因の上位に挙げられています。実際、糖尿病患者さんの約40%が糖尿病網膜症を発症しており、毎年3000人以上が糖尿病網膜症によって視力を失っていると報告されています。

参照:『糖尿病性網膜症』(健康長寿ネット)

糖尿病による失明の前兆はありますか?

糖尿病網膜症の初期段階では前兆となる自覚症状はほとんどないといわれています。網膜で出血などの異常が起きても、ある程度進行するまで視力に影響が出ないためです。そのため、症状が出たときにはすでに網膜症がかなり進行していることが多いのです。しかし、糖尿病網膜症が進行すると次第に視界のかすみぼやけ、物が見えにくいといった症状が現れ始めます。さらに悪化した末期には、視力低下や視界に黒い点が飛ぶ飛蚊症が出現し、放置すれば失明につながる可能性も出てきます。こうした変化は失明につながりかねない危険なサインといえるでしょう。

失明の可能性がある危険な症状を教えてください

糖尿病による目の異常が進行すると、次のような症状が現れることがあります。
  • 急激な視力低下
  • 視界に虫やゴミが飛んで見える(飛蚊症)
  • 視野の欠け(視野欠損)
  • 目の痛み(眼痛)と充血

これらの症状は、一時的に軽くなったり、自然に改善したりしたように感じることもあります。しかし、症状が落ち着いたように見えても網膜の障害が進行しているケースは少なくありません。自己判断せず、症状の有無に関わらず早めに医療機関を受診することが重要です。

糖尿病により失明する理由と症状の進行

糖尿病により失明する理由と症状の進行

なぜ糖尿病で失明するのですか?

糖尿病は血糖値の異常だけでなく、全身の血管に影響を及ぼす病気です。特に目の網膜は細い血管が密集しているため、高血糖の影響を受けやすく、糖尿病の合併症が現れやすい部位とされています。

そして、糖尿病で失明する主な原因は糖尿病網膜症です。慢性的な高血糖によって網膜の細い血管が傷み、出血や血流障害が起こります。その結果、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、もろいい新生血管が異常に増えます。この新生血管が破れて出血や瘢痕を繰り返し、網膜を引っぱって網膜剥離を招くことで視力の低下をきたします。

また、糖尿病では若いうちから白内障が起こりやすく、これも視力低下の一因です。さらに、重症の糖尿病網膜症が進行すると虹彩に新生血管が生じて眼圧が上がり、血管新生緑内障を発症することがあります。緑内障による視神経障害が加わると視野狭窄や視力低下が進み、これも失明につながります。

糖尿病を発症してから失明にいたるまでの症状の経過を教えてください

糖尿病網膜症の進行速度には個人差がありますが、症状の経過は大きく3段階に分けられます。

初期(単純糖尿病網膜症)では網膜に小さな点状出血や脂肪の沈着(硬性白斑)がみられても、視力への影響はなく自覚症状はありません。

中期(増殖前糖尿病網膜症)になると血管の詰まりが生じて網膜が酸素不足になり、この頃から視界がかすむなど軽度の視力低下を感じ始めます。

末期(増殖糖尿病網膜症)では脆弱な新生血管が多数生じ、大きな眼底出血や網膜剥離を起こします。そのため視力が大きく低下し、飛蚊症も増えて、適切な治療をしなければ失明に至りかねません。

目に異常がみられたときの対処法と失明を防ぐ方法

目に異常がみられたときの対処法と失明を防ぐ方法

糖尿病では目にどのような症状が現れますか?

糖尿病による目の症状としては、視界のぼやけかすみが代表的です。高血糖の状態では一時的にピントが合いにくくなり、ものがかすんで見えることがあります。また、糖尿病網膜症が進行すると暗い場所で見えづらくなったり、光をまぶしく感じたりするようになります。さらに病変が悪化すると飛蚊症視力低下が自覚されるようになります。

目に異常がみられたときの診療科目を教えてください

糖尿病の方が目に異常を感じたら、すみやかに眼科を受診してください。糖尿病網膜症の診断や治療は眼科で行う必要があります。現在内科で糖尿病の治療中であっても、目の症状に関しては専門の眼科医に診てもらうことが大切です。糖尿病と診断された時点で、たとえ自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けることが推奨されています。一般には年に1回程度の眼底検査を受け、異常がないかチェックする習慣を持ちましょう。異常の早期発見・早期治療が、糖尿病による失明を防ぐうえで何より重要です。

病院では目の異常に対してどのような治療をしますか?

糖尿病網膜症と診断された場合、進行度に応じて次のような治療が行われます。
  • 血糖コントロールの強化
  • レーザー光凝固術
  • 抗VEGF薬の注射
  • 硝子体手術

なお、糖尿病によって進行した白内障があれば、濁った水晶体を人工レンズに置き換える手術で視力改善が可能です。病状に応じて適切な治療を受けることで、視力低下の進行を食い止められる場合があります。

糖尿病による失明を防ぐためにできることを教えてください

血糖コントロールの徹底定期的な眼科検診が失明予防のためには必要です。血糖値を適切に管理し、HbA1cを良好に維持することで糖尿病網膜症の発症と進行を抑制できます。

また、高血圧や脂質異常症があれば治療し、喫煙習慣がある方は禁煙を心がけましょう。年に1回は眼科で眼底検査を受けることで、症状が出る前に異常を発見できます。

もし糖尿病網膜症の初期所見がみつかったら、早めにレーザー治療を受けるなど適切な治療を行ってください。早期発見と早期治療によって糖尿病網膜症になっても失明を防げる可能性が高まります。

特に糖尿病と診断されてから年数が経っている方や、血糖コントロールが不安定な方ほど、目の合併症が進行しやすい傾向があります。忙しさを理由に検診を後回しにせず、「自覚症状がなくても受診する」ことを習慣にする意識が大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

糖尿病網膜症は自覚症状がないまま進行し、気付いたときには重症化している可能性があります。しかし、適切な対策によって失明のリスクを大きく減らすことが可能です。症状がなくても油断せず定期的に眼科検診を受け、糖尿病そのものの管理もしっかり続けましょう。視界の異変に気付いたら「年だから仕方ない」と放置せず、早めに眼科で検査を受けてください。早期に発見できれば進行を抑え、適切な治療によって視力を維持できる可能性が高まります。

この記事の監修医師