「糖尿病の治療薬」にはどんな副作用がある?飲み忘れるとどうなるのか?注意点なども解説!

糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気です。放置すると神経障害、網膜症、腎症や心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性があります。治療には食事療法と運動療法に加えて薬物療法があります。本記事では、糖尿病の治療に使われる薬の種類と効果、副作用、服用時の注意点を解説します。

監修医師:
江口 瑠衣子(医師)
目次 -INDEX-
糖尿病の薬物療法

糖尿病の主な治療法を教えてください
運動療法を行うと、インスリン抵抗性が改善し、血糖値のコントロールが改善します。また、食後の運動は、ブドウ糖や脂肪の利用が増えるため、食後の血糖値の上昇が押さえられます。散歩、ジョギング、自転車エルゴメーターなどの有酸素運動と、おもりやマシンで筋肉に抵抗をかけ筋肉量を増やす運動(レジスタンス運動)を行います。
食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な場合に、薬物療法が追加されます。薬物療法には経口薬と注射薬があり、患者さんの状態に応じて選択されます。血糖値を下げる薬にはどのようなものがありますか?
| 経口薬の種類 | 働き |
|---|---|
| スルホニル尿素薬(SU薬) | 膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを出す |
| 速攻型インスリン分泌薬 |
膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを出す SU薬に比べて短時間で作用する |
| αグルコシダーゼ阻害薬 | 腸でのブドウ糖吸収を遅らせる |
| ビグアナイド薬 | 肝臓から放出されるブドウ糖の量を減らす |
| チアゾリジン系薬 | インスリンの効きをよくする |
| SGLT2阻害薬 | 腎臓でのブドウ糖再吸収を抑え、尿から糖を出す |
| DPP-4阻害薬 | インクレチン作用を高め、食後のインスリン分泌を増やす |
| GLP-1受容体作動薬 | インクレチン作用により、食後のインスリン分泌を増やす |
経口薬にはこのように、インスリン分泌を促すもの、ブドウ糖の吸収を遅らせるもの、インスリンの効きをよくするものなどさまざまな薬剤があります。
インクレチンとは、食事中の栄養素が胃から小腸に到達した際に血中に分泌されるホルモンです。インクレチンは膵臓からのインスリンの分泌を促します。これをインクレチン作用といいます。インクレチンは短時間で血液期中のDPP-4という酵素によって分解されます。DPP-4阻害薬は、このDPP-4の働きを抑制し、インクレチンが分解されにくくなるように働きます。GLP-1受容体作動薬は、インクレチン作用を持ち、DPP-4阻害薬と似たような効果を示します。
代表的な注射薬にはインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬があります。インスリン製剤は、インスリンそのものを補う注射薬です。効果の持続時間により、超速効型、速効型、中間型、持効型などに分類されます。GLP-1受容体作動薬は、主に膵臓に作用してインスリンの分泌を促進する薬剤です。また、食欲を抑える作用もあります。また、近年ではGIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれる新しいタイプの注射薬も登場しています。これらはインクレチン作用を介して血糖値の改善に寄与します。糖尿病の合併症を改善する薬はありますか?
これらの治療薬は合併症の進行を抑える可能性はありますが、合併症を改善させることは困難です。すでに生じた神経障害や視力の低下、腎機能の低下をもとに戻すことはできません。そのため、血糖コントロールを良好に保ち、合併症の発症や進行を予防することがたいへん重要です。
糖尿病の人が薬を飲まずに血糖値を下げることはできますか?
糖尿病|治療薬の効果と副作用

血糖値を下げる薬はどの程度の効果がありますか?
糖尿病の合併症の治療薬を飲むことで合併症は治癒しますか?
糖尿病治療薬の副作用を教えてください
ビグアナイド薬では消化器症状(下痢、腹痛、吐き気)が現れることがあります。まれに乳酸アシドーシスという重篤な副作用が起こるケースもあります。チアゾリジン薬では体重増加やむくみ、心不全の悪化などが報告されています。SGLT2阻害薬では尿路感染症や性器感染症のリスクが高まるとされます。また、脱水にも注意が必要で、水分摂取を心がけるなどの対応が必要です。
GLP-1受容体作動薬では吐き気や嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。これらの副作用は適切な使用により多くは対処することが可能です。副作用と思われる症状が現れた場合には、速やかに医師や薬剤師に相談しましょう。
糖尿病の治療薬を服用する際の注意点

糖尿病の薬は毎日飲みますか?
糖尿病の薬を飲み忘れるとどうなりますか?
糖尿病の薬を飲む際の注意点を教えてください
次に、低血糖に備えて、ブドウ糖やブドウ糖を含む飲料を常に携帯します。特にSU薬やインスリン製剤を使用している方は、低血糖の対策が必要です。さらに、体調が悪いとき(シックデイ)の対応についても事前に医師と確認しておきましょう。食事が摂れないときには低血糖のリスクも含め血糖値の変動が起こりやすくなります。
編集部まとめ

糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本ですが、これらだけでは血糖コントロールが不十分な場合には薬物療法が必要となります。経口血糖降下薬やインスリン製剤など、現在はさまざまな種類の薬があり、患者さんの病態に応じて選択されます。処方されたとおりに正確に服用し、定期的に検査を受けることが重要です。薬を飲み忘れたり、自己判断で中止したりすることは避けましょう。疑問や不安があれば、医師や薬剤師に相談し、適切な治療を継続してください。良好な血糖コントロールを維持することが、糖尿病治療の基本です。
参考文献




