胃腸炎は、突然の下痢や嘔吐、腹痛などが起こり、日常生活に支障をきたしやすい身近な病気です。症状が強い時期には、仕事や学校を休むべきか、いつ頃から普段どおりに過ごせるのかと悩む方も少なくありません。また、家族や周囲の方へうつしてしまわないか、不安に感じる場面もあるでしょう。胃腸炎には、ウイルスや細菌など原因によっていくつかの種類があり、症状の続く期間や回復までの経過には違いがあります。回復の目安を知っておくことで、無理を避けた生活調整や、受診の判断につなげやすくなります。
この記事では、胃腸炎が治るまでの日数の考え方や、症状が出ている間の過ごし方、普段の生活に戻るタイミングの目安を解説します。
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
胃腸炎が治る日数の目安

胃腸炎の種類を教えてください
胃腸炎は、原因によって大きく分けると感染性と非感染性に分かれます。感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などが原因で起こり、身近な例としてノロウイルスやロタウイルス、サルモネラ菌、カンピロバクター菌などが挙げられます。食事や水を介して体内に入る場合や、吐物や便を介した接触によって広がる場合もあります。一方、非感染性胃腸炎は、暴飲暴食やアルコールの摂取、ストレス、薬の影響などが関与し、ほかの方へうつる心配はありません。
胃腸炎が治ったと判断してよいのはどのような状態ですか?
胃腸炎が治ったと考える目安は、症状が落ち着き、普段の生活に支障が出にくくなった状態です。具体的には、嘔吐が止まり水分や食事を無理なく摂れるようになっている、下痢の回数が減り便の状態が安定してきている、発熱や強い腹痛がみられない、といった点が挙げられます。また、夜間に症状で目が覚めず、睡眠が取れているかどうかも回復を考える手がかりです。症状が軽くなっても、体力は十分に戻っていない場合があるため、急に活動量を増やさず、段階的に日常生活へ戻すことが大切です。
胃腸炎の種類別に胃腸炎が治るまでの期間の目安を教えてください
ウイルス性胃腸炎は、嘔吐は発症後1日から数日で治まり、下痢は3日から1週間ほどで改善することが多くみられます。ノロウイルスは症状が1〜3日間程度で軽くなり、ロタウイルスは下痢が数日から1週間程度続く場合があります。細菌性胃腸炎は、原因となる菌や症状の程度によって差があり、数日で回復する場合もあれば1週間以上かかる場合もあります。非感染性胃腸炎は、原因となった食事や刺激を避けることで、1日から数日で症状が落ち着くケースが多い傾向です。
胃腸炎を早く治す方法

胃腸炎を早く治す方法はありますか?
胃腸炎の回復を早めるためには、胃腸への負担を減らし、脱水を防ぎながら自然に回復するのを待つことが基本です。無理に食事量を増やしたり、症状を抑え込もうとして自己判断で薬を使ったりすると、かえって回復が遅れる場合があります。まずは水分を少量ずつこまめに摂り、嘔吐や下痢が落ち着くまで身体を休めることが大切です。症状が軽くなってきた段階で、消化のよい食事を少しずつ再開するとよいでしょう。
胃腸炎を治すために自分でできることを教えてください
自宅でできる対応として、水分補給の工夫が重要です。一度に多く飲むと吐き気を誘発しやすいため、少量を間隔をあけて摂ります。水やお茶だけでなく、電解質を含む経口補水液を取り入れると、失われた水分と塩分を補いやすいです。食事は、症状が強い間は無理に摂らず、落ち着いてきたらおかゆやうどん、やわらかく煮た野菜などから始めます。脂っこい物や刺激の強い物、アルコールは回復を妨げるため控えます。
胃腸炎で病院を受診した方がよい症状やサインはありますか?
多くの胃腸炎は自宅で様子をみながら回復しますが、受診を考える目安もあります。水分がほとんど摂れない状態が続く、尿量が減っている、喉の渇きや強い倦怠感がある場合は、脱水が進んでいる可能性があります。また、高い発熱が続く、血便が出る、激しい腹痛があるときには、細菌性胃腸炎や別の病気が隠れている場合があります。小さな子どもや高齢の方は、症状が軽くみえても体調が急に変化することがあるため、早めの相談が安心感につながります。
病院での胃腸炎の治療方法を教えてください
胃腸炎の治療は、水分と電解質を補う対応が中心です。飲み物を摂ることも難しい場合には、点滴による補給が選ばれることもあります。原因が細菌によるものと考えられる場合や、症状が強い場合には検査を行い、状態に応じて抗菌薬が使われます。吐き気や腹痛がつらいときには、症状を和らげる薬が処方されることがあります。また、腸内環境を整える目的で整腸剤が用いられる場合もあります。
胃腸炎の症状が出ているときの自宅での過ごし方

胃腸炎で吐き気や嘔吐がひどいときの食事や飲み物はどうすればよいですか?
吐き気や嘔吐が強い時期は、胃や腸が刺激に敏感な状態にあります。そのため、無理に食事を摂る必要はありません。まずは身体を休め、嘔吐が落ち着くことを優先します。水分についても、一度にたくさん飲むと吐き気を誘発しやすいため、少量を時間をあけながら摂る方法が向いています。常温の水や経口補水液など、胃腸への刺激が少ないものを選ぶと負担を抑えやすいです。嘔吐が続くあいだは、食事を控えることで胃腸を休ませることにつながります。
胃腸炎で飲食物を口にするとすぐに下痢をしてしまうときは何も食べない方がよいですか?
下痢が続いている時期は、無理に食事量を増やす必要はありません。下痢は、腸が病原体や不要な物質を身体の外へ出そうとしている反応であり、消化や吸収が十分に行われにくい状態です。そのため、症状が強い間は水分補給を中心にし、食事は控えめに進める方法が合っています。空腹を強く感じない場合には、腸を休ませる時間を取ることで負担を減らすことにつながります。下痢の回数が減ってきた段階で、消化のよい食品から少しずつ再開すると、症状がぶり返しにくくなります。
どのような状態になったら普段どおりの食生活に戻してもよいですか?
普段どおりの食生活へ戻す目安としては、吐き気や嘔吐がなくなり、下痢の回数が明らかに減っていることが挙げられます。また、食事を摂っても腹痛や不快感が強まらず、身体を動かしても疲れが強く出ない状態がひとつの目安です。回復初期は、脂っこい料理や刺激の強い味付けを避け、消化のよい食事から始めて体調をみながら少しずつ普段の食事へ戻します。
編集部まとめ

胃腸炎は、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが突然あらわれ、日常生活に影響を及ぼす病気です。原因にはウイルスや細菌、食事や生活習慣の影響などがあり、回復までの日数や症状の経過には個人差があります。多くの場合、数日から1週間ほどで症状は落ち着きますが、回復したかどうかは、症状が軽くなり、食事や水分を無理なく摂れる状態かどうかを目安に考えることが大切です。
症状が出ている間は無理をせず、休養と水分補給を中心に過ごすことが回復につながります。食事は状態に合わせて段階的に再開し、体調の変化を確認しながら普段の生活へ戻していく姿勢が求められます。一方で、水分が摂れない状態が続く、症状が長引く、強い不調がみられる場合には、早めに病院へ相談することも重要です。ご自身やご家族の体調を見守りながら、無理のない対応を心がけてください。