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「網膜剝離は見た目」でわかるの?受診すべきタイミングも解説!【医師監修】

 公開日:2026/02/23
「網膜剝離は見た目」でわかるの?受診すべきタイミングも解説!【医師監修】

白い壁を見たときに黒い点が飛んでいるように感じたり、視界の端にチカチカと光が走ったりすることはありませんか?もしかすると、それは網膜剥離の前兆かもしれません。網膜剥離とは、目の奥にある薄い膜状の網膜が剥がれてしまう病気です。初期には痛みもなく外見上も目立った変化がないためと見過ごされがちですが、放置すれば進行して視野が失われ、最悪の場合失明に至る病気です。本記事では網膜剥離の基礎知識や特徴的な症状、外見から気付けるかどうか、受診のタイミング、そして治療法について解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

網膜剥離と見た目の関係

網膜剥離と見た目の関係

網膜剥離は外見から気付くことができますか?

いいえ、網膜剥離かどうかは目の外見を見ただけでは判断できません。網膜は眼球の内部にあるため、目の表面に充血や濁りなどの異変が生じることはほとんどなく、外見上は健康な目と変わらない場合が多いです。そのため、眼科医は瞳孔を広げて眼底を観察する検査(眼底検査)を行い、初めて網膜が剥がれているかどうか確認できます。網膜剥離は痛みもないため自覚しづらく、見た目にも現れにくい病気なので、外見ではなく見え方の異常に注意を払うことが重要です。

見た目に変化が出るケースと変化の仕方を教えてください

基本的に網膜剥離では見た目に異常は現れません。ごくまれに、網膜剥離が高度に進行して瞳孔の光反射が鈍く見える場合や、網膜剥離に硝子体出血が合併して眼底が見えづらくなる場合があります。しかし、これらは眼科医が器械を使って観察して初めてわかる所見であり、一般の方が鏡や他人の目を見て気付けるような変化ではありません。

見た目に異常がなくてもすぐに受診が必要な理由

見た目に異常がなくてもすぐに受診が必要な理由

網膜剥離を放置すると失明につながる可能性はありますか?

はい、網膜剥離を治療せず放置すると高い確率で失明します。網膜が剥がれたままになると、その部分の網膜へ血液と栄養が届かなくなり、光を感じる視細胞が次第に機能を失ってしまいます。時間が経つにつれ剥離が拡大して網膜全体が剥がれてしまうと、視細胞が壊死して視力を失ってしまいます。現代の医療では手術によって網膜をもとに戻すことが可能ですが、一度視細胞が大きなダメージを受けると、手術で網膜を復位させても視力が十分に回復しない場合があります。したがって、網膜剥離は失明につながる重篤な病気であることを知り、疑わしい症状があれば決して放置せず早急に対処する必要があります。

受診すべきタイミングを教えてください

少しでも網膜剥離の兆候を自覚したら、できるだけ早く眼科を受診することが大切です。網膜剥離は時間とともに進行する疾患であり、早期に治療することで深刻な視力障害を予防できる可能性が高くなります。具体的には、「突然今まで見えなかった黒い浮遊物(飛蚊症)が急に増えた」「視野の端で閃光(光視症)を感じた」「視界の一部が暗く欠けて見える」など、いつもと違う見え方の変化に気付いた時が受診のタイミングです。症状に気付いたら、まず片目ずつ目を隠してどちらの目に異常があるか確認し、少しでもおかしいと感じたら迷わず眼科医に相談しましょう。網膜剝離は早期発見と治療がとても大切です。

視力低下や視野の欠けが起こるのはなぜですか?

網膜剥離になると視野に異常が現れますが、それは網膜が剥がれた部分の視細胞が働かなくなるためです。網膜はカメラでいうフィルムのような役割を担い、光を感じて映像を脳に送っています。この網膜が眼球の壁から剥がれると、剥がれた部分の視細胞に栄養が届かず光に対する感度が低下し、その部分に相当する視野が見えにくくなります。その結果、視野の一部がまるで幕で覆われたように暗く欠けたり、物がゆがんで見えたり、視力が低下したりします。網膜には痛覚がないため痛みはまったくありませんが、見え方の異常という形で症状が現れるのです。

網膜剥離の初期症状

網膜剥離の初期症状

網膜剥離を疑うべき初期症状を教えてください

網膜剥離では初期段階からいくつかの典型的な症状が現れることがあります。次のような症状が急に出現あるいは増悪した場合は要注意です。
  • 視界の中に小さな黒い点や糸くずのような影が飛んで見える(飛蚊症)
  • 視野の片隅にチカチカとした閃光が走る(光視症)
  • 見えている範囲の一部に黒い影がかかったように暗く見えない部分が生じる(視野欠損)
  • 物がゆがんで見える(歪視症)
  • 視力が下がる(視力低下)

こうした初期症状は網膜が剥がれ始めたサインであり、痛みは伴いませんが見え方に異常を感じていることがあります。特に、飛蚊症や光視症は網膜剥離の重要な前兆症状として知られており、急にこれらの症状が現れた場合は放置せず速やかに眼科で検査を受けましょう。

「光が走る」「黒い影が見える」などは網膜剥離のサインですか?

はい、視界に光が走ったり(光視症)、黒い影が見えたりする症状(飛蚊症)は、網膜剥離やその手前の網膜裂孔の典型的なサインです。網膜が物理的に引っ張られたり裂けたりすることで光を感じる細胞が刺激され、実際には存在しない光が見えたり、硝子体出血や剥がれた網膜の影響で視界に黒い影が現れたりします。こうした症状がある場合、網膜に穴が開いていて剥離が始まっている可能性が高いため要注意です。ただし、必ずしも全員に前兆症状が出るわけではなく、自覚症状がないまま進行することもあります。それでも飛蚊症や光視症を自覚したら網膜剥離を疑い、早めに眼科医の診察を受けることが大切です。

網膜剥離の治療方法

網膜剥離の治療方法

網膜剥離の治療方法を教えてください

網膜剥離の治療は進行度合いによって大きく二つに分かれます。まず、網膜に小さな裂孔があるものの剥離が起きていない初期段階であれば、レーザー光凝固術によって穴の周囲を焼き付け、網膜がそれ以上剥がれないように固着させる治療を行います。この治療は入院の必要もなく、短時間で済む処置です。

一方、すでに網膜剥離が起こっている場合やレーザー治療で防ぎきれなかった場合は、手術による網膜をもとの位置に戻す治療が必要です。手術には大きく分けて強膜内陥術(バックリング手術)と硝子体手術の2種類があります。

これら2つの術式は網膜剥離の状態に応じて選択されます。いずれの場合も、網膜剥離は適切な治療を受ければ多くがもとどおり網膜を接着でき、失明を防ぐことが可能です。

網膜剥離で手術が必要になるのはどのような状態ですか?

網膜剥離の手術適応となるのは、原則として網膜が剥がれてしまっている場合です。網膜に小さな穴が開いただけで剥離が起きていない網膜裂孔の段階であればレーザー治療で対処できることがありますが、網膜が少しでも剥離してしまったら手術による復位が必要です。特に、視力を出すために重要な部分(黄斑部)が剥離に巻き込まれる前に手術を行うことが視力予後の面で重要です。

治療まで時間がかかると視力に影響がありますか?

はい、網膜剥離は治療の遅れが視力の予後に大きく影響します。網膜が剥がれた状態が長引くほど、光を感じる視細胞のダメージが蓄積していきます。特に、黄斑部が剥離したまま長時間経過すると、その部分の視細胞は次第に壊れていき、後から網膜をもとに戻しても視力が回復しなくなってしまいます。そのため、網膜剥離は一刻も早く治療することが大切であり、症状に気付いた時点で速やかに眼科医に相談するべきです。

編集部まとめ

編集部まとめ

網膜剥離は決して珍しい病気ではなく、加齢や強度近視などを背景に誰にでも起こりうる目のトラブルです。目に痛みがなく外見上も異常が出にくいため気付きにくいのですが、そのまま進行すると視野が狭まり、最悪の場合は失明につながります。早期発見できればレーザー治療など負担の少ない方法で対処できる可能性もあります。日頃から定期的に目の検診を受け、自覚症状がなくても網膜剥離に限らず目の状態を確認しておくことも大切です。大事な視力を守るために、「おかしいな」と感じたらすぐに眼科医へ相談するようにしましょう。

この記事の監修医師