「網膜剝離の初期症状」はご存知ですか?進行すると現れる症状も解説!

「目の前に黒い点や虫のような浮遊物が見える」「視界の端でチカチカと光が走る」、それは網膜剥離のサインかもしれません。
網膜剥離は初期の段階では痛みがなく自覚症状も乏しいため、気付いたときには進行しているケースもあります。網膜剥離は進行すると視野の一部が欠け、最終的には視力を失う危険があります。
ただし早期に適切な治療を行えば、網膜をもとに戻して視力低下を防いだり、回復させたりできる場合もあります。本記事では、網膜剥離とはどのような病気か、初期症状と進行した症状、受診のタイミング、さらに眼科での検査・診断方法や主な治療法について解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
網膜剥離の初期症状

網膜剥離とはどのような病気ですか?
網膜剥離には大きく分けて2種類あり、網膜に裂け目(裂孔や円孔)が生じてそこから液体が入り込むことで剥がれる裂孔原性網膜剥離が多くを占めます。そのほか糖尿病網膜症などに伴う牽引性網膜剝離や炎症などによる滲出性網膜剝離など原因によりいくつかのタイプがあります。
原因は加齢や強度近視、目のケガなどさまざまですが、どの年代でも発症しうる疾患であり、特に20代と50代以上に好発するとされています。放置すれば進行して網膜全体が剥がれ、失明の危険が高い一方で、手術で網膜をもとの位置に戻すことができれば視力の維持や回復が期待できます。
参照:『飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの』(日本眼科医会)
網膜剥離の初期症状を教えてください
飛蚊症とは、視界にゴミや虫のような影が浮遊して見える症状で、網膜剥離の初期によくみられます。光視症とは、実際には光がないのに視野の隅でフラッシュのような光が走る症状です。
これらは網膜が裂けたり(網膜裂孔)、網膜が引っ張られたりして刺激されることで生じます。また、視力の急な低下やかすみを自覚する場合もあります。ただし、人によっては初期には自覚症状がまったくない場合もあり、知らないうちに病状が進行してしまうケースも少なくありません。網膜自体には痛みを感じる神経がないため、痛みがないことも特徴です。
初期の網膜剥離の症状と似ている症状を持つ病気はありますか?
後部硝子体剥離それ自体は自然現象で通常治療の必要はありませんが、硝子体剥離が起こる過程で網膜を引っ張り、網膜裂孔や剥離を招く場合もあるため注意が必要です。
また、片頭痛の前兆である閃輝暗点(せんきあんてん)は光視症と紛らわしく、網膜剥離の症状と似ていることがあります。そのほか、硝子体出血やぶどう膜炎などでも飛蚊症や光視症の症状が初期に現れることがあります。
いずれの場合も症状だけでの判断は難しく、飛蚊症や光視症の症状に気付いたら、一度眼科で精密検査を受けることをおすすめします。
進行した網膜剥離の症状と受診サイン

網膜剥離は進行するとどのような症状が現れますか?
また、網膜剥離が黄斑(網膜の中心部)にまで及ぶと急激に視力が低下し、像が歪んだりぼやけたりします。ただし、進行した網膜剥離でも痛みはありません。痛みがないため放置しがちですが、視野欠損や視力低下といった明らかな異常が出ていれば、網膜剥離がかなり進行している可能性があります。
どのような症状が現れたら眼科を受診すべきですか?
特に、浮遊物の数が急に増えた場合や視野の一部に黒い影が現れた、あるいは視力が急激に低下したといった症状がある場合は、緊急性が高いといえます。
眼科では瞳孔を広げて眼底を詳しく調べる検査(散瞳検査)などで網膜の状態を確認できますので、不安な症状があれば迷わず眼科医の診察を受けましょう。
網膜剥離を放置するとどうなりますか?
特に、網膜の中心部(黄斑)まで剥がれてしまうと、たとえ後で手術で網膜をもとに戻せても、正常な視力に戻ることは難しくなります。一方、発症間もなく剥離範囲が小さいうちに治療できれば、術後にもとの視力まで回復する可能性も高くなるとされています。
網膜剥離と診断された場合、基本的には放置せず早急な手術が必要です。手術までのわずかな待機中も安静に過ごし、目に衝撃を与えないように注意しなければなりません。いずれにせよ、網膜剥離は自然に治ることはなく、放置すれば大きく視力を損なう可能性があるため、疑わしい症状がある時点でできるだけ早めに眼科医の診察を受けましょう。
眼科での網膜剥離の検査と診断、治療法

網膜剥離が疑われるときは眼科でどのような検査を行いますか?
具体的には、視力検査や屈折検査などの基本的な検査、そして眼底検査を行います。眼底検査は、目薬で瞳孔を大きく開いてから、目の奥(眼底)をすみずみまで観察する検査です。眼底検査により網膜に裂孔や剥離が起きていないか直接確認しますが、出血などで眼底が見えにくい場合には超音波検査を行って網膜の状態を調べます。
また、網膜の中心部(黄斑)の状態を調べるために光干渉断層計(OCT)検査で網膜の断面像を撮影します。
これら検査結果を踏まえて、治療方法とその時期を決めます。
網膜剥離の診断基準を教えてください
眼科医が散瞳したうえで眼底を観察し、網膜が網膜色素上皮から離れて浮き上がっている様子が確認できれば網膜剥離と診断されます。その際、網膜上に裂孔(破れ目)が見つかり、その裂孔から網膜下に液体が入り込んで網膜が剥離している状態(裂孔原性網膜剥離)と診断されます。
そして、網膜剝離内の裂孔の有無や剥離範囲、黄斑が剥がれているかどうかなどで重症度が判断され、治療方針を立てます。
網膜剥離の主な治療法を教えてください
まだ網膜剥離になっておらず網膜裂孔や円孔があるだけの場合には、レーザー光凝固術によって裂孔の周囲を焼き固め、網膜剥離への進行を食い止める治療が行われます。これは眼球にレーザー光線を照射して網膜とその下の組織を癒着させるもので、痛みも少なく外来で可能な治療です。
一方、すでに網膜剥離が生じている場合は多くが手術適応です。網膜剥離は治療せず放置すると失明の危険が高いため基本的に早期手術が原則です。手術による治療法は大きく二つあります。
一つは強膜内陥術といい、目の外側から網膜の裂孔に対応する強膜の部分にシリコンゴムなどのバックル(あて物)を縫い付けてくぼませ、網膜を内側から押し当てて剥がれを治す方法です。
もう一つは硝子体手術といい、目の内部からアプローチする方法です。小さな切開創から細い器具を挿入し、濁った硝子体や増殖膜を取り除いて網膜をもとの位置に復位させます。
どの治療法になるかは剥離の状態や医師の判断によりますが、いずれにせよ早めに治療に取りかかるほど術後の視力予後は良好です。網膜剥離が広範囲におよび、手術が遅れると、複数回の手術が必要になることや、適切な治療をほどこしても視力が戻らないこともあります。
編集部まとめ

網膜剥離は放置すれば失明につながる重大な目の病気ですが、初期段階で発見し適切な治療を受ければ視力障害を最小限に抑えたり、回復させたりできる可能性があります。初期症状として現れる飛蚊症や光視症は年齢による変化でも起こりうるため見過ごされがちですが、飛蚊症や光視症などの症状があれば、できるだけ早めに眼科で検査を受けるようにしましょう。早期発見と治療がご自身の大切な目を守ることにつながります。




