「レーシックで老眼」を治療することはできるの?治療を受けた後の注意点も解説!

本やスマートフォンを離さないとピントが合わなくなっていませんか?それは老眼の症状かもしれません。老眼は主に40代前後になれば誰にでも起こりうる症状で、目のピント調節力の低下が原因です。「年だから仕方ない」と放置すると、見えづらさから肩こりや頭痛につながることもあります。本記事では老眼の基礎知識や原因、老眼は自然によくなるのかといった疑問に答えます。さらに、視力矯正手術であるレーシックで老眼が治せるのか、その仕組みや費用、メリットや注意点について解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
老眼の基礎知識

老眼とはどのような状態ですか?
老眼の原因を教えてください
また、もともと遠視や正視の方は近くにピントを合わせる負担が大きいため、老眼を早く自覚しやすく、逆に近視の方は近くを見る際は裸眼で見えることも多く老眼の発見が遅れがちです。しかし、水晶体の老化現象そのものは誰にでも等しく起こります。そのため、基本的には加齢による生理現象として避けられないものです。
老眼が自然に治ることはありますか?
レーシックの仕組みと老眼治療

レーシックとはどのような治療ですか?
角膜を削る量や形を調整して光の屈折力を変化させることで、ピントの位置を網膜上に合わせ直し、裸眼での視力を回復させます。手術は片眼10分程度で完了し、その日のうちに帰宅できます。術後の回復も早く、翌日には裸眼での視力回復を実感できるほどで、安全性も確立された実績の多い手術として知られています。
レーシックで視力がよくなる仕組みを教えてください
例えば、近視の場合は角膜を平坦に削って焦点距離を伸ばし、遠くの像が網膜に合うようにします。遠視の場合は角膜を中央部で相対的に厚く削って屈折力を高め、近くの像が網膜に届くよう調整します。このように角膜を物理的に加工することで眼球全体のピント調節力を補正し、メガネやコンタクトレンズなしでもはっきり見えるようにするのがレーシック手術の仕組みです。
レーシックで老眼を治療することはできますか?
ただし、いくつか例外的なアプローチがあります。ひとつはモノビジョンレーシックと呼ばれる方法です。これはレーシックで片方の目を近くが見えるように矯正し、反対の目は遠くが見えるように矯正するものです。左右で役割を分けることで両目で見たときに遠近とも見やすくし、老眼鏡への依存を減らす手術ですが、片目ずつの見え方が異なるため慣れが必要になります。
もう一つは多焦点レーシックといわれる方法です。角膜に特殊なレーザー照射を行い一つの目で遠くも近くも見える多焦点の形状を作り出すレーシックで、近年一部の機器で導入され始めています。この遠近両用レーシックが適用できれば、40代以上で老眼の出始めた方でもレーシックで遠近の視力改善を図れる可能性があります。
とはいえ多焦点レーシックは高度な技術で万人に有効とはいえず、行える施設も限られた自由診療での治療です。なお、レーシック以外にも老眼を矯正する方法はあります。自分にどの方法が適しているかは目の状態やライフスタイルによるため、老眼の悩みがある方はまず眼科で相談するとよいでしょう。
レーシックの老眼治療にかかる費用の目安を教えてください
一方、片眼ずつ遠近を分担させるモノビジョンレーシックの場合も、両眼トータルで40万円台~50万円程度かかります。いずれも手術内容やオプションによって前後します。また、医療費控除の対象になったり、割引プランが用意されていたりする場合もあります。費用面が気になる場合は、事前に希望の施設で料金体系を確認するとよいでしょう。
レーシックの老眼治療を受けるメリットと注意点

レーシックで老眼治療を受けるメリットを教えてください
一方、多焦点レーシックのメリットは両目とも遠近の視力を確保できる点です。左右の目で遠近を分担しないため立体視を保ちやすく、より自然で違和感の少ない見え方になる可能性があります。
レーシックの老眼治療に合併症や後遺症はありますか?
例えば、手術後にドライアイの症状が強くなったり、夜間に光がにじんで見えるハロー・グレア現象が生じたりすることがあります。また、角膜を削ることでわずかに乱視が残ったり、再手術やメガネでの矯正が必要になったりすることもあります。
また、モノビジョンレーシックのデメリットとして、遠方専用の目と近方専用の目を作るために立体視が低下することがあります。一方、多焦点レーシックの場合は角膜に複数の焦点を持たせる性質上、コントラスト感や暗所視力が低下することがあります。
いずれの場合も、一度削った角膜はもとに戻せないため、手術の適応検査で十分に自分の目の状態を把握し、眼科医と相談のうえでメリットとリスクを天秤にかけて判断することが大切です。
レーシックの老眼治療を受けた後の注意点を教えてください
そして、処方された抗生剤や消炎剤の目薬を決められた期間きちんと続けることが大切です。定期検診にも必ず通い、術後の経過観察と必要な治療を受けましょう。治療後は見え方に違和感を覚えることもあるため、特に夜間の運転などは慎重に行い、無理をしないことが肝心です。こうした注意点を守れば、多くの方はレーシック後の視力を良好に保ち、快適な裸眼生活を送ることができるでしょう。
編集部まとめ

老眼は年齢を重ねると誰にでも訪れる目のピント調節力の衰えであり、目の老化現象の一つです。近くが見えにくくなるのは避けられないことですが、適切に対処すれば日常生活の不便さは大きく軽減できます。また、最近では遠近両用のレーシックや多焦点眼内レンズなど老眼治療の選択肢が広がっていますが、どの方法にもメリットとデメリットがあります。大切なのはご自身の目に合った手段を眼科医と一緒に見極めることです。老眼鏡を上手に活用するのも立派な対策ですし、どうしても裸眼にこだわる場合は慎重に検査やカウンセリングを受けてから行うようにすることが大切です。不安なこともあると思いますが、本記事が皆さんの不安を一つでも解決する一助になれば幸いです。




