「帯状疱疹の治療薬」にはどんな副作用がある?予防する治療薬も解説!【医師監修】

帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、成人以降に再び発症する病気です。片側の身体に赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れ、強い痛みを伴います。皮膚の症状が治まった後も神経の炎症が残り、長く痛みが続くことがあり、仕事や家事、睡眠に影響することもあります。本記事では帯状疱疹の症状の軽減や後遺症を予防する効果が期待できる治療薬、痛みをやわらげる鎮痛薬の種類、副作用、予防する方法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
帯状疱疹の基礎知識

帯状疱疹とはどのような病気ですか?
症状の特徴は、片側の皮膚に帯状に広がる赤い発疹と強い痛みです。発疹は小さな水ぶくれからかさぶたへと変化し、通常は2〜4週間で治まりますが、神経が傷つくと発疹が消えても痛みが長く続く場合があります。顔や眼に出た場合は視力や表情の動きに影響することもあり、早期治療が求められます。
帯状疱疹の原因を教えてください
免疫を弱める要因としては、加齢、強いストレス、睡眠不足があります。さらに糖尿病やがんなどの慢性疾患により、免疫機能が下がることも、再活性化のきっかけになると考えられています。
抗がん剤やステロイドなど免疫を抑える薬、移植後の免疫抑制治療も同様です。健康にみえる方でも、一時的な体調不良や生活リズムの乱れで免疫が下がり、発症につながることがあります。
帯状疱疹になりやすい年代や性別を教えてください
参照:『帯状疱疹診療ガイドライン 2025』(日本皮膚科学会)
帯状疱疹の治療方法と薬の種類

帯状疱疹のおもな治療方法を教えてください
帯状疱疹の治療に用いられる薬の種類を教えてください
鎮痛薬はアセトアミノフェンやNSAIDsが基本です。神経障害性疼痛薬としてはプレガバリンやガバペンチンがあり、神経に由来する痛みを和らげる目的で使われます。痛みが強いときには医師の管理のもとで短期間オピオイドを併用することがあります。ステロイド薬は顔面神経の麻痺や眼の炎症を伴う場合など、特定の状況で検討されますが、全身状態や感染リスクを考慮して個別に判断されます。
帯状疱疹の治療薬はそれぞれどのような役割がありますか?
鎮痛薬は日常生活の質を保つうえで重要で、眠れない痛みや食事がとれない痛みを軽減します。
神経障害性疼痛薬は、刺すような電撃痛や触れるだけで痛む痛覚過敏に有用です。ステロイド薬は炎症や神経浮腫の関与が疑われる場面での選択肢ですが、感染悪化の懸念があるため、適応の見極めが欠かせません。
帯状疱疹の治療薬の副作用を教えてください
NSAIDsは胃の不快感や潰瘍、腎機能への影響が知られており、既往歴や併用薬を確認して選択します。プレガバリンやガバペンチンは眠気、ふらつき、浮腫などが現れることがあり、特に高齢の方では転倒予防のため投与タイミングや開始量を工夫します。オピオイドは便秘、眠気、めまいが代表的で、短期間・少量から開始して効果と副作用のバランスを評価します。
ステロイド薬は血糖上昇や感染リスクの上昇といった懸念があります。
帯状疱疹の予防方法

帯状疱疹を予防できる薬はありますか?
予防接種でどの程度帯状疱疹を予防できますか?
生ワクチンは発症予防効果が中等度で、期間は数年とされています。
帯状疱疹のワクチンは2025年度より、予防接種法に基づく定期接種の対象ワクチンになりました。帯状疱疹ワクチンの接種対象者は65歳を迎える方や、100歳以上の方(2025年度に限る)などです。定期接種で用いられるのは生ワクチンと組み換えワクチンです。
また、定期接種の対象にならない50歳以上の方や、帯状疱疹への罹患リスクが高い18歳以上の方も任意接種として帯状疱疹の予防接種を受けることができます。
定期接種の対象にならない方も、自治体によっては助成制度が設けられていますので、費用、持病、免疫状態、服薬状況を主治医と共有し、適したワクチンを選びましょう。
参照:
『帯状疱疹診療ガイドライン 2025』(日本皮膚科学会)
『帯状疱疹ワクチン』(厚生労働省)
編集部まとめ

帯状疱疹は、免疫の低下を背景に誰にでも起こりえる病気です。発疹が出たときに早く受診することが、皮膚症状の重さやその後に続く痛みを減らすために重要です。
治療の中心となるのは抗ウイルス薬で、早期に開始するほど効果が高いです。痛みへの対策では、症状の強さや性質に合わせてアセトアミノフェンやNSAIDs、神経障害性疼痛薬、オピオイドなどを選び分けて用います。これにより、生活への影響をできるだけ抑えることができます。
再発や長引く痛みを減らす方法として、成人期のワクチン接種も有効です。特に50歳を過ぎると発症が増えるため、体調や治療歴を踏まえ、主治医と相談しながら接種を検討してください。




