「歯周病の治療費用」はご存知ですか?治療法や自宅ケアも解説!【医師監修】

歯茎から血が出る、腫れているなどは歯周病のサインかもしれません。歯周病は身近な病気ですが、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気付いたときには進行しているケースも少なくありません。
歯周病は放置すると歯を支える骨が失われ、最終的には歯を失う原因になります。一方で、早期に発見して適切な治療やケアを行えば、改善や進行の抑制が十分に可能です。
本記事では、歯周病の分類やステージ・グレードの考え方、段階ごとの治療内容と費用の目安、自宅でできるケア方法を解説します。

監修歯科医師:
松浦 京之介(歯科医師)
目次 -INDEX-
歯周病の分類とステージ、グレード

歯周病にはどのような種類がありますか?
ところが炎症が長期間続くと、細菌の毒素によって歯槽骨が溶かされ始め、歯がぐらつくようになります。こうした歯槽骨の破壊を伴う状態が歯周炎で、一般に歯周病というとこの歯周炎まで含めた病態を指します。歯肉炎は適切なケアで健康な状態に戻すことが可能ですが、歯周炎に進行して骨が失われた場合は放置するとどんどん進んでしまうため注意が必要です。
歯周病のステージを教えてください
歯周病のグレードとは何ですか?
歯周病のステージ別|治療法と治療費用の目安

歯周病の治療法をステージごとに教えてください
中等度の歯周病(ステージ2~3)では、基本的な治療方針は軽度の場合と同じく歯周基本治療ですが、炎症が強くなっているため、より深い部分に入り込んだ歯石や感染物質の除去が必要です。この場合、局所麻酔を用いて歯周ポケットの奥まで器具を入れ、根面を磨きながら徹底的に清掃を行います。それでも改善しない深いポケットが残る場合には、歯茎を切開して奥深くの汚れを直接除去するフラップ手術などの外科的処置を検討します。
重度の歯周病(ステージ3~4)では、全顎的な徹底した歯周基本治療に加えて、複数回にわたる歯周外科治療が必要です。奥歯の根分岐部病変に対するフラップ手術や、骨移植やエムドゲインなどを用いた再生療法が行われることもあります。また、動揺が強い歯に対しては噛み合わせの調整や固定(スプリント)を行い、咬合力による悪化を防ぎます。改善が望めない歯については抜歯が検討され、その後はブリッジや義歯、インプラントなどで機能回復を図ります。
保険診療における歯周病の治療費用の目安を教えてください
中等度になると、通院回数や処置部位が増えるため費用もかさみ、合計で1~5万円程度です。全顎的にルートプレーニングを行ったり、フラップ手術などの外科治療を行ったりする場合には、追加費用が発生します。
重度の歯周病では、歯周基本治療に加えて複数回の外科的処置が必要になるため、総額で15,000~100,000円ほどかかることがあります。
自由診療での歯周病治療にかかる費用の目安を教えてください
中等度になると、レーザーを用いた治療やエムドゲイン・リグロスといった再生療法を組み合わせることがあり、その場合は5~50万円程度に達することがあります。重度の歯周病治療を自由診療で行う場合はさらに高額になり、再生療法や複数本のインプラント治療を併用するため追加費用が発生します。治療内容によって費用負担は大きくなるため、事前に治療計画と見積もりをよく確認し、納得したうえで治療を決めましょう。
歯周病の治療期間と自宅でのケア

歯周病は治療によって完治する病気ですか?
ただし、治療によってそれ以上骨が失われないよう病気の進行を止め、歯茎の健康な状態を取り戻すことは可能です。重度で歯がぐらつくケースでも、原因となる歯垢や歯石を徹底的に除去し噛み合わせを調整することで、ぐらつきが改善して長期間保てる場合もあります。このように、歯周病は適切な治療とその後の管理によって完治に近い状態まで持っていくことも可能です。
歯周病の治療期間を教えてください
| 歯周病の重症度 | 治療期間の目安 | 通院回数の目安 |
|---|---|---|
| 軽度 | 1~3ヶ月程度 | 3~5回前後 |
| 中等度 | 3ヶ月~1年程度 | 5~10回程度 |
| 重度 | 6ヶ月から1年以上 | 10回以上 |
以上はあくまで目安ですが、歯周病は進行すればするほど治療に時間がかかる傾向があります。そのため、症状が軽いうちに治療を開始することが結果的に治療期間の短縮につながります。歯周病は慢性的な経過をたどる疾患ですので、その後も定期的に歯科医院でチェックとクリーニングを受けるようにしましょう。
歯周病になった際の自宅でできるケア方法とケア用品にかかる費用の目安を教えてください
- 丁寧な歯みがき
- デンタルフロス・歯間ブラシの使用
- 洗口液(マウスウォッシュ)の活用
丁寧な歯みがきはセルフチェックケアの基本です。また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落としきれないため、フロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使った清掃も併せて行います。
さらに、補助的なケアとして、薬用成分配合の洗口液でうがいをするのもよいでしょう。歯みがきやフロスの後にお口をすすぐことで、歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できます。ただし、洗口液だけでは歯垢は十分に除去できないためあくまで補助と考えましょう。
いずれも数百~1500円程度です。これらのセルフケア用品は薬局やスーパーで手軽に入手できます。毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのクリーニングで歯周病を予防しましょう。
編集部まとめ

歯周病はよくある病気ですが、その進行度(ステージ)によって必要な治療内容や期間・費用は大きく異なります。初期段階では簡単な歯石取りと歯みがき方法指導で改善し費用もわずかで済むのに対し、重度になると外科手術や長期の通院が必要となり、治療費も高額です。
したがって、「もしかして歯周病かな?」と思ったら早めに歯科医院を受診し、症状が軽いうちに治療を始めましょう。また、歯周病は再発しやすい病気でもありますから、治療後も日々のセルフケアと定期検診によるチェックを欠かさないようにしましょう。大切なのは予防と早期発見・早期治療です。適切なケアと習慣で歯周病を防ぎ、ご自身の歯をできるだけ長く健康に保ちましょう。




