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「歯周病の原因」はご存知ですか?なりやすい状態や状況も解説!【医師監修】

 公開日:2025/10/22
「歯周病の原因」はご存知ですか?なりやすい状態や状況も解説!【医師監修】

歯周病は歯を失う原因の一つですが、その原因やリスクを詳しく理解している方は多くありません。歯周病は、歯垢(プラーク)に潜む細菌が主な原因ですが、生活習慣や体質によってなりやすさが変わってきます。本記事では、歯周病の原因、なりやすい状態、原因を取り除くための方法などを解説します。

松浦 京之介

監修歯科医師
松浦 京之介(歯科医師)

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歯科医師。2019年福岡歯科大学卒業。2020年広島大学病院研修修了。その後、静岡県や神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務。2023年医療法人高輪会にて勤務。2024年合同会社House Call Agencyを起業。日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会の各会員。

歯周病の原因

歯周病の原因

歯周病の原因を教えてください

歯周病の最大の原因は歯垢(プラーク)です。歯垢は細菌の塊で、歯と歯茎の間に溜まります。そのなかには無数の歯周病原菌とその産生物が含まれています。歯垢を除去しないまま放置すると、石灰化して歯石となり、さらに細菌の温床になります。これが歯茎に炎症を起こし、歯周病へと発展します。また、喫煙や糖尿病、妊娠などの要因も歯周病を悪化させる原因であると考えられています。

歯周病は誰でもなる可能性がある病気ですか?

特に歯みがきが不十分な方、糖尿病などの生活習慣病を持つ方、喫煙習慣のある方はリスクが高く、さらに年齢とともに免疫力が低下するため、中高年以降は発症や進行が早まりやすくなります。ただし、若い世代でも不規則な生活や過剰なストレス、口腔ケア不足があれば発症することがあり、年齢に関係なく誰にでも起こりえる病気といえます。

歯周病は若い頃からゆっくりと進み、年齢を重ねるにつれて影響が大きくなっていきます。20代後半になるとすでに歯周病が原因で歯を失うケースがみられ始め、35歳から69歳では約7割の方に歯茎の異常が確認されています。特に40代以降に急増し、40代半ばには抜歯の原因の約4人に1人が歯周病によるものとされています。さらに55歳を超えると、歯を失う最大の原因が虫歯ではなく歯周病となり、75歳以上では重度の歯周病を抱える方が急増します。85歳を超えると多くの方が歯周病を患っているのが実情です。

性別による大きな差はないものの、生活習慣の違いが影響します。女性は予防意識が高く、フロスや歯間ブラシを積極的に活用する傾向があります。特に40〜70代の女性では、半数以上が日常的に歯間清掃を行っていました。一方、男性はセルフケアが不足しやすく、その結果、歯周病が進行しやすい傾向がみられます。

参照:『歯周病罹患の現状と対策について』(厚生労働省)

歯周病になりやすい状態や状況を教えてください

歯周病は誰にでも起こりえる病気ですが、特になりやすい状態や状況というものがあります。まず大きな要因となるのが、歯垢や歯石がたまりやすい口腔環境です。歯みがきが不十分で磨き残しが多い方はもちろん、歯並びが悪く、詰め物や被せ物の形が複雑で清掃が行き届きにくい場合には、細菌が溜まりやすく炎症が起こりやすい状況です。

次に、全身の健康状態も密接に関わります。例えば糖尿病があると血糖コントロールが不良になり、免疫力が低下して歯周病が悪化しやすくなります。

生活習慣も重要なリスク因子です。代表的なのは喫煙で、タバコに含まれる有害物質が血流を悪化させ、歯茎の炎症が治りにくくなります。過度の飲酒も口腔乾燥や免疫力の低下を招き、歯周病の進行を助長します。また、ストレスや睡眠不足によって自律神経や免疫の働きが乱れることも歯周病を悪化させる要因です。さらに、口呼吸の習慣があるとお口の中が乾燥しやすくなり、細菌が増殖しやすい環境が整ってしまいます。

加えて、女性はホルモンバランスの影響を強く受けることが知られています。思春期、妊娠期、更年期などホルモンの変動が大きい時期には、歯茎が炎症を起こしやすい傾向にあります。

このように、口腔内の環境、全身の健康状態、生活習慣、ホルモンの変化などの複数の要素が重なって発症や進行を引き起こしています。

歯周病の原因を取り除く方法

歯周病の原因を取り除く方法

歯周病の原因となる菌を薬で取り除くことはできますか?

抗菌薬を使って歯周病菌を減らす治療はありますが、薬だけで歯周病を根本的に治すことはできません。歯垢や歯石を機械的に取り除かなければ細菌は再び増えてしまいます。薬はあくまで補助的に用いられ、セルフケアとクリーニングが治療の基本です。

念入りに歯を磨くことで歯周病を予防できますか?

正しい歯磨き方法は効果的な予防方法です。歯と歯茎の境目を意識して歯ブラシを当てることで歯垢を除去できます。歯科医院で歯磨き方法指導を受けることで、磨き残しを減らすことができます。また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシの併用で清掃効果は高まります。

飲酒や喫煙を止めることで歯周病リスクはどの程度低下しますか?

喫煙は歯周病の強いリスク因子の一つです。タバコに含まれるニコチンは歯茎の血流を悪化させるため、炎症が生じやすくなります。喫煙者は非喫煙者と比較し歯周病に3倍以上かかりやすいといわれています。そのため禁煙で歯茎の血流が改善し、炎症が治まりやすくなります。

また、アルコール摂取も歯の喪失要因の一つとされており、1日のアルコール摂取量が換算60g以上の方では歯周病リスクが高くなる可能性も示唆されています。アルコール摂取により唾液分泌量が減少しやすくなるため、歯垢増加や唾液緩衝能の低下が生じ、歯周病が引き起こされます。そのため、過度な飲酒を止めることで歯周病リスクは下がります

参照:
『e-ヘルスネット「歯周病」』(厚生労働省)
『アルコール摂取状況と歯の喪失との関連についての研究:魚沼コホート研究ベースライン調査』(口腔衛生学雑誌2023年73巻3号)
『ライフスタイル環境に関連した歯周病のリスクファクター』(日本歯周病学会第40回 記念大会特別号)

歯周病の検査と治療法

歯周病の検査と治療法

歯科医院での歯周病の検査方法を教えてください

代表的な検査は、歯周ポケット検査です。専用の器具で歯と歯茎のすき間の深さを測定し、炎症の程度を調べます。健康な状態では0〜3mm程度ですが、歯周病が進行すると4mm以上になります。さらに、出血の有無や歯の動揺度、レントゲン検査によって歯槽骨の状態を確認することがあります。

参照:『e-ヘルスネット「地域歯周疾患指数」』(厚生労働省)

検査で歯周病の原因を突き止めることはできますか?

歯周病の直接的な原因はプラークが蓄積することによる歯石化とそのなかに存在する細菌ですが、間接的には糖尿病や喫煙、妊娠なども関係していると考えられています。

したがって、歯科医院で行う検査だけでは、歯周病のすべての原因を突き止めることは難しいといえます。
歯周病の原因である細菌の種類であれば、歯科医院での細菌検査によって明らかにできる可能性はあります。ただし、歯周病の細菌検査は、すべての患者さんに対して行われるものではありません。

参照:『歯周病検診マニュアル2023』(厚生労働省)

歯周病と診断された場合に歯科医院で行われる治療法を教えてください

歯垢と歯石の徹底的な除去を行います。歯石除去(スケーリング)や歯根の清掃(ルートプレーニング)を行い、細菌の温床を取り除きます。軽度ならこれで改善しますが、中等度以上の場合は歯周外科手術で歯茎を切開し、歯根の奥深くにある歯石を除去することもあります。また、重度では抜歯が必要になる場合もあります。

編集部まとめ

編集部まとめ
歯周病は、歯垢や歯石が主な原因であり、誰にでも発症する可能性のある病気です。特に生活習慣や全身疾患、加齢などが重なるとリスクは高まります。歯周病は放置すれば進行し、歯を失うだけでなく全身の健康にも影響を与えることがわかっています。

予防の基本は、毎日の正しい歯磨き方法定期的な歯科検診です。生活習慣を見直し、歯科医院で適切な治療を受けることで、多くの場合は進行を食い止め、健康な口腔環境を維持することが可能です。

この記事の監修歯科医師