「マイコプラズマ肺炎の検査」はどんなことをするの?種類や診断基準も解説!

マイコプラズマ肺炎は、子どもから大人まで幅広い年齢層で発症する呼吸器感染症です。特に小中学生に多くみられ、子どもの肺炎の代表格とも呼ばれます。発熱や咳が長引くため、風邪が治らないと思って受診されるケースも少なくありません。近年は抗菌薬が効きにくい耐性菌も問題になっており、正しい診断と治療が重要です。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
目次 -INDEX-
マイコプラズマ肺炎の特徴的な症状

マイコプラズマ肺炎の症状を教えてください
そのほか、頭痛や喉の痛み、倦怠感などの全身症状を伴うことも多く、患者さんによっては声がかれ、中耳炎や気管支炎を併発する場合もあります。小児では咳が長引きやすく、成人に比べて解熱にも時間がかかる傾向があります。
マイコプラズマ肺炎にはほかの風邪や肺炎とは異なる症状はありますか?
また、特徴的なのは、肺炎であるにも関わらず胸部レントゲン所見が軽度である点です。つまり、画像の異常は軽くても自覚症状は強く出るため、医師でも診断が難しいことがあります。見た目には元気そうにみえることから歩く肺炎(walking pneumonia)とも呼ばれています。この特徴が、学校や職場で感染が広がりやすい一因ともなっています。
マイコプラズマ肺炎の検査方法

マイコプラズマ肺炎の検査は必ず実施されますか?
マイコプラズマ肺炎の検査にはどのような種類がありますか?
まず、マイコプラズマ感染の診断に使われるのは 血液検査(抗体検査)、迅速抗原検査、そしてPCR検査です。血液検査では抗体(IgMやIgG)の有無を調べ、感染の有無や時期を推測します。迅速抗原検査は短時間で結果が得られる点が利点ですが、感度はPCRより劣ります。PCR検査は遺伝子を直接検出するため精度が高く、発症初期から診断可能で、耐性遺伝子の有無も確認できる場合があります。
一方で、胸部レントゲン検査はマイコプラズマへの感染を直接診断するものではなく、肺炎を起こしているかどうか、またその範囲や重症度を確認する目的で行われます。
それぞれの検査法の特徴を教えてください
迅速抗原検査は、鼻や喉の粘膜を綿棒でこすって検体を採取し、短時間で結果を得られる方法です。外来診療でも実施しやすく、診断の補助として広く用いられていますが、PCR検査に比べると精度は劣ります。そのため、陰性であっても感染を完全に否定できない場合があります。
PCR検査は、マイコプラズマの遺伝子を直接検出する方法で、現時点で信頼性の高い検査とされています。発症初期から診断可能であり、さらに耐性遺伝子の有無を確認できる場合もあるため、治療薬の選択に役立ちます。ただし、PCR検査には特殊な設備とコストが必要で、すべての医療機関で受けられるわけではありません。
最後に胸部レントゲン検査ですが、これはマイコプラズマ肺炎に特異的な検査ではありません。肺炎の有無や重症度、炎症の広がりを確認する目的で行われます。マイコプラズマ肺炎では小葉中心性/網状結節影や斑状浸潤影など多彩な陰影を認めます。
マイコプラズマ肺炎の検査には痛みや不快感は伴いますか?
検査で陰性であればマイコプラズマ肺炎の心配はありませんか?
マイコプラズマ肺炎の治療法

マイコプラズマ肺炎の標準的な治療法を教えてください
また一方で、肺炎までいたっていない軽症例では抗菌薬を使わずに自然治癒することもあります。
マイコプラズマ肺炎の咳や頭痛は病院で治療を受けることで早く治りますか?
まず、原因であるマイコプラズマ菌に対しては、マクロライド系などの抗菌薬を使うことで菌の増殖を抑え、病気の進行を止めることができます。これにより発熱や全身のだるさ、頭痛などは数日以内に改善することが多いです。
一方で、咳は気道に残った炎症や過敏性によって長引くことが多く、抗菌薬を服用しても数週間続く場合があります。特に夜間の咳はつらく、眠れない原因になるため、必要に応じて鎮咳薬や去痰薬を使って症状を和らげます。
また、発熱や頭痛に対してはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使い、安静と水分補給を行うことで回復がスムーズになります。まれに炎症が強すぎて免疫反応が暴走している場合(高サイトカイン状態)には、ステロイドを使用することもあります。
編集部まとめ

マイコプラズマ肺炎は、風邪と似た症状で始まるため見過ごされやすい病気です。しかし、発熱や咳が長引く場合には抗菌薬などを使うことで症状がやわらぐことが多いです。検査方法には迅速検査やPCR、血液検査などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。陰性でも否定できないため、症状や流行状況を踏まえて医師が総合的に判断します。
治療は抗菌薬が中心ですが、軽症例では自然治癒もありえます。ただし重症化や合併症のリスクを考えれば、医師の指導のもとで適切な薬を使用した方がよいです。症状をやわらげるための対症療法も重要で、咳や発熱への対応が回復を助けます。
参考文献


