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「マイコプラズマ肺炎の検査」はどんなことをするの?種類や診断基準も解説!

 公開日:2025/11/16
「マイコプラズマ肺炎の検査」はどんなことをするの?種類や診断基準も解説!

マイコプラズマ肺炎は、子どもから大人まで幅広い年齢層で発症する呼吸器感染症です。特に小中学生に多くみられ、子どもの肺炎の代表格とも呼ばれます。発熱や咳が長引くため、風邪が治らないと思って受診されるケースも少なくありません。近年は抗菌薬が効きにくい耐性菌も問題になっており、正しい診断と治療が重要です。

居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

マイコプラズマ肺炎の特徴的な症状

マイコプラズマ肺炎の特徴的な症状

マイコプラズマ肺炎の症状を教えてください

典型的な症状は、数日から1週間以上続く発熱としつこい咳です。咳は昼夜を問わず続きますが、特に夜間や身体を動かしたときに悪化しやすく、睡眠や日常生活に支障をきたすほど強いことがあります。

そのほか、頭痛や喉の痛み、倦怠感などの全身症状を伴うことも多く、患者さんによっては声がかれ、中耳炎や気管支炎を併発する場合もあります。小児では咳が長引きやすく、成人に比べて解熱にも時間がかかる傾向があります。

マイコプラズマ肺炎にはほかの風邪や肺炎とは異なる症状はありますか?

ほかの風邪に比べ、マイコプラズマ肺炎では咳が長引きます。1ヶ月程度続くこともあります。
また、特徴的なのは、肺炎であるにも関わらず胸部レントゲン所見が軽度である点です。つまり、画像の異常は軽くても自覚症状は強く出るため、医師でも診断が難しいことがあります。見た目には元気そうにみえることから歩く肺炎(walking pneumonia)とも呼ばれています。この特徴が、学校や職場で感染が広がりやすい一因ともなっています。

マイコプラズマ肺炎の検査方法

マイコプラズマ肺炎の検査方法

マイコプラズマ肺炎の検査は必ず実施されますか?

すべての患者さんで行われるわけではありません。臨床症状や流行状況からある程度診断がつく場合もあるため、軽症例では検査を行わずに治療を開始することもあります。特に小児科診療では、検査の侵襲性や結果が出るまでの時間を考慮し、症状や経過から総合的に判断することが多いです。

マイコプラズマ肺炎の検査にはどのような種類がありますか?

マイコプラズマ肺炎の診断に用いられる検査には大きく2つの目的があります。ひとつは マイコプラズマへの感染を診断するための検査、もうひとつは 肺炎の有無や重症度を確認するための検査です。

まず、マイコプラズマ感染の診断に使われるのは 血液検査(抗体検査)迅速抗原検査、そしてPCR検査です。血液検査では抗体(IgMやIgG)の有無を調べ、感染の有無や時期を推測します。迅速抗原検査は短時間で結果が得られる点が利点ですが、感度はPCRより劣ります。PCR検査は遺伝子を直接検出するため精度が高く、発症初期から診断可能で、耐性遺伝子の有無も確認できる場合があります。

一方で、胸部レントゲン検査はマイコプラズマへの感染を直接診断するものではなく、肺炎を起こしているかどうか、またその範囲や重症度を確認する目的で行われます。

それぞれの検査法の特徴を教えてください

血液検査(抗体検査) では、マイコプラズマに感染した際に体内で作られる抗体(IgMやIgG)を測定します。IgM抗体は発症後1〜2週間で上昇し、IgG抗体は時間の経過とともに増えていくため、感染の有無だけでなく感染時期の推測にも役立ちます。ただし、発症初期には抗体が十分に上昇していないことが多く、その段階では正確な診断が難しいという欠点があります。単回のIgM検査は特異性が低いことがあるため、確定のためにはペア血清(急性期・回復期)としての評価が望ましいです。

迅速抗原検査は、鼻や喉の粘膜を綿棒でこすって検体を採取し、短時間で結果を得られる方法です。外来診療でも実施しやすく、診断の補助として広く用いられていますが、PCR検査に比べると精度は劣ります。そのため、陰性であっても感染を完全に否定できない場合があります。

PCR検査は、マイコプラズマの遺伝子を直接検出する方法で、現時点で信頼性の高い検査とされています。発症初期から診断可能であり、さらに耐性遺伝子の有無を確認できる場合もあるため、治療薬の選択に役立ちます。ただし、PCR検査には特殊な設備とコストが必要で、すべての医療機関で受けられるわけではありません。

最後に胸部レントゲン検査ですが、これはマイコプラズマ肺炎に特異的な検査ではありません。肺炎の有無や重症度、炎症の広がりを確認する目的で行われます。マイコプラズマ肺炎では小葉中心性/網状結節影や斑状浸潤影など多彩な陰影を認めます。

マイコプラズマ肺炎の検査には痛みや不快感は伴いますか?

血液検査では採血による痛みがあります。迅速検査やPCR検査は、鼻や喉に綿棒を挿入して検体を採取するため、不快感を伴うことがありますが、強い痛みを伴うことは少ないです。小児では検査中に嫌がることが多いため、保護者の付き添いや声かけが重要です

検査で陰性であればマイコプラズマ肺炎の心配はありませんか?

検査の種類によって感度が異なるため、陰性だからといって否定できるわけではありません。特に迅速検査では偽陰性が起こることがあります。そのため、症状や周囲の流行状況、レントゲン所見などを総合して診断が行われます。

マイコプラズマ肺炎の治療法

マイコプラズマ肺炎の治療法

マイコプラズマ肺炎の標準的な治療法を教えてください

治療の中心は抗菌薬と対症療法です。マイコプラズマは通常のペニシリン系抗菌薬が効かないため、マクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が第一選択薬です。最近はマクロライドへの耐性菌も考えなければならない場合もあり、耐性菌が疑われる場合には、テトラサイクリン系(ミノサイクリン)ニューキノロン系(レボフロキサシン)に切り替えることもあります。テトラサイクリンは歯牙黄染などの副作用があるため8歳未満、また妊婦さんにも使用できません。ニューキノロンは原則小児への使用は避けます。
また一方で、肺炎までいたっていない軽症例では抗菌薬を使わずに自然治癒することもあります。

マイコプラズマ肺炎の咳や頭痛は病院で治療を受けることで早く治りますか?

 マイコプラズマ肺炎は、病院で適切な治療を受けることで回復を早めることができます。ただし、症状のなかでも咳はすぐには消えにくいという特徴があります。
まず、原因であるマイコプラズマ菌に対しては、マクロライド系などの抗菌薬を使うことで菌の増殖を抑え、病気の進行を止めることができます。これにより発熱や全身のだるさ、頭痛などは数日以内に改善することが多いです。

一方で、咳は気道に残った炎症や過敏性によって長引くことが多く、抗菌薬を服用しても数週間続く場合があります。特に夜間の咳はつらく、眠れない原因になるため、必要に応じて鎮咳薬や去痰薬を使って症状を和らげます。

また、発熱や頭痛に対してはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使い、安静と水分補給を行うことで回復がスムーズになります。まれに炎症が強すぎて免疫反応が暴走している場合(高サイトカイン状態)には、ステロイドを使用することもあります。

編集部まとめ

編集部まとめ

 マイコプラズマ肺炎は、風邪と似た症状で始まるため見過ごされやすい病気です。しかし、発熱や咳が長引く場合には抗菌薬などを使うことで症状がやわらぐことが多いです。検査方法には迅速検査やPCR、血液検査などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。陰性でも否定できないため、症状や流行状況を踏まえて医師が総合的に判断します。
治療は抗菌薬が中心ですが、軽症例では自然治癒もありえます。ただし重症化や合併症のリスクを考えれば、医師の指導のもとで適切な薬を使用した方がよいです。症状をやわらげるための対症療法も重要で、咳や発熱への対応が回復を助けます。

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