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「ウイルス性胃腸炎」の初期症状はご存知ですか?進行すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/11/10
「ウイルス性胃腸炎」の初期症状はご存知ですか?進行すると現れる症状も解説!

突然の吐き気や嘔吐、下痢といったつらい症状に襲われるウイルス性胃腸炎。俗にお腹の風邪とも呼ばれ、多くの方が一度は経験したことがあるかもしれません。この記事を読めば、ウイルス性胃腸炎について正しく理解し、ご自身やご家族が感染したときに、落ち着いて行動できるようになります。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

ウイルス性胃腸炎の基礎知識

ウイルス性胃腸炎の基礎知識

ウイルス性胃腸炎とはどのような病気ですか?

ウイルス感染が原因で嘔吐や下痢など胃腸炎の症状を引き起こす病気の総称です。一般に胃腸風邪や嘔吐下痢症などとも呼ばれ、秋から冬にかけて毎年多くの方がかかります。原因ウイルスとしてはノロウイルスが最も多く、ほかにもロタウイルス(白色の水様便が特徴)、サポウイルスアデノウイルスなど複数の種類があります。

参照:『令和6年食中毒発生状況』(厚生労働省)

ウイルス性胃腸炎の原因を教えてください

原因はウイルス感染です。代表的なウイルスであるノロウイルスは感染力が大変強く、患者さんの嘔吐物や便に触れた手を介して経口感染します。また、嘔吐物が乾燥するとウイルスを含む微粒子が空気中に飛び散り、それを吸い込んで感染することもあります。汚染された食品や水から感染する場合もあり、生牡蠣など加熱不足の二枚貝による食中毒が典型例です。

つまりウイルス性胃腸炎は飛沫・接触・経口を通じて感染する疾患であり、家庭内や集団生活で広がりやすい点に注意が必要です。家族内に患者さんが出た場合は、手洗いや消毒の徹底など二次感染予防が欠かせません。

ウイルス性胃腸炎の症状

ウイルス性胃腸炎の症状

ウイルス性胃腸炎の初期症状を教えてください

典型的には突然の吐き気・嘔吐から始まります。潜伏期(感染から症状が出るまで)はウイルスの種類にもよりますがノロウイルスで約1~2日、ロタウイルスで約1~3日とされ、ウイルスが増殖した後に急に症状が現れることが多いです。初発症状としては激しい吐き気に続いて繰り返す嘔吐が目立ち、特に最初の半日~1日ほどは何度も嘔吐しやすい傾向があります。

参照:
『ノロウイルス感染症』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『ロタウイルスの概要』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)

ウイルス性胃腸炎に似た症状が出る病気はありますか?

はい、細菌性胃腸炎が挙げられます。細菌(例えばサルモネラ、カンピロバクター、病原大腸菌O157など)が体内に入って起こる胃腸炎で、症状はウイルス性の場合と大体同じように吐き気・嘔吐や下痢、発熱、腹痛を生じます。両者をまとめて感染性胃腸炎と呼ぶこともあります。

症状だけでウイルス性か細菌性かを判断するのは難しいですが、細菌性では血の混じった下痢や高熱が出ることがあり、この場合は早めに受診して検便検査を受けることが重要です。

また、ウイルス性胃腸炎と紛らわしい疾患として急性虫垂炎(いわゆる盲腸)や腸閉塞などがあります。特に腹痛が先に始まり嘔吐や熱が後から出た、腹痛の場所が時間経過で移動するような場合は虫垂炎を疑い、早めに外科を受診する必要があります。嘔吐が収まらず飲食物が一切通らない、あるいは便やおならも出なくなるような場合は腸閉塞(腸が詰まった状態)のおそれがあり、緊急処置が必要です。

ウイルス性胃腸炎の症状はどのように進行しますか?

多くの場合、症状は嘔吐から始まり、その後に下痢へと移行します。具体的な経過としては、初日に繰り返しの嘔吐と強い吐き気があり、嘔吐が一段落してくると腹痛や発熱が現れ始めます。吐き始めて半日から1日ほどで下痢が出てくることが多く、以降は水のような下痢が続きます。

嘔吐の仕方には個人差があり、数時間のうちに何度も吐くケースもあれば、1日1~2回程度の嘔吐が2~3日続くケースもあります。下痢は1日に何度も大量に出ることが多く、腹部の不快感やゴロゴロと鳴る症状(腹部膨満感)を伴います。通常、嘔吐は数日以内におさまりますが下痢は3~7日ほど続き、脱水症状が落ち着いて食欲が戻るまでは1週間前後かかることもあります。

ウイルス性胃腸炎にかかったときの受診の目安を教えてください

特に脱水症状が強い場合は要注意です。具体的には下記の症状です。

  • 嘔吐が長引いて水分がまったくとれない
  • 丸1日以上吐き続けている
  • 尿が12時間以上出ていない
  • お口の中が渇いてカサカサ
  • めまいやふらつきがあり、ぐったりして反応が鈍い

これらの症状は重度の脱水を示唆します。また血液が混じる下痢激しい腹痛を伴う場合、集団食中毒の疑いがある場合も早めに受診して検査を受けましょう。乳幼児や高齢の方では症状の進行が速かったり誤嚥(吐物を喉に詰まらせる事故)のリスクが高かったりするため、嘔吐や下痢が続く場合はためらわず受診してください。

ウイルス性胃腸炎の治療法と自宅での過ごし方

ウイルス性胃腸炎の治療法と自宅での過ごし方

ウイルス性胃腸炎は病院でどのように治療しますか?

基本は対症療法で、脱水を防ぐための点滴や経口補水による水分・電解質補給、吐き気止めや整腸薬の投与などが行われます。ウイルス性胃腸炎に抗生物質は無効なので使用されません。嘔吐や下痢がひどい急性期には入院して点滴治療を受けることもありますし、自宅療養でも水分が摂れない場合は病院で点滴を受けたほうがよいでしょう。発熱や腹痛が強いときは解熱鎮痛剤が使われる場合もあります。また、体力消耗を防ぐ目的で乳酸菌製剤(整腸剤)を処方されることもあります。

ウイルス性胃腸炎は何日で治りますか?

症状の重さによりますが、多くは数日~1週間程度で改善します。ノロウイルスでは通常2~3日間の急性症状で治癒し後遺症も残しません。ロタウイルスでは下痢が長引きやすく回復に1~2週間かかることもあります。

アデノウイルスも発熱や下痢が1~2週間ほど続く例があります。一方、感染力の強いノロウイルス胃腸炎でも、軽症であれば「半日ほど何度か吐いたが翌日には落ち着いた」という場合もあります。一般には発症から3~4日で症状が軽快し始めることが多いとされています。

ただし体力の回復には時間がかかるため、症状がおさまった後も無理は禁物です。なお、症状が治まった後も1週間~1ヶ月程度は便中にウイルスが排泄され続けることがあります。症状が治ったからといって油断せず、トイレ後の手洗いなど衛生管理は引き続き徹底しましょう。

自宅で療養する際の注意点を教えてください

まず脱水予防が重要です。嘔吐・下痢で失われた水分と塩分を補うため、経口補水液が推奨されます。経口補水液とは、スポーツドリンクとは異なる塩分と糖分のバランスが調整された飲料です。嘔吐直後は胃腸を休め、吐き気が落ち着いてから少量ずつ頻回に水分を摂りましょう。一度にたくさん飲ませるとまた吐いてしまい、かえって脱水が悪化するので注意してください。

食事は、嘔吐がおさまって水分がしっかり摂れるようになってから開始します。最初はおかゆややわらかく煮たうどん、スープ、すりおろしりんごなどの消化によいものを少しずつ摂取してください。

安静に過ごすことも大切ですので、学校や職場は医師と相談のうえ症状がおさまってから少なくとも2~3日はお休みするのが望ましいです。特にノロウイルスは感染力が強いため、症状軽快後も一定期間は外出や登校・出勤を控え、他人にうつさない配慮が必要です。

看病するご家族も手袋とマスクを着用して嘔吐物やおむつの適切な処理を行い、こまめな手洗いと次亜塩素酸による消毒などで二次感染を防ぎましょう。嘔吐物の処理には市販の固化剤を用いると便利です。使用したタオル類はウイルスを不活化するため塩素系漂白剤に浸してから洗濯してください。家庭内感染を防ぐためには触れない・広げないを徹底することが肝心です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ウイルス性胃腸炎はノロウイルスをはじめとするウイルス感染によって起こる身近な病気です。激しい吐き気・嘔吐や下痢で急に始まりますが、多くは数日から1週間程度で自然に回復します。治療の決め手となる薬はなく、水分補給と安静による対症療法が中心です。たかが胃腸炎と油断せず、脱水や重症化のサインに気付いたら早めに医療機関を受診してください。家庭で看病する際は十分な手洗いと消毒を心がけ、感染拡大を防ぎましょう。つらい症状の間は無理をせず、しっかり休養を取ることが何より大切です。

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