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眼科で処方される「結膜炎の目薬」と市販の目薬の違いはご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/08/29
眼科で処方される「結膜炎の目薬」と市販の目薬の違いはご存知ですか?【医師監修】

結膜炎になったとき、処方の目薬と市販の目薬のどちらを使えばいいのか、悩む方は多いでしょう。特に小さなお子さんがいる場合、目薬を嫌がってうまくさせないという心配もあります。この記事では、結膜炎とはどのような病気かという基礎知識から、処方薬と市販薬の違い、目薬の正しい使い方や子どもへの上手な点眼方法まで解説します。結膜炎の目薬治療についての不安や疑問を解消しましょう。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

結膜炎の基礎知識

結膜炎の基礎知識

結膜炎はどのような病気ですか?

結膜炎とは、白目(結膜)に炎症が起きて赤く充血したり、目やに(眼脂)が出たりする病気です。結膜とは白目の表面とまぶたの裏側を覆う薄い膜のことで、本来は目に入ったゴミや病原体が体内に侵入するのを防ぐバリアの役割をしています。この結膜にウイルスや細菌が感染したり、花粉やハウスダストなどアレルギーによる刺激が加わったりすることで炎症が起こり、結膜炎になります。いわゆる赤い目(ピンクアイ)と呼ばれる状態で、医学的には感染性結膜炎やアレルギー性結膜炎など原因によっていくつかの種類があります。

結膜炎の症状を教えてください

結膜炎の主な症状は白目の充血と目やにが増えることです。炎症の程度によっては涙が多く出たり、まぶたが腫れたりすることもあります。アレルギー性結膜炎では、特に目のかゆみが強く出ることが多く、目をこすることで症状が悪化するおそれがあります。また、細菌性結膜炎では黄色や黄緑色の膿のような目やにが多く、朝起きたときにまぶたが目やにでくっついて開けにくくなることもあります。ウイルス性結膜炎の場合は水っぽいサラサラした目やにが出る傾向があります。いずれの場合も、目の痛みは軽度ですが、強い痛みや視力低下があるときは別の病気の可能性もあるため注意が必要です。

【結膜炎の目薬】処方薬と市販薬の違いと受診の目安

【結膜炎の目薬】処方薬と市販薬の違いと受診の目安

眼科で処方される目薬と市販薬の違いを教えてください

結膜炎の治療に使われる点眼薬には、医師により処方されるもの(処方薬)とドラッグストアなどで購入できる市販のものがあります。その違いは主に有効成分の種類や濃度(強さ)です。

一般に、市販の目薬は誰でも使えるよう安全性を重視して配合成分や濃度が抑えられており、副作用は少ない反面、効果もマイルドです。また、アレルギー性結膜炎に対して、市販薬にはクロルフェニラミンマレイン酸塩など昔からある抗ヒスタミン剤が配合される傾向がありますが、処方薬ではオロパタジンやエピナスチンなど新しい抗アレルギー点眼薬が処方されることが多く、より効果が高いです。

処方される点眼薬は症状や原因に合わせて医師が選んだより効果の高い成分が十分な濃度で配合されているため、症状の改善効果が高く現れやすいです。ただし、市販薬にも最近は防腐剤無添加のものなど目に優しい製品も出ています。いずれにせよ「結膜炎かな?」と思ったら、まず眼科で診断を受けて適切な目薬を処方してもらうのが安心でしょう。

市販の目薬だけでも結膜炎は治りますか?

「市販の目薬だけで結膜炎を治したい」と考える方もいるかもしれません。軽い結膜炎であれば市販薬で症状が和らぐ場合もあります。市販の抗菌目薬にも殺菌作用のある成分や、炎症やかゆみを抑える成分が含まれており、例えば充血やかゆみの軽減には一定の効果が期待できます。特に、軽度のアレルギー性結膜炎であれば、抗ヒスタミン成分入りの市販点眼薬で様子を見るのもよいでしょう。

しかし、すべての結膜炎が市販薬で治るわけではありません。原因がウイルスの結膜炎(はやり目など)にはそもそも特効薬がなく、対症療法が中心です。細菌性結膜炎の場合、市販の抗菌成分では十分でないこともあります。市販薬を2〜3日試してみても症状が改善しない場合や悪化する場合は、無理に続けず早めに眼科を受診することをおすすめします

結膜炎で眼科を受診した方がよいサインを教えてください

自己判断で様子を見ていてはいけないものもあります。次のような症状がある場合はできるだけ早めに眼科を受診してください。

  • 膿(うみ)が混じった大量の目やにが出ている
  • 目全体が真っ赤になるほど充血が強い
  • 市販の目薬を数日試しても症状が改善しない

そのほか、痛みが強い場合や視界がぼやけて見える場合、コンタクトレンズ使用者で痛みや充血がある場合、小児(特に新生児や乳児)の結膜炎なども眼科受診のサインです。結膜炎には多くの種類があり、原因によって治療法も異なります。「いつもと違う」「おかしいな」と感じたら早めに医師に相談しましょう。

結膜炎の目薬を上手に指す方法と注意点

結膜炎の目薬を上手に指す方法と注意点

結膜炎の目薬の使い方を教えてください

結膜炎を早く治すには、目薬を正しく使うことが大切です。自己流で間違った点眼をしていると、せっかくの薬の効果が十分発揮されないこともあります。基本的な目薬のさし方のポイントは次のとおりです。

  • 石けんと流水で手指を清潔に洗う
  • まぶたを引いて1滴落とす
  • 点眼後は1分間ほど目を閉じる
  • 余分な液を清潔なティッシュで拭き取る

以上の点を守って点眼すれば、薬の効果をしっかり目に届けることができます。また、容器の先が目に触れてしまった場合はティッシュなどで拭かず、その目薬の使用を中止して新しいボトルに替えるか医師や薬剤師に相談してください。

子どもが目薬を嫌がる場合はどうすればよいですか?

小さなお子さんに点眼するのは、暴れて嫌がられると大変ですよね。嫌がる子どもには、目薬が怖くない工夫をしてあげましょう。以下のような方法がおすすめです。

子どもをあおむけに寝かせ、下まぶたに1滴さす
子どもをあおむけに寝かせ、下まぶただけをそっと引き下げて、露出した下まぶたの内側)に1滴垂らします。

目を閉じた状態で、目頭に1滴さす
どうしてもまぶたを開けるのを嫌がる場合は、子どもをあおむけに寝かせて目を閉じたままにさせ、目頭に目薬を1滴垂らします。その状態で「ぱちぱちしてごらん」と優しく瞬きさせると、目頭にたまった液体がタイミング良く目の中に入っていきます。

泣いているときは無理しない
子どもが大泣きしている最中に無理に点眼しても、涙と一緒に薬が流れ出てしまい効果がありません。落ち着いてから再挑戦しましょう。

お子さんには「頑張れたらシールをあげるね」などと声かけをして、できるだけリラックスさせてあげるのもコツです。どうしても難しい場合は、眼科で看護師さんに手伝ってもらいながら点眼の練習をしてもよいでしょう。

処方された結膜炎の目薬は最後まで使い切りますか?

基本的には、医師の指示どおりの期間と回数で点眼を続け、処方された目薬は使い切るようにしましょう。 結膜炎の種類や重症度により治療期間は異なりますが、医師は症状が治まった後も再発や感染拡大を防ぐために一定期間点眼を続けるよう指示することがあります。症状がよくなったからと自己判断で途中で止めず、医師から中止を指示されるまでは続けてください。一日あたりの点眼回数の指示はきちんと守りましょう。

余っている結膜炎の目薬を使っても問題ありませんか?

以前医師に処方されて手元に残っている結膜炎の目薬があっても、自己判断で再使用しないでください。一度開封した点眼薬は、容器の先端がまつ毛や空気中の雑菌に触れることで清潔さが損なわれたり、成分が劣化したりする可能性があります。一般的に開封後の点眼ボトルは1ヶ月以内に使い切ることが推奨されており、それ以上経過したものはたとえ残っていても廃棄すべきです。

また、同じ結膜炎に見えても原因が前回と異なる場合があるのも再利用が望ましくない理由の一つです。以上の理由から、症状が出たらその都度眼科を受診し、医師の判断に基づいて新しい目薬を使うようにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

結膜炎は身近な目のトラブルですが、原因はウイルスや細菌からアレルギーまでさまざまで、症状に合わせた適切な対処が必要です。軽症であれば市販の目薬で様子を見る方法もありますが、症状が強い場合や改善しない場合は早めに眼科を受診することが大切です。医師が処方する目薬は症状に合った成分が含まれており効果的ですが、その効果を十分えるには正しい点眼方法で決められた期間しっかり使い切ることが重要です。特にお子さんの結膜炎では点眼に苦労するかもしれませんが、今回ご紹介した方法を試してみてください。怖がらせずに点眼できれば治りも早くなります。結膜炎かな?と思ったら慌てずに、この記事を参考に適切な対処と受診の判断をしていただければ幸いです。

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