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「糖尿病」になると「何の数値」が悪くなるかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/09/11
「糖尿病」になると「何の数値」が悪くなるかご存知ですか?【医師監修】
糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気で、進行するとさまざまな合併症を引き起こします。しかし、初期には自覚症状に乏しいことが多く、健康診断や血液検査で初めて異常に気付くことも少なくありません。検査結果には、血糖値やHbA1cといった数値が記載されていますが、それぞれが何を意味し、どのくらいの数値で注意が必要なのか、すぐにはわかりにくいかもしれません。

この記事では、糖尿病の検査で確認される内容や、検査結果に記載される代表的な数値の見方、診断基準とその後の流れまでをわかりやすく解説します。ご自身の検査結果を正しく理解し、早めの対策に役立てていただければと思います。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

糖尿病の検査で確認していることとは

糖尿病の検査で確認していることとは

糖尿病が疑われるときはどのような検査を行いますか?

糖尿病が疑われる場合、まず血糖値HbA1cといった血液検査が行われます。これにより、現在の血糖の状態や、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖の傾向を把握します。初診時には空腹時血糖や随時血糖の測定に加え、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)が行われることもあります。

そのほか、尿検査で尿糖や尿タンパクの有無を確認したり、糖尿病による合併症を調べたりするために眼底検査や腎機能検査が行われることもあります。患者さんの状態や症状に応じて、必要な検査項目が選ばれます。

糖尿病検査で確認していることを教えてください

糖尿病の検査では、主に血糖コントロールが正常に行われているかを確認します。血糖値やHbA1cの測定により、血糖の異常があるかどうか、またその持続性を評価します。これにより、糖尿病の診断や、予備群(境界型)の判定が可能になります。

さらに、尿糖や尿タンパクが検出されていれば、すでに糖尿病による腎臓への影響が始まっている可能性があります。検査は診断だけでなく、病気の進行や合併症のリスク評価にも役立ちます。

糖尿病の検査結果に記載されている数値

糖尿病の検査結果に記載されている数値

HbA1cはいくつになったら糖尿病の疑いがあるとされますか?

HbA1cは、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を反映する指標で、糖尿病の診断や治療の経過観察に使われます。6.5%以上であれば糖尿病型とされ、糖尿病の可能性が高いと判断されます。

ただし、HbA1cだけで診断が確定するわけではなく、血糖値などほかの検査とあわせて評価されます。5.6〜6.4%の範囲は境界型とされ、将来糖尿病になるリスクが高いため、生活習慣の見直しが重要です。

糖尿病が疑われる空腹時血糖の数値を教えてください

空腹時血糖値が126mg/dL以上であれば、糖尿病型とされます。正常範囲は110mg/dL未満、110〜125mg/dLの間は境界型とされ、糖尿病予備軍として注意が必要です。

空腹時血糖値は前日の夜から絶食した状態で測定するため、日内変動の影響が少なく、診断の基準としてよく使われます。

随時血糖の基準値はいくつですか?

随時血糖は、食事の時間に関係なく測定された血糖値です。200mg/dL以上であれば糖尿病型とされ、診断の対象になります。

一方、140〜199mg/dLの範囲は境界型(糖尿病予備群)に分類され、今後糖尿病に進行するリスクが高いと考えられています。140mg/dL未満が正常範囲とされます。

ただし、随時血糖値は食事や体調によって変動しやすいため、診断には空腹時血糖やHbA1cなどほかの検査結果とあわせて、医師が総合的に判断します。

尿検査の糖や蛋白は糖尿病に関係がありますか?

はい、関係があります。血糖値が高くなると、腎臓が再吸収しきれずに尿中に糖が出てくるため、尿糖が陽性になります。また、尿タンパクは腎臓の機能が低下しているサインで、糖尿病腎症の早期兆候であることもあります。糖尿病の進行を見逃さないためにも、血液検査だけでなく尿検査の結果にも注意が必要です。

糖尿病の診断基準とその後の流れ

糖尿病の診断基準とその後の流れ

糖尿病の診断基準を教えてください

糖尿病の診断には、まず糖尿病型とされる数値が検査で確認されることが必要です。

糖尿病型の基準は以下のいずれかです。

  • 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  • 随時血糖値:200mg/dL以上
  • 75gOGTT2時間値:200mg/dL以上
  • HbA1c:6.5%以上

この糖尿病型が確認されたうえで、以下のいずれかの条件を満たすと糖尿病と診断されます。

1.別の日に糖尿病型を2回確認する 異なる日に実施した検査で糖尿病型の数値が2回以上確認された場合、糖尿病と診断されます。このうち少なくとも1回は、空腹時血糖・随時血糖・OGTTなどの血糖値であることが必要です。HbA1cだけを繰り返しても診断はできません。 また、同じ日の検査で血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型であれば、1回の検査でも診断が可能です。

2.血糖値が糖尿病型で、かつ慢性的な高血糖症状がある場合 強い口渇、多飲、多尿、体重減少などの症状があり、血糖値が糖尿病型であれば、1回の検査で診断されます。

3.血糖値が糖尿病型で、かつ糖尿病網膜症がある場合 眼科で糖尿病特有の網膜症が確認されていれば、この場合も1回の検査で診断が可能です。

検査の数値が正常範囲内であれば安心してよいですか?

検査結果がすべて正常範囲内であれば、現時点で糖尿病の可能性は低いと考えられます。ただし、正常範囲ではあるものの、数値が上限に近い場合や、軽度の異常がみられる場合には、将来的な発症リスクが高まっている可能性があります。

また、糖尿病の家族歴がある方、肥満、高血圧、脂質異常症などを指摘されている方は、現在の数値が正常でも油断はできません。生活習慣の影響を受けやすい体質であることが多いため、引き続き定期的な検査を受けることがすすめられます。

特に血糖値やHbA1cが正常の範囲内でも、年齢や生活習慣によっては今後数値が変化していく可能性があります。安心するためにも、年1回の健康診断や必要に応じた再検査を継続し、早めに変化に気付ける体制を整えておくことが大切です。

糖尿病や糖尿病疑いと判断された後の流れを教えてください

糖尿病あるいはその疑いがあると判断された場合、まずは生活習慣の改善が基本になります。具体的には、糖質やカロリーの摂りすぎを見直したバランスのよい食事、適度な有酸素運動の継続、体重管理、禁煙、節酒などが重要です。早い段階で生活を整えることで、血糖値の改善が期待できます。

それでも血糖値のコントロールが難しい場合には、経口血糖降下薬(飲み薬)やインスリンなどの薬物療法が必要になることがあります。治療は数値や体調に応じて段階的に行われますので、医師と相談しながら無理のない範囲で続けていくことが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ 糖尿病は、血液検査や尿検査で見つかる数値の異常から早期に発見できる病気です。HbA1cや血糖値の数値を正しく理解し、必要な検査や診察を受けることが、合併症の予防や健康維持につながります。

検査結果で糖尿病型と指摘された場合には、ただちに診断がつくとは限りませんが、再検査や追加の評価が必要です。気になる数値があるときには、自己判断せず、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

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