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【夏の感染症】「ヘルパンギーナに出席停止」はある?休む期間の目安なども解説!

 公開日:2025/09/02
【夏の感染症】「ヘルパンギーナに出席停止」はある?休む期間の目安なども解説!
夏になると、子どもが突然高熱を出し、ヘルパンギーナと診断されることが増えてきます。そんなとき、保護者が悩みやすい内容として、いつから登園や登校をしてよいのか、出席停止のルールがあるのか、といった園や学校への対応があります。

ヘルパンギーナは、インフルエンザのように法律で出席停止が義務づけられている疾患ではないため、どう判断すればいいのか迷う保護者も少なくありません。

この記事では、出席停止の考え方や休む期間の目安、家庭での過ごし方や感染対策について解説します。
居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

ヘルパンギーナの出席停止期間について

ヘルパンギーナの出席停止期間について

ヘルパンギーナの法律で規定された出席停止期間を教えてください

ヘルパンギーナは、学校保健安全法で出席停止が義務づけられている感染症ではありません。インフルエンザや麻しん(はしか)などとは異なり、法律に明確な停止期間の定めはなく、第三種感染症として分類されています。

ただし、体調がすぐれない場合や全身状態が悪い場合には、医師の判断によって出席停止とされることもあります。

ヘルパンギーナは保育園・幼稚園や学校によって出席停止期間が定められることがありますか?

法的な出席停止の義務はありませんが、保育園や幼稚園、学校などが独自に登園や登校の基準を定めている場合があります。多くの施設では以下のような状態を目安としています。

  • 解熱してから24時間以上経過している
  • 食事や水分がしっかりと摂れる
  • 活動に支障がなく、元気に過ごせている
  • 喉の痛みが落ち着き、水疱が気にならなくなっている

判断に迷う場合は、医師や通っている園や学校に確認しましょう。

ヘルパンギーナの出席停止期間が法律で定められていない理由を教えてください

ヘルパンギーナは一般的に重症化しにくく、自然に回復する軽度の感染症であるため、法律上の出席停止期間が定められていません。

原因は主にコクサッキーウイルスA群などのエンテロウイルス属で、症状は2〜3日程度で軽快することがほとんどです。また、インフルエンザや麻しんなどよりも感染力や合併症のリスクも低いとされています。

ただし、施設内で集団感染することもあるため、体調が戻るまで登園や登校を控えるといった慎重な対応は必要です。

ヘルパンギーナを発症したことを保育園や幼稚園、学校に伝える必要はありますか?

法律上の出席停止対象でなくても、必ず発症の事実を報告しましょう。

園や学校では、感染拡大を防ぐためにほかの園児や児童への注意喚起や、施設内の感染対策の強化が必要となることがあります。また、登園届や医師の記入欄がある書類の提出が求められる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

ヘルパンギーナで保育園・幼稚園や学校を休む期間の目安

ヘルパンギーナで保育園・幼稚園や学校を休む期間の目安

ヘルパンギーナは発症後に保育園や幼稚園、学校を休む期間の目安を教えてください

法的な出席停止の義務はありませんが、多くの施設では発熱などの症状が落ち着いてから24時間以上が経過し、全身状態が良好であることを登園や登校再開の目安としています。

ヘルパンギーナは一般に3〜7日以内に回復することが一般的とされています。しかし、高熱によって体力を消耗することもあるため、解熱後であっても元気に過ごせていない場合は無理をせずに安静に過ごさせてください。

登園や登校の判断に迷う場合は、体調の回復具合(食事、水分が摂れているか、元気があるか)を観察し、必要に応じて園や学校、医療機関に相談しましょう

ヘルパンギーナで休んだ場合、医師による登園許可や登校許可が必要ですか?

ヘルパンギーナは、インフルエンザや麻しん(はしか)などと異なり、法的に医師の登園や登校許可証の提出が義務付けられている感染症ではありません。

しかし、こども家庭庁が示す、保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)では、ヘルパンギーナは医師の診断を受けたうえで、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症とされています。

そのため、多くの保育園や幼稚園、小学校では保護者による登園届の提出を求めています。必要な書類や提出方法については、あらかじめ施設に確認しておきましょう。

ヘルパンギーナで熱が下がっても登園や登校を避けた方がよい状況を教えてください

次のような症状が残っている場合には、解熱後でも無理に登園や登校させず、自宅での様子を見ましょう。

  • お口の中の水疱や潰瘍による痛みが強く、水分や食事がまだ十分にとれない場合
  • 咳やくしゃみが続いており、飛沫による感染リスクが高い状態
  • 身体の状態が優れない(顔色が悪い、ぐったりしている、すぐ横になりたがるなど)

また、本人の体調が回復していても、家庭内で同時に複数人が感染している場合には、家庭内感染の拡大が続いている可能性もあるため注意が必要です。登園や登校の判断に迷うときは、医師の助言、園や学校の方針を確認しましょう。

ヘルパンギーナで休んでいる際の家庭での対処法

ヘルパンギーナで休んでいる際の家庭での対処法

ヘルパンギーナで保育園や幼稚園、学校などを休んでいるときは安静にさせるべきですか?

ヘルパンギーナでは、38〜40度前後の高熱や口内の強い痛みが特徴的で、水分が摂れないなど体力の消耗も大きくなります。熱がある間やぐったりしているときには、無理に動かさずしっかり安静にさせましょう。

ただし、解熱後に元気が戻っていれば、必ずしもずっと寝かせておく必要はありません。本人がつらさを感じない範囲で、読書やお絵かきなど軽い室内活動を行いましょう。子どもの回復状況を見ながら、日常生活のリズムを少しずつ戻すことが大切です。

ヘルパンギーナで子どもが休んでいる期間中の家庭での感染対策を教えてください

ヘルパンギーナは、ウイルスが咳やくしゃみを通じて広がる飛沫感染、ウイルスが付着したドアノブやおもちゃなどに触れた手からお口や鼻に入る接触感染、排泄物を介して感染する糞口感染などによって家庭内に広がる可能性があります。

こうした経路を遮断するには、以下の対策を行い、家庭での基本的な衛生対策を徹底することが重要です。

  • こまめな手洗い(特にトイレやおむつ交換後)
  • 咳やくしゃみをする際は腕やティッシュで口元を覆う(マスク着用が可能であれば有効)
  • タオルやコップなどの共用を避ける
  • ドアノブやおもちゃ、スイッチなど頻繁に触れる場所の定期的な消毒

また、便中には症状回復後も2〜4週間ほど(最大8週間)ウイルスが残る可能性があるとされており、症状が治まった後も手洗いやトイレまわりの清掃は引き続き丁寧に行いましょう。

ヘルパンギーナの症状が出ているときに推奨される食べ物や飲み物はありますか?

ヘルパンギーナの発症時は、喉の痛みや口内の潰瘍によって食事や水分補給が難しくなることがあります。そのため、次のようなのどにやさしく、冷たくて刺激の少ない飲食物を選ぶとよいでしょう。

  • ゼリー飲料やプリン、冷たいヨーグルト
  • アイスクリームなどひんやりした甘味
  • おかゆややわらかく煮たうどん
  • 冷やした水や薄めたスポーツドリンク

香辛料の強い料理や、オレンジジュースやグレープフルーツジュースなどの酸味のある飲料、炭酸飲料や熱すぎる飲食物は、炎症を起こしているのどを刺激するため避けましょう。 また、冷たいものの方が痛みは和らぎますが、与えすぎて下痢にならないよう注意しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ ヘルパンギーナは、夏に乳幼児を中心に流行するウイルス感染症で、突然の高熱や口内の強い痛みが出るのが特徴です。法律で登園や登校の停止が義務づけられているわけではありませんが、体調が改善するまでは無理をせず、自宅で安静に過ごしましょう。

感染拡大を防ぐうえでも、園や学校への連絡、家庭内での手洗いや消毒といった基本的な衛生管理が欠かせません。症状がつらいときは、無理に食事を取らせず、冷たくてなめらかな飲食物で水分補給を優先するようにしましょう。

子どもの変化を感じたら、迷わず医療機関に相談することが重症化や感染拡大を予防するために重要です。

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