「ドライアイ」はどんな「目薬」を選んだらいいの?使用する際の注意点も解説!

ドライアイは、目の不快感やかすみ、痛みなど日常生活にさまざまな支障をきたすことがある症状です。市販の目薬で対処される方も多いですが、使用方法を誤るとかえって症状が悪化することもあります。本記事では、ドライアイに対する目薬の使い方や注意点、眼科の受診の目安などについて解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
ドライアイの基礎知識

ドライアイは病気ですか?
ドライアイの原因を教えてください
- 加齢
- 女性
- 長時間のパソコンやスマートフォン作業や読書
- エアコンの使用
- 睡眠不足
- コンタクトレンズの使用
- 薬の副作用(抗ヒスタミン薬や降圧利尿剤など)
- マイボーム腺機能低下
- 結膜弛緩(けつまくしかん)
- 全身疾患(シェーグレン症候群や関節リウマチなど)
このような原因が一つあるだけで、ドライアイの症状が現れることがあります。もちろん、これらの原因が複数組み合わさることで、ドライアイの症状がさらに現れやすくなります。
ドライアイになるとどのような症状が現れますか?
- 目が疲れやすい、まぶたが重く感じる
- 目がヒリヒリとしみる、痛みを感じる
- 目がかゆい
- 物がぼやけて見えるときがある
- 光がまぶしく感じやすい
- 涙が勝手に出てくる
このように、ドライアイではさまざまな症状が出ることが知られており、ほかの病気の症状と見分けがつきにくいこともあります。
ドライアイを改善する目薬との付き合い方

ドライアイで市販の目薬を使っても問題はありませんか?
市販のドライアイの目薬の効果を教えてください
ドライアイの市販目薬を使いすぎるとどうなりますか?
ほかにも市販のドライアイ目薬を使用する際の注意点はありますか?
まず防腐剤無添加の目薬を選ぶことが大切です。
そして正しい点眼方法を守るようにします。目薬を差す前には石けんで手を洗いましょう。上を向いて下まぶたを軽く引き、容器の先が目やまつ毛に触れないように1滴だけ落とします。その後すぐパチパチ瞬きをせず、目をそっと閉じて1~2分程度まぶたの上から押さえると薬液が眼球全体に行き渡ります。1回に1滴で十分です。
コンタクトレンズ使用者は、コンタクトレンズ装着中に使える目薬かどうか、必ず確認しましょう。
目薬の容器の先端は絶対に他人と共有しないでください。また一度開封したボトルタイプの目薬は防腐剤が入っていても日にちが経つほど雑菌繁殖のリスクが高まります。製品にもよりますが、開封後は1ヶ月程度を目安に使い切るのが望ましいです。使用期限切れの古い目薬は使用せず、新しいものに交換しましょう。高温になる場所に放置すると成分が劣化することもあるため、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。
以上のことを守ることで、より安全に市販のドライアイ目薬を使うことができるようになります。
ドライアイで眼科を受診すべきサインと治療法

ドライアイで眼科を受診した方がよいケースはありますか
- 市販の人工涙液を使っても症状が改善しない
- 症状が強い、悪化している
- 高齢でほかの目の病気のリスクがある
- コンタクトレンズを使っているのがつらい
ドライアイはその原因と治療を行うことで、症状が改善する病気です。上記のような症状があれば、早めに眼科を受診するとよいでしょう。
ドライアイで眼科を受診した際の検査内容を教えてください
シルマー試験(涙の量の検査)
涙の分泌量を測る検査です。
BUT(涙液層破壊時間)検査
涙の質(涙の安定性)を調べる検査です。
フルオレセイン染色検査(角結膜上皮検査)
蛍光色素(フルオレセイン)を点眼した状態でスリットランプ顕微鏡という器械で目の表面を観察します。
眼科ではどのような方法でドライアイを治療しますか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
点眼薬による治療
ドライアイ治療の基本はまず点眼薬の処方です。市販薬との違いは、医療用の点眼薬にはより高濃度の有効成分が含まれていたり、防腐剤無添加で長期使用に向く製剤があることです。
涙点プラグなど涙の排出を防ぐ治療
分泌される涙の絶対量が少ない場合や、点眼治療だけでは改善が不十分な場合、涙の流出路を塞いで涙を目にとどめる治療が行われます。
原因への対処とセルフケア
ドライアイは生活環境の影響も大きいため、医師から生活上のアドバイスを受けることも治療の一環です。パソコン作業中は意識的に休憩をとりまばたきの回数を増やす、エアコンの風が直接目に当たらないよう工夫するなどです。また、必要に応じてコンタクトレンズをメガネに切り替える、ドライアイが改善するまでレンズの装用時間を減らすといった対応もすすめられるでしょう。こうした日常的なケアと医師による治療を組み合わせることで、ドライアイの症状は次第にコントロールしやすくなっていきます。
編集部まとめ

ドライアイは現代人に増えている目の不調で、慢性的な疲れやかすみで日常生活の質(QOL)が低下してしまうこともあります。市販の目薬は手軽で症状を一時的に和らげることがありますが、目薬だけでドライアイを根治することは難しく、効果も一時的なものです。むしろ使い方を誤ったり、頼りすぎたりすると涙のバランスを崩し症状が悪化する恐れもあります。「ドライアイかな?」と思ったら、まずは正しい方法で目薬や生活改善によるセルフケアを行い、それでもよくならない場合は早めに眼科を受診して適切な治療を受けましょう。
参考文献




