「逆流性食道炎を予防」するために「避けた方がよい飲食物」はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2025/09/11


監修医師:
林 良典(医師)
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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
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脳神経内科
眼科(角膜外来)
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逆流性食道炎の原因とメカニズム
逆流性食道炎の原因にはどのようなものがありますか?
逆流性食道炎の発症には、胃の働きや身体の構造、生活環境が影響しています。特に重要なのが、胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉です。この筋肉がゆるむことで、胃の中の酸性の内容物が食道へ逆流しやすくなります。
そのゆるみの原因として、肥満、加齢、妊娠、長時間の前かがみ姿勢、腹部を締めつける衣類などが知られています。また、脂肪分の多い食事、アルコール、喫煙、ストレスなども、括約筋の働きや胃酸の分泌に影響を及ぼすと考えられています。
逆流性食道炎のメカニズムを教えてください
本来、下部食道括約筋は食道と胃の間を締めて、胃酸が逆流しないように保つ役割をしています。しかしこの機能が弱まると、食後や横になったときなどに胃酸が食道へ逆流しやすくなります。
食道は酸に対する防御機能が弱いため、逆流した胃酸によって粘膜が傷つき、痛みや灼熱感などの症状が生じます。これが繰り返されることで炎症が悪化し、逆流性食道炎へとつながっていきます。
逆流性食道炎を予防する食生活のポイント
逆流性食道炎を予防するために避けた方がよい飲食物はありますか?
胃酸の分泌を促したり、胃に長くとどまりやすい食品は、逆流を引き起こす原因になるため注意が必要です。揚げ物やこってりした肉料理、チョコレート、アルコール、炭酸飲料、カフェインを含む飲み物は控えめにしましょう。
さらに、酸味の強い柑橘類やトマト、辛味のある香辛料なども、胃酸の刺激につながる場合があります。体質や症状に応じた摂取量の調整が大切です。
逆流性食道炎の予防に役立つ食べ物を教えてください
消化に負担をかけず、胃に優しい食材を取り入れることで、逆流の予防に役立ちます。具体的には、白米やおかゆ、うどん、豆腐、白身魚、鶏ささみ、根菜類の煮物などが適しています。
野菜は、生よりも煮たり蒸したりすることで消化がよくなります。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は、胃酸をある程度中和する働きがあるとされるため、症状の軽減に役立つこともあります。ただし、人によってはかえって胃もたれする場合もあるため、自分に合った食品を見つけることが大切です。
逆流性食道炎の予防に効果的な食べ方や食習慣はありますか?
一度にたくさんの量を食べるのではなく、腹八分目を意識してゆっくり食べることが基本です。食事中はしっかりと噛むことで消化を助け、胃の負担を軽減できます。
また、夕食は遅くとも就寝の2~3時間前には済ませるようにしましょう。食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなるため、食後はしばらく上体を起こした姿勢で過ごすのが理想です。これらの習慣を日常に取り入れることで、症状の予防や再発防止が期待できます。
逆流性食道炎を予防する生活習慣
逆流性食道炎の予防に効果的な睡眠時の姿勢はありますか?
寝ているあいだは身体が横になっているため、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなります。予防のためには、上半身を少し高くして眠る姿勢が効果的です。枕を高くしたり、ベッドの頭側を10cmほど上げたりすることで、胃酸が上がりにくくなります。また、身体の向きにも注意が必要です。左側を下にして寝ると、胃の構造上、胃酸が逆流しにくくなるといわれています。
逆流性を予防するためにおすすめの衣服を教えてください
腹部を強く締めつける服装は、胃に圧力をかけ、逆流を起こしやすくします。例えば、きつめのベルト、ハイウエストのズボン、ボディスーツなどは、長時間着用を避けた方がよいでしょう。
特に食後はお腹が膨らみやすくなっているため、やわらかく伸縮性のある服や、ゆったりとした衣類を選ぶことがおすすめです。外出時でも、見た目だけでなく身体への負担を考慮した服装を意識することが、症状予防につながります。
ほかにも逆流性食道炎の予防に効果がある生活上の注意点はありますか?
食後すぐに前かがみになる動作や、重い荷物を持ち上げるなど、腹圧がかかる行動は避けるようにしましょう。食後はなるべく上体を起こした姿勢で過ごし、軽く身体を動かすと消化が促され、胃の内容物が下に流れやすくなります。
また、喫煙は胃と食道の境目にある筋肉の働きを弱めることがあり、逆流のリスクを高めるといわれています。禁煙は予防や症状の軽減に有効です。さらに、睡眠不足や過度なストレスも胃腸の働きを乱す要因となるため、適度に休息を取り、心身のバランスを保つことも意識しましょう。
逆流性食道炎を引き起こすリスクがある食習慣・生活習慣
逆流性食道炎の原因になりえる食習慣を教えてください
胃への負担が大きい食べ方や、刺激の強い食事の習慣は、逆流性食道炎のリスクを高めます。例えば、脂っこい料理や甘いものを多く摂る習慣や、早食い、満腹になるまで食べるといった食べ方は、胃の中の圧力を高めてしまい、逆流性食道炎のリスクを高めると考えられています。
さらに、夕食が遅い時間になることや、就寝直前の飲食も、胃酸が食道へ逆流しやすい状況をつくります。こうした習慣を続けていると、知らないうちに症状があらわれたり、慢性化するリスクもあるため注意が必要です。
逆流性食道炎を引き起こしやすい生活習慣はありますか?
日常の動作や体調の積み重ねも、発症に影響を及ぼします。運動不足によって胃腸の働きが低下したり、肥満によって腹部に圧力がかかりやすくなると、逆流が起こりやすくなります。また、喫煙や慢性的なストレスも、胃酸の分泌や括約筋の機能に悪影響を及ぼす要因です。
さらに、前かがみの姿勢を長時間続けることや、重いものを頻繁に持ち上げるような生活動作も、胃の圧迫を引き起こしやすくなります。こうした行動や身体状態に心当たりがある場合は、少しずつでも生活スタイルの改善を意識するとよいでしょう。
編集部まとめ
逆流性食道炎は、胃の中の酸が食道に逆流することで粘膜が傷つき、胸やけやのどの違和感などの不快な症状を引き起こす病気です。発症や悪化の背景には、食生活や姿勢、睡眠時の過ごし方など、日常生活の多くの場面が関わっています。
予防のためには、脂肪分の多い食品や刺激の強い飲食物を控えることに加えて、食べ方や食事のタイミングにも配慮が必要です。また、腹部を締めつける服装を避ける、食後は横にならずに身体を起こして過ごすなど、ちょっとした工夫が症状の軽減につながります。
さらに、喫煙やストレス、運動不足などの生活習慣も見直すことが重要です。再発を防ぎながら快適な生活を維持するためには、薬だけに頼らず、日々の食事と生活環境の整え方が大きなポイントになります。




