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「乗り物酔いしやすい人」が乗車前に「食べてはいけない食べ物」はご存知ですか?

 公開日:2025/08/09
「乗り物酔いしやすい人」が乗車前に「食べてはいけない食べ物」はご存知ですか?

旅行やドライブ、船釣りなど楽しい移動の時間も、乗り物酔いをしてしまうと台無しになってしまいます。実は、乗車前や乗車中の食事内容は、乗り物酔いの発症に大きく影響します。脂肪分の少なくない揚げ物やクリーム料理、乳製品、柑橘類、消化の悪い卵や濃い味付けの食べ物は、胃に負担をかけて酔いやすくなるため注意が必要です。また、食べ過ぎや空腹も酔いの原因となるため、適度な量で消化のよい食事を心がけましょう。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

乗り物酔いしやすい人が乗車前に食べてはいけない食べ物

乗り物酔いしやすい人が乗車前に食べてはいけない食べ物

乗り物酔いを誘発させる食べ物はありますか?

乗り物酔いを誘発しやすい食べ物には、脂の強い料理揚げ物乳製品ゆで卵などの消化に時間がかかるものが挙げられます。これらは胃に負担をかけ、乗り物の揺れによって症状が悪化しやすくなります。また、柑橘類(オレンジやレモンなど)は胃酸の分泌を促し、胃の働きを活発にするため、乗り物酔いを誘発する可能性があります。さらに、アルコールや臭いが強い食べ物も酔いやすくなる原因となるため、乗車前は控えるのが望ましいです。

乗り物酔いになりやすい飲み物を教えてください

乗り物酔いになりやすい飲み物として注意が必要なのは、柑橘系ジュース(オレンジジュースやグレープフルーツジュースなど)です。これらは胃酸の分泌を促進し、胃の働きを活発にしてしまうため、乗り物酔いの症状を悪化させることがあります。また、炭酸飲料でも柑橘系フレーバーのものは避けた方がよいです。さらに、アルコール飲料も三半規管の働きを鈍らせ、平衡感覚を乱すため、酔いやすくなります。コーヒーや濃いお茶などカフェインを多く含む飲み物も、利尿作用による脱水や胃への刺激が強いため、体調によっては症状を悪化させることがあります。乗車前や乗車中は、ミネラルウォーターや無糖の炭酸水、ペパーミントティー、生姜ドリンクなど刺激の少ない飲み物を選ぶのが無難です。

お酒を飲むと乗り物酔いになりやすいですか?

お酒を飲むと乗り物酔いになりやすくなります。アルコールは三半規管の働きを鈍らせ、平衡感覚が乱れるため、乗り物酔いの症状が起こりやすくなります。また、アルコールの分解過程で生じる有害物質アセトアルデヒドが嘔吐中枢を刺激し、吐き気を強めることもあります。さらに、飲酒によるほろ酔い状態は脳の反応を変化させ、乗り物に乗った際に急激に酔いが回ることが少なくないようです。そのため、乗車前や乗車中の飲酒は避けるのが望ましいです。

乗り物酔い対策に向いている食べ物・飲み物

乗り物酔い対策に向いている食べ物・飲み物

乗り物酔いを防ぐ効果がある食べ物はありますか?

ガムグミキャンディチョコレートなど噛みごたえがあるものが挙げられます。噛むことで覚醒作用が得られ、血糖値を上げて脳を目覚めさせる効果が期待できます。また、梅干しは酸味によって唾液の分泌を促し、三半規管の働きを整えるのに役立ちます。さらに、消化が良く胃に負担をかけないバナナリンゴクラッカーなどの軽い炭水化物もおすすめです。食後すぐの乗車は避け、適度に食事を摂ることが大切です。

乗り物酔いを予防できる飲み物を教えてください

ミネラルウォーターノンカフェインのお茶スポーツドリンクなど刺激の少ないものが適しています。炭酸水は胃酸の分泌を抑制し、自律神経を整える効果が期待できます。また、生姜を使ったジンジャーティー生姜湯ペパーミントティーも、吐き気や胃の不快感を和らげる作用があるとされています。

乗り物酔いになったときの食べ物・飲み物

乗り物酔いになったときの食べ物・飲み物

乗り物酔いになったときに食べた方がよいものを教えてください

乗り物酔いになったときは、キャンディやチョコレート、ガムがおすすめです。これらは血糖値を上げて脳を活性化し、噛むことで覚醒効果が期待でき、酔いの緩和につながります。また、梅干しも酸味で唾液の分泌を促し、三半規管のバランスを整える効果があるため効果的です。

乗り物酔いの最中はどのような飲み物を選ぶとよいですか?

乗り物酔いの最中に選ぶとよい飲み物は、清涼感のあるペパーミントティーや生姜を使ったジンジャーティー、炭酸水などです。ペパーミントティーは胃の不快感を和らげ、生姜は吐き気を抑える効果が期待できます。また、炭酸水は自律神経を整え、胃腸の不快感を軽減する作用があります。氷水や氷をお口に含むのも効果的ですが、飲みすぎには注意しましょう。柑橘系飲料は症状を悪化させることがあるため避けてください。

乗り物酔いの事前対策

乗り物酔いの事前対策

食べ物や飲み物に気を付けること以外に乗り物酔いを予防する方法はありますか?

乗り物酔いを予防するには、食べ物や飲み物以外にもいくつかの有効な方法があります。まず、前日は十分な睡眠をとり体調を整えることが大切です。乗車中は揺れの少ない席や進行方向が見える席を選び、遠くの景色を見ることで視覚と平衡感覚のズレを減らせます。また、頭をできるだけ動かさず、リラックスできる服装を心がけ、こまめな休憩や換気も効果的です。不安を和らげるために、音楽を聴いたり会話を楽しむこともおすすめです。また、車内でスマートフォンを使う際、専用のハンドサポートを用いることで、車酔いの発症率や首の疲労が大幅に減少できることが示されています。

乗り物酔いの薬の効果と副作用を教えてください

乗り物酔いの薬は、主に抗ヒスタミン薬抗コリン薬が使われ、めまい・吐き気・頭痛など乗り物酔いの症状を予防・緩和する効果があります。特に乗車30分前の服用で予防効果が高まり、酔ってしまった後でも症状の改善が期待できます。主な副作用は眠気で、個人差がありますが強く現れることもあります。そのほか、お口の渇き、動悸、排尿困難、便秘、発疹などが起こることもあり、運転や機械操作は避ける必要があります。

乗り物酔いで吐かないために食事を抜いてもよいですか?

乗り物酔いで吐かないために食事を抜くことは、基本的におすすめできません。空腹のまま乗り物に乗ると、血糖値が低下しやすくなり、かえって気分が悪くなったり、酔いやすくなることがあります。また、胃が空っぽの状態でも胃酸が分泌されるため、胃が刺激されて吐き気を感じやすくなる場合もあります。一方で、満腹の状態も胃に負担をかけてしまい、乗り物酔いのリスクを高めます。そのため、乗車前には消化のよい軽めの食事を適量とることが理想的です。例えば、おにぎりやパン、バナナなどの炭水化物を中心に、油分や刺激物を避けた食事を1〜2時間前に済ませるのが望ましいです。適度な食事は血糖値を安定させ、体調を整えることで乗り物酔いの予防につながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

乗り物酔いを防ぐためには、食事内容に注意が必要です。避けるべき食べ物は、脂肪分や乳製品、揚げ物など消化に時間がかかるもの、胃に負担をかける料理、そして柑橘類です。これらは胃の働きを活発にし、酔いを誘発しやすくなります。また、食べ過ぎや空腹も酔いやすくなる原因となるため、適度な量の消化のよい食事を心がけます。乗車前は白米やパンなど軽めの炭水化物を選び、食後すぐの乗車は避けるのが理想的です。加えて、睡眠不足や体調不良も酔いやすくなる要因なので、事前に体調を整えることも大切です。自分に合った対策を見つけ、快適な移動を目指します。

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