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「帯状疱疹ワクチン」の副反応はご存知ですか?接種費用も解説!【医師監修】

 公開日:2025/12/09
「帯状疱疹ワクチン」の副反応はご存知ですか?接種費用も解説!【医師監修】
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となるウイルスが再び活性化することで発症する病気です。多くは加齢や免疫低下をきっかけに発症し、痛みや発疹を伴うことが特徴です。50歳を過ぎると発症の可能性が高まり、長引く神経痛などの後遺症を残すこともあります。

こうした帯状疱疹を予防する方法として、現在は2種類のワクチンが使われています。それぞれに効果や接種方法、副反応などの違いがあります。

また、ワクチン接種には費用がかかるほか、自治体によっては助成制度が利用できることもあります。接種の適否を判断するには、正確な情報に基づく検討が重要です。

この記事では、帯状疱疹の基本知識と発症リスク、ワクチンの種類や効果、副反応、費用面までをわかりやすく解説します。接種を検討されている方の判断材料として、ぜひご活用ください。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

帯状疱疹の概要と発症割合

帯状疱疹の概要と発症割合

帯状疱疹はどのような病気ですか?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による感染症で、水ぼうそうにかかった人の体内に潜伏していたウイルスが、年齢や疲労などによる免疫低下をきっかけに再活性化することで発症します。神経に沿って皮膚に帯状の発疹が出るのが特徴で、多くの場合は片側に限局して現れ、強い痛みを伴います。発疹の数日前から神経痛のような前触れがあることもあり、早期の治療が重要です。

帯状疱疹を発症する人の割合を年齢別に教えてください

帯状疱疹は、年齢とともに発症のリスクが高まる病気です。特に50歳を過ぎると急増し、50代では年間1,000人あたり約5人、60代では約7人が発症しています。70代では約8.7人、80代でも約8.4人と高い水準が続きます。実際に、85歳までに帯状疱疹を経験する人はおよそ半数にのぼるとされており、高齢になるほど注意が必要です。

帯状疱疹に合併症や後遺症はありますか?

注意が必要な後遺症として帯状疱疹後神経痛があります。発疹が治った後も神経の損傷が残り、強い痛みが続くことがあり、高齢の方ほど長期化する傾向があります。また、顔に症状が出た場合には視覚・聴覚の障害、顔面神経麻痺などの合併症が起こることがあります。まれに脳炎や髄膜炎、運動麻痺といった重い神経合併症が生じることもあるため、初期対応が重要です。

帯状疱疹ワクチンの効果とリスク

帯状疱疹ワクチンの効果とリスク

帯状疱疹ワクチンの効果を教えてください

生ワクチンは、長年使われてきたワクチンで、接種後1年時点では約6割の発症予防効果があるとされ、3年時点での帯状疱疹後神経痛に対する予防効果も約60%と報告されています。ただし、時間の経過とともに効果は減少し、5年時点では発症予防効果が4割程度に低下するとされます。

これに対し、不活化ワクチンは、接種1年後の発症予防効果は9割以上、5年後でも9割程度の効果が持続し、10年後でも7割程度の効果が残るとされています。帯状疱疹後神経痛に対しても、3年時点で9割以上の予防効果があるとされており、長期的な予防手段として大変優れたワクチンと評価されています。

帯状疱疹ワクチンにはどのような副反応がありますか?

副反応の内容や頻度はワクチンの種類によって異なります。生ワクチンでは注射部位の腫れや軽い発熱などが見られることがありますが、症状は軽い傾向にあります。不活化ワクチンでは、接種部位の痛みや全身の倦怠感、筋肉痛、発熱などの症状が1〜3日続くことがあり、免疫反応が強く出る傾向があります。ほとんどは自然に回復しますが、まれにアレルギー反応を起こすこともあるため、接種後は体調に注意し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

帯状疱疹ワクチンの種類

帯状疱疹ワクチンの種類

帯状疱疹のワクチンにはどのような種類がありますか?

日本で承認されている帯状疱疹ワクチンには、乾燥弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン)乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)の2種類があります。生ワクチンは長年使われており、1回の接種で済みますが、免疫が低下している方には適さない場合があります。一方、不活化ワクチンは遺伝子組換え技術で製造されており、免疫が低下している方でも接種が可能です。免疫応答を高める成分(アジュバント)を含んでいるため、より強い効果が期待できます。

帯状疱疹ワクチンの種類による接種回数の違いを教えてください

生ワクチンは1回の皮下注射で完了しますが、効果の持続期間はおおむね5年程度とされています。不活化ワクチンは2回の筋肉注射が必要で、2ヶ月ほどの間隔を空けて接種します。2回の接種を完了することで、長期的な予防効果が得られると考えられています。接種のタイミングや回数の違いを踏まえ、生活スタイルや健康状態に応じて選ぶことが大切です。

帯状疱疹ワクチンの対象者と接種にかかる費用

帯状疱疹ワクチンの対象者と接種にかかる費用

帯状疱疹ワクチンは誰でも受けられますか?

帯状疱疹ワクチンは、2025年度から一部の高齢者を対象に定期接種としての位置づけが始まりました。これにより、対象となる方は公費による費用助成を受けて接種できるようになっています。

定期接種の対象となるのは、以下のいずれかに該当する方です。

  • 65歳を迎える方
  • 60〜64歳で、HIVによる高度な免疫障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
  • 2025年度〜2029年度の経過措置として、その年度内に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方

このような方々には、自治体から通知が届き、自己負担を抑えてワクチンを接種できる制度が設けられています。接種費用の助成額や予約方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの地域の案内を確認しましょう。

一方で、それ以外の方が接種を希望する場合は、任意接種(自費)となります。任意接種は主に50歳以上の成人を対象としており、特にがん、糖尿病、慢性腎臓病、リウマチなどの基礎疾患がある方や、免疫抑制薬を使用している方には積極的な接種が推奨されています。

帯状疱疹の定期接種ワクチンにかかる費用を教えてください

2025年度から、一部の高齢者を対象に帯状疱疹ワクチンの定期接種が始まりました。対象者は自己負担で生ワクチンまたは不活化ワクチンのいずれかを接種できます。

自己負担額は自治体によって異なり、生ワクチンは0〜4,000円程度不活化ワクチンは1回あたり0〜10,000円程度(2回接種で合計0〜20,000円程度)が目安です。生活保護受給者などは全額免除される場合もあります。

費用や申し込み方法の詳細は、お住まいの自治体の案内をご確認ください。

帯状疱疹ワクチンを自費で受ける際の費用相場を教えてください

自費で接種する場合、費用はワクチンの種類によって異なります。生ワクチンは1回あたり5,000〜8,000円程度、不活化ワクチンは1回あたり約20,000円、2回の接種が必要なため合計で約40,000円が目安です。

編集部まとめ

編集部まとめ 帯状疱疹は、加齢や病気などで免疫力が低下したときに発症しやすくなる感染症です。皮膚の発疹や神経の痛みといった症状が現れ、回復後も痛みが残ることがあります。発症を防ぐには、規則正しい生活習慣とともにワクチン接種による予防も効果的です。

現在、日本で利用できる帯状疱疹ワクチンは選択肢があり、それぞれ効果や副反応、接種対象、回数、費用などに違いがあります。不活化ワクチンは予防効果が高く、免疫が低下している方でも接種しやすい一方で、費用が気になる方もいるかもしれません。生ワクチンは1回で済むという利点がありますが、体調によっては適応できないことがあります。

ワクチン接種は、帯状疱疹の発症や重症化を防ぐ手段のひとつです。将来の健康を守るためにも、正しい情報をもとにご自身やご家族の状況に合わせた判断をしていきましょう。

この記事の監修医師