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「手足口病の感染力が強い時期」っていつ?症状や潜伏期間も解説!【医師監修】

 公開日:2025/07/31

手足口病は、特に乳幼児や子どもたちの間でよく見られるウイルス性の病気ですが、感染力が強いのが特徴です。手足口病は、発症から数日間にわたってほかの方に感染を広げやすいため、予防と早期の対処が重要です。

本記事では手足口病の感染力が強い時期について以下の点を中心にご紹介します。

  • 手足口病とは
  • 手足口病の潜伏期間について
  • 手足口病の予防について

手足口病の感染力が強い時期について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

手足口病とは

手足口病とは

手足口病はどのような病気ですか?

手足口病とは、主にお口のなかや手、足に発疹や水ぶくれが現れるウイルス性の感染症です。特に5歳以下の乳幼児が感染しやすく、夏のピークシーズンによく見られる傾向がありますが、秋から冬にかけても発症することもあります。

手足口病は大人も感染する可能性があり、なかでも子どもと接する機会の多い大人は注意が必要です。

手足口病の原因を教えてください

手足口病は、主に“コクサッキーウイルス”や“エンテロウイルス”といったウイルスによって引き起こされます。これらのウイルスは感染力が強く、特に乳幼児に見られる特徴があります。感染経路には、飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つがあります。

飛沫感染は、感染者が咳やくしゃみをした際にウイルスを含む飛沫が空気中に放出され、それをほかの方が吸い込むことによって感染が広がるものです。特に、保育園や学校など集団生活をしている子どもたちの間で感染が拡大しやすくなります。

接触感染は、感染者が触れた物品や、直接感染者に触れることでウイルスが広がります。例えば、感染した子どもが物を触った後、その物をほかの子どもが触れ、さらにその手でお口や鼻を触ることで感染が成立します。日常生活のなかでウイルスが広がりやすいため、こまめな手洗いや物の消毒が予防にはおすすめです。

糞口感染は、感染者の便に含まれるウイルスがお口に入ることで感染が広がる経路です。おむつ交換やトイレの後に手洗いを徹底しないと、便を触れた手を通じて感染することがあります。

手足口病に感染するとどのような症状が現れますか?

手足口病に感染すると、約3〜5日間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が現れます。最初に現れる症状としては、お口のなかの痛みや食欲不振があり、続いて手のひらや足の裏、そしてお口のなかや頬、舌に水疱(膿疱)が現れることが特徴です。

水疱は、ときにはお尻や膝、肘などにも広がることがあります。また、発熱が見られることもありますが、発熱は軽度で高熱が続くことは稀です。発熱よりも口腔内の痛みや水疱で気付く傾向があります。

また、コクサッキーウイルスA6型(CA6)による感染では、治癒後数週間してから爪が剥がれること(爪甲脱落症:onychomadesis)が稀に認められることがありますが、通常は自然に再生します。

また、手足口病はまれに髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。特にエンテロウイルス71型(EV71)に感染した場合、これらの合併症が起こりやすくなるため、以下の症状が見られた場合は早急に医療機関に相談することが重要です。

・発熱が続く、または高熱が出る ・頭痛がひどい ・嘔吐を繰り返す ・視線が合わない、または呼びかけに反応しない ・ぐったりしている、身体がふらつく ・呼吸が浅く、速くなる

手足口病の症状は通常1週間程度で回復しますが、症状の程度や治癒までの時間は個人差があります。特に、大人が感染し症状が出現すると、手足の発疹による痛みが強く出ることがあり、歩行が困難になることもあります。

手足口病の感染について

手足口病の感染について

手足口病の潜伏期間はどのくらいですか?

手足口病の潜伏期間は、約3〜7日間です。この期間中にもウイルスが体内で排出されており、知らないうちにほかの方に感染を広げる可能性があります。その後、発疹や水疱、発熱などの症状が現れますが、発疹は通常かさぶたを残すことなく、通常3〜7日内に治癒するとされています。しかし、掻いてしまった場合や重症となった場合には稀に瘢痕が残ることもあります。

また、手足口病を発症した後も、体内からウイルスが排出され続けます。喉からは約1〜2週間、便からは約3〜5週間にわたり、ウイルスが少量ながら排出されるため、感染拡大のリスクが続きます。

手足口病の感染が広がりやすい時期を教えてください

手足口病の感染が広がりやすい時期は、6〜8月の夏の時期です。この時期は、高温多湿の環境がウイルスの繁殖がしやすく、特に梅雨明けから夏休みにかけて、感染が急激に広がりやすくなります。

気温が30度を超える日が続き、湿度が高いと、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどが活発に活動し、感染のリスクが増します。 また、夏の暑さで子どもの免疫力が低下し、さらに夏休みのイベントなどで子ども同士の接触が多くなるため、手足口病が広がりやすい時期になります。

手足口病はどのくらいの確率でうつりますか?

手足口病は5歳以下の子どもに感染する確率が高く、感染者の90%程度がこの年齢層に該当します。一方で、大人が感染する確率は下がり、症状が出る確率はさらに低くなります。

なかでも2歳以下の子どもは、免疫が未発達なため、ウイルスに初めて接触することが多く、そのため感染力が強いといわれています。この年齢の子どもは、感染者の半数を占めており、保育施設など集団生活を送る環境では、子ども同士の接触が盛んであるため、感染が広がりやすくなります。

手足口病の治療と予防

手足口病の治療と予防

手足口病の主な治療方法を教えてください

手足口病にはどのような治療方法があるのでしょうか。 以下で解説します。

・解熱鎮痛剤 発熱やお口のなかの痛みを軽減するために使用されます。発熱を下げるだけでなく、痛みを和らげる効果が期待できます。

・脱水症状に対する点滴 お口のなかの痛みが強くて飲食ができない場合、脱水症状が心配です。この場合は病院で点滴を受け、身体に必要な水分や電解質を補うことが重要です。

・口内炎の治療 口腔内の痛みを和らげるため、粘膜保護剤を使ったり、鎮痛剤を服用することが推奨されます。食べ物は、やわらかいうどんや豆腐、ゼリー、プリンなどの口内炎を刺激しにくいものを選び、熱い飲み物や酸っぱいものは避けるようにしましょう。よって、食事や水分摂取がしやすくなります。

・かゆみや発疹への対処 手足や身体に出る発疹や水疱は、通常は数日以内に回復します。かゆみを和らげるために保湿クリームやかゆみ止めを使用することがありますが、爪を短く切ることや肌を清潔に保つことも重要です。

手足口病を予防する方法はありますか?

手足口病を予防するための専用のワクチンは現時点では存在していませんが、感染拡大を防ぐためには日常的な衛生管理が重要です。手足口病は飛沫感染や接触感染によって広がるため、予防には手洗いやうがい、マスクが効果的な手段となります。

まず、日頃から行える予防策として手洗いが挙げられます。外出から帰った時、食事前後、トイレの後には石けんを使ってしっかり手を洗いましょう。特に小さな子どもがいる家庭や集団生活をしている施設では、保護者や保育士がこまめに手洗いを行うことが求められます。また、うがいもウイルスを体内に取り込まないためにおすすめです。

また、自身が感染している場合にはほかの方にウイルスを広げるのを防ぐためには、マスクの着用が大切です。咳やくしゃみをするときにはお口や鼻を覆い、飛沫が飛び散らないように注意しましょう。

さらに、手足口病が治った後も、感染源としてウイルスが残ることがあります。特に、感染者が排出する便からは2〜4週間、呼吸器からは1〜2週間ウイルスが排出されるため、症状が治まっても引き続き注意が必要です。感染者の便を触った後やおむつ交換後は手洗いを徹底しましょう。

手足口病はどのくらいの期間保育園や学校を休む必要がありますか?

手足口病にかかった場合、発熱がなく、普段どおりの飲食や生活ができる状態であれば、登園や登校は可能とされています。手足口病は、インフルエンザや新型コロナウイルスのように、明確な出席停止期間が定められているわけではありません。

しかし、発症から2〜3日程度は症状が強く現れるため、この期間は自宅で休養することが推奨されます。3〜4日程度で回復することが多いようですが、施設や学校ごとに独自の基準があるため、感染が確認された場合はその施設の指示に従いましょう。

また、手足口病が治った後も、1ヶ月程度はほかの方に感染を広げないように配慮し、手洗いや咳エチケットなどを実践することが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

手足口病は特に夏の季節に多く見られる感染症ですが、正しい予防策を取ることで感染拡大を防ぐことができます。手洗いやうがい、マスクの着用など、基本的な衛生習慣を徹底することが大切です。また、症状が現れた際には、無理に登園や登校をせず、十分に休養をとることも必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで手足口病の感染力が強い時期についてお伝えしてきました。手足口病の感染力が強い時期についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 手足口病とは、主にお口のなかや手、足に発疹や水ぶくれが現れるウイルス性の感染症のこと
  • 手足口病の潜伏期間は、約3〜7日間
  • 手足口病を予防するためには、手洗いが大切である。外出から帰った時、食事前後、トイレの後には石けんを使ってしっかり手を洗うことが必要

これらの情報が、少しでも皆さまの手足口病の理解を深めるお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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